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考え過ぎてしまう僕が、音楽を聴きながら考えたこと〜joanが夢見たTokyo〜

最近、joanというアメリカのインディー・ポップデュオにハマっている。

きっかけは、この「ease your mind」が、五反田のワイン酒場「ディプント」で食事をしていたときにたまたまBGMとしてかかっていたことだった。私は、外食をしているときでも、流れている曲が気に入ったら、鼻歌アプリで確認する習慣がある。

やっぱり、ポップスはいい、と素直に思った。今の時代であれば、ヒップホップが好きだと言った方が、それっぽく聞こえるのかもしれない。しかし、聴いていて世界が輝き出す感覚を与えてくれるのは、やはりポップスしかない。年代のせいと言われてしまえばそれまでだが、そう思う。「ease your mind」は、在宅勤務中の仕事のBGMとして定着した。シンプルなサビのリフレインが、資料の海にダイブしていくにあたってちょうど良い。

joanの楽曲は、80年代を思わせるサウンドに、現代の若者らしい、ピュアで繊細な歌詞が乗っかっている。そういう意味では、最近のJ-POPよりもアラフォー世代には親しみやすい入り口を持ったグループかもしれない。

帰宅して、直近のEPをダウンロードして聴きながら、Googleで彼らのプロフィールを調べてみた。

米アーカンソーのリトル・ロックを拠点に活動するエレクトロ・デュオ。元々異なるプロジェクトで活動していたAlan ThomasとSteven Rutherfordが出会いバンドを結成。2017年、ファースト・シングル「take me on」を発表。2018年、Avicii を初め数々の大物を手掛けてきた敏腕プロデューサー、Carl Falkの耳に留まりスウェーデンの音楽レーベルと契約しデビューEP『porta』をリリース。Bloc PartyをはじめThe Aces、Flor、Jeremy Zuckerの公演のサポートを務めた。11月にはフィリピン、タイ、香港、シンガポールを周るアジア・ツアーを実施。Dork誌の「2019年に注目すべきアーティスト」に選出。2020年2月にはUSツアーを実施し、ソールド・アウトが続出。8月、6曲入りのEP『cloudy』をリリースする。

出典:https://carolineinternational.jp/2020/06/29/joan-want-u-back/

彼らの楽曲がアジアから火がついていることはさもありなん、と思ったが、驚いたのは活動拠点である。

アーカンソー州。

大統領選か何かで、名前しか聞いたことがないその場所について調べてみた。彼らは、どんな場所で音楽活動をしているのだろうか。

アーカンソー州は、ミシシッピ川流域にある米国南部の州です。山や洞窟、川、温泉に恵まれたこの地域は、自然公園や野生生物の生息地が豊富なことで知られています。州の北西部にある岩の多いオザーク高原のある地域には、ハイキング トレイルや、ブランチャード スプリングス キャバーンズなどの鍾乳洞があります。州都リトルロックには、ビル・クリントン元大統領が任期中に携わった資料を所蔵するクリントン大統領センターがあります。

出典:google

アーカンソー州のプロモーションビデオはこんな感じである。

キャッチフレーズは、"THE NATURAL STATE"。自然が豊か。言葉を選ばずに言えば「田舎」である。Wikipediaからは、共和党支持者優位の保守的な文化の地域であることも伺える。よくこんな場所で音楽活動をやっているな、と思ってしまうが、逆に言うと、こういう場所だからこそ、80年代の雰囲気が冷凍保存されたまま、現代の若者の感性で歌い上げる独特の世界観が生まれるのかもしれない。

そして、そんな彼らには「Tokyo」という曲がある。

Tokyo

Feel it
I can feel it coming
You're touching my heart
You're touching me

Feel it
I can feel it burning
It's more than a spark
There's a fire in me

We can go to Tokyo on the first flight out tomorrow
I don't know what the future holds
I just want to feel this moment
Maybe this summer love
Maybe we just sleep in for tonight
Tonight

Can't believe it
Can't believe it's coming
Our time's running out
Our time's running

We can go to Tokyo
On the first flight out tomorrow
Don't know what the future holds
I just wanna feel this moment
Maybe this is summer love
Maybe we're just living for tonight
Tonight

映画やドラマでしか観たことがない、アメリカの田舎町の若者。
荒涼としたロードサイド。うらぶれたダイナー。
保守的な両親とコミュニティ。
ヒップホップ、クルマ、セックス、ドラッグ。

どこかへ行きたいが、どこへも行けない若いカップルが、
ある日、意を決して飛び立つ先に選んだのが「Tokyo」。
彼らは何を求めて、アジアの都市を目指すのか。
この曲には、その理由は全く書かれていない。

「僕たちは東京に行ける。未来はわからない。ただ、この瞬間を感じている。」

アメリカの田舎町のカップルが夢見る"Tokyo"。

もしかしたらそこには思いがけない、私たちの未来へのヒントがあるのかもしれないと思ったりする。





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