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中小企業が「人事評価制度」を導入する前にしておく4つのこと

私はこれまで、人事コンサルタントとして300社以上の制度づくりに関わってきたのですが、「会社に人事評価制度を新規導入したい」と依頼をいただいても、残念ながら話が先に進まないことがあります。
 
理由は“会社の体制・体質”です。人事評価制度を導入するには、4つの点をクリアしておく必要があると思っています。

(1)その制度は「目的に合致」しているか?

ご依頼をいただく社長様から、「人事評価制度を導入して社員のモチベーションを上げたい」という言葉をよく聞くのですが、実は人事評価制度と社員のモチベーションアップとは、直接結びつきにくいのです。
 
ハーズバーグの「動機づけ・衛生理論」によると、“動機づけ要因”と“衛生要因”は別個のもので、賃金制度のようなものは衛生要因に分類されています。つまりモチベーションを上げるというよりは、不満がなくなるようにするものなのです。
 
また、マズローの「欲求5段階説」においても、賃金に関することは「生存」とか「安全な秩序」といった心理に関わるものとされており、解釈を広げても「帰属の欲求」くらいに留まると言われています。「帰属の欲求」や「承認の欲求」は、人の群居衝動を刺激するので一時は効果があるのですが、長続きはしないのです。
 
これらのことからも分かる通り、「人事評価制度でモチベーションアップを」という発想から始めるのはドンピシャはまることはなく、別のアプローチから始めなくてはいけない可能性が高いのです。

(2)「関係性」は醸成できているか?

人事評価制度はそもそも、社員の成長についての会社の決意表明であり、社内コミュニケーション手段の1つです。
 
これを誤解して、「制度を入れたら自動的に何かが変わる」と考えている方もおられますが、そうはなりません。会社を構成するのも、制度を動かすのも“人”なので、機械的には動かないのです。
 
ではどうすれば良いのか。私の提案は「関係の質の向上から始めよう」というもので、MITのダニエル・キム教授の「組織の成功循環モデル」が参考になります。
 
通常、何らかの成果を求める行動を突き進めていくと、どうしても関係の質が落ちてしまいます。すると思考の質も低下し、連鎖的に行動の質も落ちてしまって、成果が上がらない、というバッドサイクルに陥ります。
 
これを関係の質の向上からスタートさせると、思考の質も行動の質も上がり、そして成果が上がるというグッドサイクルができるのです。これは、社内改善をするときのスタートラインから発想を変えていかなければならない、ということを意味しています。
 
ここまで、4つのポイントの中で2つについて触れました。残りの2点と詳しい図説はWebで掲載しております。ぜひ下記を参照の上、人事評価制度の導入について考えるきっかけにしていただければと思います。
 
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本記事はWebセミナーのダイジェスト版です。より詳しく知りたい方は、下記をご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=OPugSiE0E2A