コント・お遊戯会の練習

◯幼稚園の先生が立っている。

先生「はーい。皆んな。それじゃあ今度のお遊戯会の歌を歌います。お父さんやお母さんやたくさんの人が見に来てくれますから、しっかり練習しましょう。さんはい!」

◯園児と一緒に歌を歌う。

先生「はいストップー!皆んな〜、控えめに言って聞くに耐えないよ。こんな下手くそな歌はあっちゃいけない。大人舐めちゃダメだよ?特にリサちゃん。リサちゃんは音程が外れてるから口パクでいいって言ったよね?何度も言うけど、リサちゃん誤解しないでね。君は見た目が凄くいいから、ニコニコしているだけで十分華があるの。歌うとその輝きが減っちゃうよ?逆にタカシ君は見た目こそ良くないけど、5歳でもうテノールが完璧に歌えるんだから率先して歌ってほしいの。適材適所って言葉教えたよね?出来ることだけやればいいんです。先生が言ってること間違えてるかな?よし、歌いましょう。さんはい!」

◯歌わせる。

先生「はいストップ!…リサちゃん。歌っちゃダメだと言ったよね?君は素材が良いんだから活かしていこうよ。美味しいリンゴをわざわざ泥水に漬けて食べるかな?そのまま食べた方美味しいよね?素材を活かすってそうゆうこと。いいかなリサちゃん?これだけは覚えといてね?君は将来凄く美人になると思うんだ。今は恵ちゃんや桃香ちゃんといったお友達とつるんでることが多いけど、もう少し自我が芽生えてからはもっと顔面偏差値が釣り合うお友達ができる。あ、恵ちゃんと桃香ちゃんも誤解しないでね。君達だってある程度までは行ける。中学高校までは顔面よりもどの組織に属しているかが鍵を握るんだ。そこを上手くやれれば君らにも可能性はある。頑張って。はい、でリサちゃん。続きに戻るけど、君はこれからの人生で常にトップに君臨するポテンシャルがあるんだよ。その歌さえ誤魔化せればね。いいかな?歌下手で可愛いと思われるのは思春期を過ぎて二十歳頃になってからだよ?それ相応の面白い人達にいじられて初めて成立するものなんだ。それまでは、歌を歌っちゃダメだ。もし君がそのまま歌を歌い続ける人生を選択したら身を滅ぼすよ?あくまでも君の為に言ってるんだ。いいね?それと、タカシ君。相変わらず最高の歌だね。でも歌う時目と鼻の穴がカッと開くのだけどうにかならない?見た目が良くないからさ。見るに耐えないよ。適切な言葉が見当たらないんだけど、豚みたいなんだよ。せっかくの歌声が君の顔とセットになるとブーブー言ってる様に聞こえちゃって、あははは。ウケる。うん、頼むね。何なら顔隠しちゃえ。ね?じゃあ皆んなもう一度歌いますよ!楽しく笑顔で伸び伸びと歌いましょう。あと、先生が指摘したことはちゃんと一度で直しましょうね?君達は猿じゃないんです。豚とか猿とか、ここは動物しかいないんですか?あれ、リサちゃん!泣いてるの?いいよいいよ泣きなさい。現実と向き合うって辛いことなんです。ワンワン犬みたいに泣きなさい。今日からここは動物園だ。歌うぐらいなら泣いていたほうがいいと思う。泣き顔すらも絵になるねぇ。あれ、タカシ君!君も泣いているの?君に泣く権利なんかあると思う?紅の豚って作品知ってるよね?あの作品の中にこんな台詞があります。飛べない豚はタダの豚だっ!何が言いたいかわかるよね?歌えない豚はタダの豚だっ!甘えるんじゃないよ!はい、皆んな、何を怖気付いているのかな?大人になったらこうゆう理不尽なことばっかりですよ!せめて今ぐらいは楽しく笑顔で伸び伸びと歌いましょう!行くよ!さんはい!」

《完》




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