コント・(株)公園警備

◯公園
パリッとしたスーツを着たフレッシュな青年・山下が公園のベンチに座っている。緊張した面持ちである。
そこへ、見るからにホームレスである男・田中がやって来て隣に座る。
田中はしばらくリンゴを食べているが、食べる部分が少なくなって地面に捨てる。
山下は、その様子をじっと見つめている。

田中「…えっと、君かな?山下君って」
山下「はい。山下です」
田中「ああ、どうも。田中です」
山下「はい。失礼致します」
田中「んー、君のことはねえ、かねがね採用担当者達から聞いてるよ。ここまで来るなんて大したものだよ」
山下「ありがとうございます!」
田中「あれ。緊張してる?」
山下「あはは。ええ、少ししちゃってます」
田中「あはは。まあ、最終面接っていっても肩肘張らずに自然体で話してもらっていいからね」
山下「はい」
田中「まぁ、一次二次とかで聞かれまくってこりごりだとは思うんだけどさ、今一度、どうしてウチの志望動機を聞かせてもらってもいいかな?」
山下「はい。私は、御社の風通しの良いところに惹かれました」
田中「風通しはたしかにいいよ。風も雨も遮るものがないからね」
山下「はい。また、若いうちから大きな仕事を任せてもらえるところも魅力的でした」
田中「そうだね。はじめからダンボール集めてきたり、元からいる先輩の分も食料集めてきたり、やること沢山あるからね」
山下「若いうちから実力があれば認められるってところも私に合っていると思います」
田中「多分どこよりもうちがサバイバルだからね。その風土はどこにも負けないと思うな」
山下「御社に入ったら、誰よりも遅く起きて、誰よりも長くダンボールの中にこもって睡眠に励みます」
田中「いいね。若い頃はドンドン先輩の技を盗んで、吸収していかないといけないからね。君見どころあるよ。じゃあ僕からも質問していいかな?」
山下「はい」
田中「今日、スーツで来たのには理由があるの?」
山下「ああ、はい。スーツで来た方が、他の就活生との差別化ができるかと思いました」
田中「そうかあ。でもね、君の素の部分が見えてこないんだよ。この業界って個性うんぬんよりまず、素をいかに恥ずかしがらずに出せるかってところなんだよ」
山下「はい」
田中「他の人より個性的だと思われたいなら、君ファッション業界とか行った方がいいよ。厳しいこと言うようだけど」
山下「…すみません」
田中「…じゃあ、面接は以上です。結果についてはまた、改めて採用担当の方から連絡させてもらいます」
山下「…はい。ありがとうございました」

山下、しょんぼりと落ち込みながら立つ。

山下「失礼致します。(田中の捨てたリンゴを見て)あ、このリンゴ、まだ食べれそうなんでもらっていいですか?」
田中「…いいけど」
山下「ありがとうございます。失礼致します」

山下、去る。

田中「この課題を見事クリアするとは…。これは将来有望な若手が現れたわい!」

《完》

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脱サラしてフリーで動画作成等してます。1日1作 短編コント・漫才を上げてます。お見知りおきを!

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複数人で演じるコントの台本でございやす。🤼‍♂️

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