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ニンプ無責任記録 ~つわりの終わりとダイエット~

妊娠20週に入った。

前回の検診で胎児の大きさは15cmほど。エコー検査も、股から検査棒を突っ込まれるやつではなくお腹の上から器具をあてられるやつに進化した。

前回の投稿から間が空いてしまった。
戌の日参りをしたり、パートナーと互いの親に挨拶したりと細々イベントをこなしつつ、たいがいがつわりの収まるのをじっ…と耐えて待つ数週間だった。
吐き気が収まり、しぶとく残っていたえずきもなくなって、ようやくつわりが収まったかなと感じられるようになってきた。
つわりがつらいつらいとばかり書いてもアレかなと思い筆をとらなかった部分もあるのだが、その中でも少し症状の変化があったので、まずはそれを書き残しておこう。

前回の投稿で、自分の場合は食べづわりだったこと、食べても食べても体重が増えなかったことを書いた。
あれがつわりの前半期だとすると、後半期は、ダメな匂いや吐き気などおおまかな症状は共通しつつ、食べた分だけ体重が増えるようになってきた。
また同時に、食べたときにも空腹時とはまた違った気持ち悪さを覚えるようになった。
空腹時が「胃が痙攣するような感覚」だとすると、食べたときのそれは「胃が消化しようと活発に動き回るのが気持ち悪い」という感じ。平常時に食べ過ぎたときのように、喉元に食べたものが迫ってくるような感覚があった。

恐らくその症状の変わり目が、胎盤の完成する時期だったのだろう。
胎盤はだいたい妊娠15、6週ごろに完成して、胎児は胎盤を通して母体から酸素や栄養分を取り込むようになる。それまで胎盤をつくったり、胎児という異物を体内に抱えるためにエネルギーを消費していたのが、不要になったことで通常の消化・吸収のサイクルに戻ったのかな、と思っている。

まだ吐き気が残る中で、食べても食べなくても気持ち悪い、という状態になったのはつらかったが、16週を過ぎたあたりからほんの少しずつではあるが症状がやわらいでいく気配があった。
その日の体調によって気分の上がり下がりはありつつも、少しずつ少しずつ嘔吐が減って、吐き気も減って、あまり抵抗なくお出かけもできるようになっていった。
18週ごろから日に一度もえずきが出ない日が増え始め、19週からはほとんど平常時と同じように過ごしていられるようになった。
(まだ少し苦手な匂いは残っているが)

振り返ってみれば丸3ヶ月ほどだろうか。
一生終わらないんじゃないかと思えたつわり期間。つらい3ヶ月だったが、ようやく明けたという安堵でいっぱいだ。

いや~、よかったよかった。


ところが、である。
2週間ほど前になる前回の検診で、問題が発生した。

自分が通っているクリニックは、診察前に血圧測定と検尿を提出してから、呼ばれるのを待って診察室に進む。
その日は、診察室に入るとほぼ同時、お医者様に開口一番怒られた。

「あなたね、血圧上がりすぎ」

言われた言葉も理解しきれないうちに、目の前にある体重計に乗るように促される。体重計の上に立ち、数値が安定するかしないかのうちにまた一言、

「ほらね。体重増えすぎ」

そうなのだ。
わたしはここ数週間でめちゃくちゃに太っていたのだった。

そりゃそうだ。
なんせめちゃくちゃ食べていたから。

食べづわりなのをいいことに、ちょっと吐き気を覚えるとすぐに何かを口に入れていた。
特につわりの症状が緩みはじめてからは、それまでなかなか食べる気にならなかったコンビニの焼きそばパンだの、カップ麺だの、パスタだのをここぞとばかりバクバク食っていた。
だってさァ、うまいんだもの。
申し訳程度にこれまたコンビニのサラダを一緒にかき込みながら、1日3食も4食もそうした食事を続けていた。
そりゃね、太りますよ。カロリー過多、塩分過多。

その日、お医者様の目の前で体重計に乗ったとき、つわりで食欲がなくいちばん体重が減っていたときから比べて5kgも増量していた。それも、食べた分だけ体重が増えるようになった直近2,3週間の間で急激に増えたのだ。
そりゃ血圧140超えますわ。
こうして「妊娠高血圧症候群」、いわゆる妊娠中毒症の立派な予備軍となってしまったのである。

お医者様からはこんこんとお説教を受けた。
もともと、妊娠中の体重管理にかなり厳しいと評判の先生だった。
己の自己管理能力をハナから信用していないわたしは、甘えないように、厳しく言ってくれる先生がよいとそのクリニックを選んだのだ。

評判通りの厳しい言葉を浴びせられ、体重管理と食事制限を言いつけられた。
私は神妙にそれを受け入れた。
妊娠高血圧症候群は胎児の発育不全や機能不全を引き起こしたり、重症の場合は母子ともに生命の危険にさらされる。

「あなたが死ぬのは勝手だけどね、お腹の赤ちゃんの命を守れるのはあなただけなんだよ」
先生の厳しい言葉が身に染みた。


そんなわけで、2週間前から人生初めてのダイエット、初めての食事制限が始まった。

食べたものを逐一記録して、摂取カロリーと塩分量を把握する。そして1日1時間程度の運動。
特に、1日の塩分摂取量を7、8g程度に収めるというのが至難の業だった。

もともと自炊はするし料理は好きだが、ふだんの手癖で味付けするとあっという間に塩分過多になる。
「減塩 レシピ」で検索しては少しでもおいしそうな料理を見つけて、ちまちま献立を考える。量も控えめ、腹がいっぱいにならなくても決まった塩分摂取量を超えそうになったらそこで食事終了だ。小腹が空いたらおやつはささみにきゅうりにブロッコリー。
「人生の最大の楽しみは食べること」タイプの自分には、それはそれは厳しい2週間だった。
喜びがない~…状態である。

おいしいものを好きなだけ食べて、それで早死にするなら本望、という考えの人間だったので、これまで「低カロリー」だの「減塩」だのを謡う料理やレシピには眉をひそめてきた。
「そんなもん気にするくらいなら始めから食うな、食うなら腹くくっておいしく食え」などと笑っていた過去の自分を、心の底から反省した。

いろいろな事情があって食べるものを制限せざるを得ないひとたちがいて、そんな中でも少しでもおいしく食べられるように、食の楽しみを失わないようにと工夫が凝らされてきたことを、痛感した。
料理研究家の皆さま、企業各社の皆さま、大変申し訳ございませんでした。もう二度と足を向けて寝ません。

それから、市販の料理やお惣菜にこんなに塩分が多いことも、恥ずかしながら初めて意識した。
同じ料理でも、自分で作るのと出来合いのものを買うのでは塩分量がぜんぜん違う。ちょっとしたおかずを2品買っただけで、1日の推奨塩分量を超えてしまう。
買い食いばかりでは健康によくない、と言われる言説をよくよく理解した。
今回のダイエット期間だけでなく、今後の食生活を長い目で見直すことにもなりそうだ。

(しかし、自分は自炊が出来るだけマシだったな、とも思う。
料理が苦手だったり、仕事が忙しかったり、経済的な事情だったりで、栄養バランスを守った食事の確保が難しいケースもきっとあるだろう)


ようやくつわりが収まって好きなものが食べられるようになったと思ったのに…と落ち込まないではなかったが、やるしかないので、やる。
ひとまず2週間後の次の検診まで、ストイック生活を続けてみる。


時々息抜きしながらネ…
サムネはいまいちばん食べたいやつ

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