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大阪弁でも京言葉でもない『方言』 #方言note

今さら言うのも、なんなんやけど。関東にきて6年ちょっと、どちらの方ですかって期待満々に「絶対大阪の人だよね!」という目で見られてしもたら、ついつい「大阪です」言うてましてん。せやけど、実はうっすらと後ろめたさがあるんですわ。うちのだんなは、自信もって胸張って「大阪です!」言える、大阪西成の生まれなんやけど、私は限りなく京都に近い大阪『府』の一地域で生まれ育ちましてな。実家で暮らしていたころは、そこに住んでる言うたら

「あんたんとこ、京都やん。ほぼ京都やろ?」

と、大阪市、八尾市、堺市より南の大阪人たち、なんなら同じ北摂エリアの豊中や箕面の人らにも言われてきましてな。

そしたら京都か言うたら決してそうではおへん。
行政区域が大阪府や、いうんだけとは違いますで。
京都で働いていたころは、京都在住の同期や先輩らに、

「やっぱり大阪の人やなぁ」

って、よう言われてきましてん。

そうそう。『京都の人』と使う場合は、ちょっと気ぃつけた方がよろしいで。洛中の京都人には、自分ら以外を京都の人間と認めてへんひとも、いてはりまっさかいにな。さいぜん話した職場の先輩は、

「うちらは、京都の人間ちゃうねん」

言うてはりました。そのひとは、伏見の竹田の人でしたなあ。宇治の人は「京都」言わんと、「自分は宇治出身や」言わはります。まぁ、よそさんが知らんでもええ、『いらんこと』ですわ。あ、洛中がわからん? さよか。あとでぐーぐるさんに聞いときなはれ。

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まあそんなんで、「大阪です」と言いながらも後ろめたさを感じてましてん。そやからこれからは「大阪府です」言うとこかいなあ思ったりね。まあそれ言うたら「え? 大阪でしょ? 大阪じゃないの?」って、そういう複雑な事情は介せん『よそさん』に聞かれますさかいに、これからも「大阪です」言うと思いますわ。まあ聞こえるか聞こえんかわからんくらいの音量で『ふ』言うといたら、ちょうどええやもしれませんな。

そんな『大阪ふ』の出の私は、横浜で暮らすようになってもずーっと言葉は変わらしません。『標準語』っちゅうやつを、よう喋らんのですわ。だんなは西成で生まれたのに、横浜では器用に標準語も使いこなすバイリンガル。息子も標準語と大阪弁を上手に使いこなし、「ここはちょっと一発かましといたろか」というときには、濃いめの大阪弁使ったりしよります。

そやけど、私は標準語、よう使いませんねん。使わんでも通じるしねえ。

「おたく、これ落とさはったんちゃうのん?」
言うて、電車で定期入れ落とさはったお姉さんに言うても通じるし。

「奥さん、カバンの後ろ開けてはりますよ」
って駅のエレベーターで言うたら「あら、ありがとうございます」言われまっさかいに。

息子は「力と圧で相手にわからせてるだけや」なんて、失礼なこと言い寄ります。こんなに丁寧に話してるのにねえ。

こちらで仲ようさせてもろてるお友達も、関東やもっと遠い遠い東の方の出の人が多いんやけど、私が「大阪弁」で喋っててもなんも問題なく会話が進みます。へえ、みなさんええ人らでっせ(注:みんなー!ほんまにそう思ってるからねー!)。

そやけどまあ、世の中いろーんな人がいてはりますな。なかにはこんな人らもいてはりました。

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友だちに誘うてもろて、美味しいもん料理して食べるいうイベントに行かせてもろた時でした。2時間ほど料理して、ほな、ちょっと広い場所に移動して食べましょかいうときに、さっと私の横に来はったひとが言わはりました。

「関西の方ですよね。実は私、大阪なんです」

言葉から大阪の匂いを完全に消してはったひとですが、まあ、私がうなぎ焼きながらうちわで扇ぐくらい匂いだしてたからですやろなあ。懐かしさもあって、声かけてくれはりました。

私の友人交えて、数人で喋ったりしとったんですが、テーブルのむこっかわの人が、うちらの関西弁を聞いたあたりから、いきなり関西弁交じりに隣の人らとしゃべりだしたんですわ。

それがまあ、ねえ。習いたてのバイオリンを「最近、バイオリン習い始めてさ」って無理やり聞かされてる、みたいな感じでしてん。あ、なんや、角立った言い方やろか。いやあ、かんにんな。上手いこと言われへんで。

うちらが聞こえへん振りしとったら、まあ、音量上げはる、上げはる。ふっと視線をそっちに合わせたら、目ぇ合うてしもてねぇ。

えらい上手に関西弁喋りはるんやねぇ。そやけど、おたくがしゃべってはるみたいな関西弁、大阪でも、兵庫でも聞いたことあらへんわ。(注:『神戸』とちゃいます。『兵庫』です)京都も市内から京北町や丹後のほうも行ったことあるけど、そんな方言聞かなんだなあ。どちらのお言葉?

いややわあ。さすがに私も大人やし、誘うてくれた友だちの顔いうもんもありますやん。心の中で思うて、目ぇで言うただけですわ。そやけど、伝わりましたんやろか。その人、下手なバイオリン、あ、違うわ、関西弁、ぴたっとやめはりましたわ。

そうそう。なんでこんないらんこと、延々書いたかいうたらね。こちらのnoteこのまえ見さしてもらいましてん。


そやけど、あれやねえ。みなさんが書いてはったり、期待してはるみたいな『方言』やないかもしれへんねえ。まあ、大阪からは京都や言われ、京都からは大阪言われる地に育ったおばちゃんが言うてる「いらんことだらけ」の方言note。大阪弁でも、京都弁でもない、中途半端なこの方言。こんな方言もあるんやなあ思て、読んでもろたら嬉しいわ。

あ。

・良俗に反するなど、内容によってはマガジンから外れる場合もあります。

って、猫野サラさん書いてはるわ。いやあ、これ、『良俗』に反してへんやろか。

美味しいはしあわせ「うまうまごはん研究家」わたなべますみです。毎日食べても食べ飽きないおばんざい、おかんのごはん、季節の野菜をつかったごはん、そしてスパイスを使ったカレーやインド料理を日々作りつつ、さらなるうまうまを目指しております。