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生まれて初めてガチの野良猫を保護した話⑦

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ついに分かった性別、年齢

「性別は、女の子。年齢は、保護されたときの体の状態がよくなかったのでなんとも言えませんが、10歳から、15歳くらいの可能性もあるかなと」

動物病院で、先生にそう言われてびっくり。そんなにシニアの猫だったなんて! 3年前の写真があったから子猫じゃないと知ってはいたけど、シニアなら余計に、外の世界は辛かっただろうなあ。

「避妊手術されていなかったので、こちらでしました。血液検査の結果、猫エイズや猫白血病などの病気はありませんでした」

ああよかった。ホッとした私たちに、「ただ…」と先生。

「お腹の毛が、毛玉になってガチガチに固まり、バリカンも入りませんでした。そのせいですぐに手術ができず、かと言って麻酔を追加するのは負担が大きすぎるので、シャンプーなどはできませんでした」

そんな状態だったんだ…長毛種の野良猫には、そういうリスクがあるものなのか。

「それと、口の中の状態が、かなりひどいです。血液検査で、白血球の数値だけが異常に高かったのも、そのせいでしょう。口内炎と歯の炎症が相当重いのですが、この子は体重が2.7キロしかなくて、かなり弱っているので、これ以上の治療は、今はできません」

2.7キロ。どきりとしました。もともとの体形はあるにせよ、我が家の猫たちの半分ちょっとの体重だなんて。

「まずは、1ヶ月。しっかり休ませ、栄養をつけて、治療ができる状態まで、回復させてあげてください」

しっぽは捕獲機の中で、こちらをにらむように、じっとうずくまっています。いろいろ問題はあるけれど、とにもかくにも、助けられてよかった。この体の状態じゃ、冬を越せなかったかもしれないもの。

ちなみに診察代の合計は、32000円。保護猫用の特別料金とは言え、昨日の病院の約8分の1ってことに、びっくりしました。

どうしたらいいの

かくして、我が家にやってきたしっぽ。

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捕獲機を開けると、ケージの中の段ボールハウスに、すばやく入っていきました。そして一番奥の奥で、隠れるようにしゃがみます。

「ひとまず今日は、ケージは全部布で覆って、そっとしておきましょう」

中には、お水と、ドライフード、そしてウエットフード。えつこさんのアドバイスに従い、どちらのフードもいろいろな種類をお皿に山盛りのせました。猫の好みが分からない場合の方法なんだとか。段ボールハウスからほんの少し顔を出せば食べられるよう、ハウスのすぐ前に設置します。

どうか落ち着いて、少しでも食べてくれますように。そう祈りつつ、翌朝までしっぽの部屋には出入りしないでおきました。

そして、次の日。

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しっぽは相変わらず段ボールハウスの一番奥。でも、よく見るとカリカリが、ちょっとだけ減っていました。よかった、ごはんを食べたんだ。

えつこさんに、さっそくメールで報告。

『2日くらいまったく動かない子もいるのに、ごはん食べるなんて本当によかった。しっぽ、すごい!』

とはいえ、心配なことはたくさんありました。

まずは、匂い。衰弱していてシャンプーできなかったしっぽは、全身が汚いままで、あちこちゴミや枯れ葉がついています。覆っている布をめくるだけで独特の匂いがするのですが、そんなことはいい。私を威嚇しようと「シャーッ」と口を開けると、1メートル近く距離があるのに、強い悪臭がするのです。

これだけ匂うなんて、口の中の状態、どれだけ悪いんだろう。そして、どれだけ痛むんだろう。

あとは、トイレを使った形跡がないこと。きっと怖くてトイレまで行けないんだ。病院から帰って半日は経つのに、我慢して体に障ったらどうしよう。これに関しては数日後、実は段ボールハウスの中で2回ほどおもらししてたってことが判明するのですが、それまでずっと、気が気じゃありませんでした。

とにかく、しっぽが早くこの環境に慣れるよう、細心の注意を払って接していこう。そして、一日も早く口の治療ができるようにしなきゃ。

そう決意したのに。

私はこのあと、しっぽをとんでもなく怖がらせるミスをしてしまうのです。

⑧へつづく

我が家の猫たちとのエピソードはこちらに。

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