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生まれて初めてガチの野良猫を保護した話⑥

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しっぽのための部屋

しっぽを入院させた私たちは、えつこさんのアドバイスのもと、しっぽが療養できる環境を整えることにしました。

捕獲作業をはじめたころから「捕まえたら、人間に馴れるまで我が家でお世話して、里親さんを探す」という話になっていたのです。

「静かで落ち着く環境にしたいので、できれば扉がある部屋をひとつ空けてもらえると理想的ね。ケージを用意して、それをすっぽり覆う布もほしい」

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結果から先に見せると、ケージ第一弾はこうなりました。

我が家の猫たちが日向ぼっこスペースとして使っていた、小さいけど一番日当たりのいい部屋を空け、愛用していた段ボールハウスも、しっぽにあげることに。水は、頻繁に注ぎ足して怖がらせないよう、ペットボトルから勝手に補充されるものを。布で隠れている部分には、トイレとフードが置かれてます。

ちなみに、なぜ「ケージ第一弾」なのかというと。

実は捕獲後すぐに、しっぽ用の二段ケージをネット注文しました。

「捕獲した猫は、馴れるまで長い間ケージから出てこないことが多いの。二段なら中でたくさん動き回ることができるから、おススメ」

なのに肝心の二段ケージの到着が予定より遅く、しっぽの退院に間に合わないのでした。するとえつこさん、

「だいじょうぶ、折り畳みケージを貸してくれる人がいるから」

ということで、夫に取りに行ってもらいました。帰ってくると、彼は、

「なんか、とんでもない一等地に建ってるビルのオーナーさんが、貸してくれた…」

その方は、千匹を超える猫たち、犬たちをボランティアで救い続けた、保護活動の祖のような存在なんだとか。渋谷区動物愛護ネットワークという組織を立ち上げ、70歳を機に引退してからは、グッズの貸し出しや相談役をしつつ、趣味でタバコ屋さんをやり、保護犬であるワンちゃんと静かに暮らしているとのこと。

ひゃー。こっちは1匹保護するだけでもひーひー言ってるのに、そんなにたくさん! 私が全然知らないところで、いろんな方が活動してるんだなあ…。

消えない罪悪感

感心する一方で、実は私は、罪悪感も感じていました。それは、一緒に暮らしている猫たち、鳥たちに対して。

彼らがいつもくつろぐお気に入りの場所を、しっぽのために空けさせてしまった。大好きなハウスも取り上げちゃったし、動物たちと過ごせる時間の大半を、このところずっとしっぽのために使ってる。

あそぼうよ、とか、なでて、なんてアピールされても、しっぽのことで時間が圧迫されて、なかなか応じてあげられない。

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特に甘えんぼのアルクは、「なーーーーーーー!」と大声を出して関心を引こうとしたり、お腹によじ登って動かなくなったり。

ごめんね。私が決めたことで、みんなに負担をかけたくないのに…。しっぽを助けられてうれしい、という気持ちとはまったく別のところで、この罪悪感は、ずっとついて回りました。こういう気持ち、たくさんの猫と暮らす人たちは、どうやって解消してるのかなあ…。

しっぽをお迎えに

さて、一通り準備ができたところで、動物病院から連絡が入りました。

「検査と治療が終わりました。しっぽちゃんを迎えに来てください」

うお、ついに!

うれしい反面、緊張もします。なにせしっぽについては、年齢、性別、病歴、経歴、性格などなど、ほとんどなにもわからないのです。

なんて言われるんだろう。しっぽは今、どんな状態なんだろう…?

⑦へつづく

我が家の猫たちとのエピソードはこちらに。

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