見出し画像

商業誌出版時に著者が実施している10種類の宣伝方法とは

商業誌を出版したときに、著者がどんな宣伝をしているのか、ということは意外と知られていません。それぞれの著者がさまざまな宣伝方法を使っていますが、ここでは私がどのような方法を使っているのかを紹介したいと思います。

この投稿は「技術同人誌・商業執筆 Advent Calendar 2021」に参加しています。

前提:本は出せば売れるわけではない

書店では毎日のように新刊が並ぶ、という話を聞いたことがある人は多いでしょう。総務省統計局の調査によると、年間の新刊は約7万2千冊となっており、毎日約200冊もの新刊が出版されています。

これは書籍全般の数字ですが、技術書(コンピュータ書)に限っても、毎日のように新刊が出ている、ということになります。つまり、出版すればそれで店頭で取り上げてもらって売れる、ということはありません。

当然、出版社からもさまざまな宣伝をしていただけますが、著者も読者に届くように、新刊が出たことを伝えていく必要があるのです。

宣伝1:Twitter、FacebookなどのSNS

これは多くの著者が取り組んでいるでしょう。フォロワーが多い著者はもちろんのこと、私のようにそれほどフォロワーが多くない著者の場合も、新刊が出たときに発信しないと意味がありません。

投稿するだけであれば無料なので、積極的に投稿するべきだと思います。ただし、あまりにも宣伝の投稿ばかりになってしまうのも問題なので、そのあたりのバランスは難しいところです。

Facebookであれば、書籍のFacebookページを作成すれば、そのページをフォローしてくれた人に定期的に情報を提供できるのもメリットです。

宣伝2:書籍の献本、寄贈

出版するにあたって、お世話になった方や知り合いなどには、出版した本を献本します。その本について興味がある方であれば、喜んで受け取ってくれますし、SNSなどで宣伝してもらえるかもしれません。

また、所属する組織や団体などにも献本します。私の場合は日本技術士会に加入していますので、献本すれば「月刊技術士」という広報誌で紹介してくれたりします。また、「クラブ・ウィルビー」という団体に加入しているので、そのメンバーニュースで取り上げてもらったりもします。

住んでいる地域の図書館にも寄贈します。見ず知らずの場所の図書館では、受け取ってもらえない場合もありますが、住んでいる市区町村などの場合は、地域に関連する著者として特別に扱ってもらえる場合もあります。

宣伝3:書店でのPOP

大きな書店では、技術書が平積みにされていることも多く、そこにPOPが飾られている場合があります。書店員さん自ら書いていただいているものもありますし、出版社が作成したものを営業担当者さんがお願いしている場合もありますが、著者が作成したものも中にはあります。

著者が作成する場合、1件ずつ書店を訪問しながら、POPを置いてもらえるように著者が書店員さんにお願いしています。飾っていただけるかどうかは書店員さん次第ではありますが、書店員さんと仲良くなれば、いろいろなお話ができることもあります。

私の場合は手書きのPOPを作って、都内の書店をブラブラしながら、お願いしています。実際にどのような効果があるのかを測定するのは困難ですが、書店に自分の本が並んでいるかを確認する意味でも、たくさんの書店を訪問しています。

宣伝4:自分のホームページ、ブログでの掲載

書籍は出版社のサイトが公式の内容ですが、著者も自分のホームページがあれば、そこに紹介文を掲載して出版社のサイトにリンクできます。ホームページだけでなく、ブログなどでの投稿も同じです。

私の場合も、自分のホームページで掲載しているだけでなく、このnoteでもたびたび投稿しています。
似たようなタイトルの本はたくさんありますので、検索されたときに多くのサイトに情報があることは重要です。

宣伝5:キャンペーンの実施

ビジネス書では「Amazonキャンペーン」といって、Amazonで購入した人に特典を付与して、一時的にAmazonのランキングを上げる、という方法が使われる場合があります。

他のキャンペーンとして、書籍のプレゼントキャンペーンがあります。書籍のブログ記事を書いてもらう、レビューをしてくれることを前提に、書籍を無料でプレゼントするものです。

上記の「宣伝4」のように自分で記事を作成するだけでなく、他の人に記事を書いてもらえると、それだけ紹介記事が増えることになります。これも有効な手段だと思います。

最近では、Twitterでのフォロー、リツイートを前提に書籍をプレゼントするキャンペーンを使うこともあります。これは「宣伝1」にもつながります。

宣伝6:セミナーの登壇

ITエンジニアの場合、多くのセミナーや勉強会が開催されています。こういった場に積極的に参加して登壇するのです。ただし、書籍の内容を宣伝するだけで登壇するのは問題なので、技術的なコンテンツについて発表しながら、自己紹介として書籍を出版したことをPRします。

LT(ライトニングトーク)など短時間の登壇であれば、募集している勉強会が豊富にありますので、こういった場所であれば気軽に登壇できます。
また、出版記念セミナーを開催する方法もあります。集客が難しい場合もありますが、出版社によっては支援してくれる場合もあります。

宣伝7:プレスリリースの送付

報道機関に対して、プレスリリースを送付するのも1つの方法です。メールなどでプレスリリースを受け付けているメディアもありますし、プレスリリース配信会社を使用する方法もあります。

メールなどで個別に送信する場合、無料で掲載を依頼できます。ただし、掲載されるかはそのメディアの判断になります。個人でも投稿できるメリットはありますが、私の経験上、取り上げてもらえることは少ないように思います。

プレスリリース配信会社の場合は有料になります。月額で契約する方法もありますし、1つのプレスリリースだけで契約する方法もあります。個人でも登録できる配信会社があり、数万円から配信できます。

宣伝8:SNSやGoogle Adwordsでの広告

FacebookやTwitterといったSNSでは、有料で広告を出せます。著者がSNSで投稿しているだけでは届かないような層にも、広告であれば発信内容を届けられるのです。

もちろん、それなりにお金がかかります。クリックされても購入されない可能性があることを考えると、1クリック100円といった金額では明らかに赤字になってしまいますが、「知ってもらう」という目的では1つの選択肢だと思います。

私も何度か広告を出していますが、その効果はなかなか判断が難しいところです。ただし、数字としてクリック数などが見えるのは便利だと思います。

宣伝9:新聞広告や記事広告

インターネット上の広告に限らず、広告媒体は世の中にたくさんあります。テレビCMや駅の看板などもありますが、これらは金額的に大きく、書籍の宣伝を著者が1人で出すのは限界があります。

次に考えられるのが、新聞などの広告です。全国紙になると費用が大きくなるため、出版社から出してもらえる可能性もありますが、地域のミニコミ紙であれば、現実的な値段になってきます。

また、PR記事を作成し、それを公開してもらう、という方法もあります。メディアによっては、記事を増やしたい意図もあり、関連するコンテンツであれば掲載してもらえる場合があります。

宣伝10:チラシの印刷、配布

このデジタル時代に紙?と思う人がいるかもしれませんが、意外と有効なのがチラシの配布です。といっても、街中で配るわけでなはなく、打ち合わせなどのたびに取引先に手渡すのです。

当然、名刺などにも著書の情報を入れますが、打ち合わせで紙を渡せば、その相手が自分の席に戻ったときに周囲の人に紹介してもらえるかもしれません。メールなどでは一度見たら何度も見返すことはありませんが、紙の場合は机の上に置かれていると、ふと気になってしまうものです。

最近ではネット印刷の会社も安くなっており、100枚をカラーで印刷しても、送料込みで1000円以下ですので、気軽に印刷できるようになりました。

最後に

ということで最後に宣伝です。本日発売の新刊、『図解まるわかり アルゴリズムのしくみ』、ぜひ購入お願いします!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?