深淵—猫を見るとき、猫もまたこちらを見ているのだ
引っ越しをして約5ヶ月になります
新居はペット可の新築物件!
気に入っているところもたくさんあります
陽当たりが良く、大きめのベランダもその1つ
ベランダの扉を開けると、左手にお隣さんの部屋の窓があり、そこにいるのは猫!
茶トラのかわいい子で、左耳の先端に、逆三角形のカットが入っています
愛護団体などによって去勢をされた元・野良猫だと思われます
飼い主以外の人間が珍しいのか、はたまた急に人が出てきたから驚いているのか
両手をついて座ったまま、首と背筋をおそらく最大限まで伸ばし、こちらの様子を伺っています
私としても、かわいい家猫を見れるのはうれしいこと
ベランダのヘリに干している布団に体を委ね、日向ぼっこをしながら茶トラを見ていました
それ以降、茶トラは私を見ると体を起こし、不思議そうな表情でこちらを見るように
しばらくすると、体を横たえたまま片目で確認するだけになり、「慣れてきてくれたんだな」とうれしくなったものです
猫が心地良さそうな顔で日向ぼっこをしたり、体をくねらせて遊んでいるところは、なんてかわいいのでしょう……!
家具と窓の間に挟まり、まさにその隙間の形になって寝ているところのおかしさと言ったら
いろいろな仕草や表情を見せてくれるので、いつまでも飽きずに見ることができてしまいます
そんな風に茶トラの観察を楽しんでいました
ある日、布団を干すためにベランダの扉を開けたところ、いきなり茶トラと目が合ってしまいました
私が出てきたから反応した、というよりは出てくるのを待ち構えていたように見えました
心なしか、眼光もいつもより鋭いように見えます
翌日、また布団を干すときも同様に待ち構えていました
私がいつ出てきても見ることができるよう、常に見張っているのでしょうか?
私が茶トラの様子を見て楽しんでいるとき、茶トラもまた私の様子を見ているのだ—
これが深淵……!!
私は一体、茶トラにどう思われているのでしょうか?
雨の日は、私はベランダに姿を現さないこと
天気が良ければ、休日に布団を干すこと
寝起きで目やにの付いたニヤニヤ顔を向けること
他の人間の気配がないことから、おそらく一人暮らしであろうこと
カラスにハンガーを盗まれ、呆然としていたこと
きっといろいろと観察されているのでしょう
それ以降、特に用事がなくても、なるべくベランダに姿を現すよう心がけています
「何か変化を付けたら、茶トラは楽しんでくれるのだろうか?」と考えながら
ところでニーチェ先生、私の深淵の使い方はあってますか?
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