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相談・ソーシャルワーク・CRM

文教大学・立正大学学生研修《講義録》
2004年9月27日
Theme『相談・ソーシャルワーク・CRM』

今日は、皆さんの福祉事務所での実習を前に、実習を受けるにあたって、皆さんに多少なりとも有益な情報を提供できればと良いなと考えています。
短い時間ですが、10:00から11:00まで、多少時間を超えてしまうかもしれませんが、よろしくお願いいたします。
話の内容については、皆さんに書いていただいた調書でしょうか。
前もっていただいておりますが、そこで皆さんが共通して興味を持っているのかなと思われる部分になるべく関連するような話を進めたいと思います。
具体的には、一言で言えばソーシャルワークの話になると思います。
それでは早速話を進めたいと思います。
やはり、福祉系の大学や学部で卒業時に持っているべき資格と言いますと、社会福祉士であろうと思いますが、こういった資格は、本場イギリスでは、医者や弁護士と同等に尊敬されている職業であるとのことです。
これは、言わば、社会福祉士が相当専門的で高度な能力を要する仕事として期待されているということだと思います。
社会福祉士の勤務先としては、日本社会福祉士会の資料によりますと、一番多いところが老人福祉施設20.4%、次は医療機関13.5%、3番目が知的障害者福祉施設10.2%となっておりまして、
社会福祉協議会8.1%、市町村(行政)7.2%となっているということです。
そんなに市町村で働く社会福祉士は多くないわけですが、例えば、市町村で現在社会福祉士の活躍が期待されているのは、いわゆる専門的と言いますか、領域別と言いますか、そういった相談部署や機関だと思います。例えば、本市で言えば、児童相談所、保健所、保健センター、こころの健康センターとか、身体障害者・知的障害者更生相談所とか・・・これらは政令指定都市となって、本市ではだいたい整備が済んでいます。
そういったところでは、やはり社会福祉士の方に活躍していただけるのだろうと思います。
あとは、各区役所の福祉事務所もそうであるとお考えのことと思いますが、勿論相談毎も福祉事務所としては受けるのですが、はたして相談部署と考えて良いのか、福祉事務所はソーシャルワークを実践しているのかと言われれば、甚だ疑問が残ります。
私も福祉事務所で、旧浦和市時代に児童福祉課というところに居たことがありますが、もちろん窓口を構えていますから、結果として様々な相談を受けることは多いのですが、自分達の所管以外の部分できちんと相談にのれるのか・・・ということです。
市民の方は福祉事務所に、どちらかと言うと、インテーク的な機能を、つまり全ての保健福祉サービスを、しかもそれは市のサービスだけでなく、国や県、社会福祉協議会や社会福祉事業団のような外郭団体的な機関、そして民間の事業者、NPOからボランティアさんの行なうサービスまで、それらのサービスを全て含んで、サービスのコーディネートを望んでくるのだと思うのですが、残念ながら福祉事務所では、そういった対応体制はできていません。良く総合窓口なんて言ったりもしますが、そういった部署を設けている自治体でも、そこまで包括的にサービス情報を蓄積して適切に市民に相対しているところは、とても少ないのではないでしょうか。
そう言ったわけで、例えば児童福祉課に生活保護の話が来れば、生活保護の担当に話を繋ぎますが、相談に来た方の状態について、じっくりと総括的に勘案して、必要なサービスを手当てしてやるという機能はなかなか発揮できていないという部分がございます。
まあ、これはなぜなんだと言えば、福祉事務所の各担当は相談部署ではなくて、やはり分野別にサービスを提供する部署であるということです。
つまり、市民の方がどこかでサービスの存在を知って、区役所に来た後、その特定のサービスを受ける受けないといった相談に対応するということで今までやってきたのだと思います。
それでは、これから我々はどうすれば良いのかということですが、その、今まで出きていない部分、つまり、根本的な部分について言ってしまえば、全ての公民の保健福祉サービスにはどのようなサービスがあるのか、こういった情報だって全て集約して市民に提供ができていません。これは大問題です。
市民が自らのニーズに合わせてどんなサービスがあるのか知ることができないのです。
例えば皆さん、ショッピングセンターで洋服を買うことがあるでしょう。その時には、ショッピングセンターに行けば、洋服がある程度ずらっと並んでいますよね。だから、それを見て一番良いと判断したものを買い求めます。そして買う場合は、お店のファッションアドバイザーと言いますか、そういった方にアドバイスを請うことができますよね。
あの、私は役所に入る前は洋服屋に勤めていまして、森英恵さんというデザイナーをご存知ですか?あまり若い方は知らない人も多くて、もう子供用の伝記まで出版されているようです。
実は、ワンマン経営者の森英恵先生の御主人が亡くなってから経営が上手くいかないで、会社が潰れてしまったわけです。
で、今月、初台の新国立劇場で最後のオートクチュールショーを開催したんです。
私は、その会社、ハナエ・モリインターナショナルという会社の社員でした。その時、何回か、セールの時とか、お手伝いでお店に出たことがあるんですが、やはり、お店の売り子さんというのは実に見事で、お客さんの要望を一言二言で見極めて、お客さんの望む商品を出してくる。または、着こなしについてアドバイスをしますね。お客さんのニーズにあった商品提供ができるので、商品は売れますし、お客さんは満足します。
こういったお客さんとお店の関係性と言いますか、ニーズのマッチングと言っても良いでしょう。こういった関係性をしっかりと改善していきましょうという考え方をCRMと言います。
聞いたことがあるでしょうか。
これはconsumer relationship managementの略で、最近は、行政でもCRMの導入が盛んに各自治体で謳われています。
その場合は、CRMと言いましても、citizen relationship management の略ということになります。
こういった洋服屋さんは、他にも結構細かいことにも配慮をしていますよね。皆さん御承知とは思いますが、例えば体型に洋服がぴたりと合わなければお直しもしますよね。それから店頭に希望する色の商品がなければ他の店に電話して、あれば送ってもらうとか、それからハナエモリの店ですと、お店は「ひよしや」と言っていたのですが、あの、徹子の部屋というテレビ番組ご存知ですか?今でもあるのかどうかわかりませんが、あそこで黒柳徹子が着ているのがハナエモリの商品だったんです。するとお店に黒柳徹子さんの着ていた洋服が欲しいといった方が見えることがあります。
そういう時は、その洋服がリストになっています。何月何日の徹子の部屋で使った商品はこれであると直ぐ分かって発注ができるわけです。これは、テレビドラマや映画でも同じです。
今お話したことは、一軒の洋服屋さんの話でしたが、最近は、池袋の東武百貨店だか西部百貨店だか、どこでもあるのでしょうが、デパートとしてコンシェルジュ(総合コーディネーターですね。)が配置されていまして、デパートの中のお店を横断して、商品を見繕ってくれるようになりました。
あの、ホテルにいるコンシェルジュが良く、CRMでは引き合いに出されます。
彼らに、今日は楽しいこと何か無い?って聞きますと、近所のイベント情報から、イベント会場に行くバスの時刻から、イベント会場近くの美味しいレストラン情報まで教えてくれる。しかもタクシーや劇場の切符の手配までしてくれるわけです。
大分、脱線してしまいましたが、保健福祉のサービスについても、そういった洋服を購入する時と同じような対応が必要だと言いたいのです。
サービス情報の提供、サービスニーズの見極め、ニーズに合ったサービスの提供です。
そして、それがまだ実現されていない。
国は御承知のように保健福祉サービスが、その商品の一つ一つを比較できるように第三者評価制度を作りました。その評価内容が公開されれば、市民がサービスを自ら選択しやすくなります。
後は、先ほど言いました洋服屋さんの方とか、デパートのコンシュルジュです。その機能を、行政としてではありません。行政は保健福祉サービスの一端を担っているだけですから、民間サービスを含めて、全てを対象として、市民個々に最適なサービスをマッチングさせるということです。
これが行政のと言うか、市の、または地域の大きな課題なわけです。
皆さんが社会福祉士として社会に出られて、ぜひ担っていただきたいのは、こういった役割です。私は、そういう期待を皆さんに持っています。
で、今のところ、市役所、区役所にはそういった機能は無いと言いました。そういった総合的なソーシャルワーク機能はまだありません。
さて、次に、今お話ししたことを、地域福祉の観点から見ていこうと思います。
それでは、本市の福祉(計画)の理念を見ていただこうと思います。資料の3頁を御覧ください。読んでみます。
※資料を読む
これが、本市が目指す福祉です。
ここには大きく4つのポイントが含まれています。
まず、最初は、市民一人ひとりが・・・充実した人生を送る。幸福になるということ。そして、そのために、個人の状況に応じた効果的、効率的なサービスを供給するということが必要だということ。
次に、市民・事業者・行政の協働で事業を展開していこうということ。
この場合、まずは市民が主体となってください。市民主体で自分達が今必要とするサービスを見極めて、まず自分達でニーズを充足していく。そして自分達が必要としながら、手当てが不可能な部分は事業者に、事業を行なう上で必要な援助などについては、行政に委ねていく。いわゆる補完性の原則と呼ばれるものです。こういった考え方です。
そして、最後にコミュニティの再構築です。
皆様ご承知のとおり、地域福祉の話です。
市民が地域で主体性を持つためには、コミュニティとしての活動が必要であろうということですが、実際に、これから先、団塊の世代が高齢化して地域に帰ってくる。また、高齢者、障害者も施設から地域に帰ってくるわけです。彼らをケアするのは地域において活
動するコミュニティ活動であるわけです。
勿論地域におけるコミュニティとは、単なる住民、自治会や子ども会といったことだけではなく、地域において事業を展開するNPOや個人ボランティア、株式会社もそこに居たっていいわけです。
特にここのところ期待されているのは、いわゆるコミュニティビジネスです。地域の人による地域の人のためのビジネスです。
なぜ、ここのところ地域福祉の振興が言われるのか。と言いましても、実は40年も前から地域福祉は謳われています。石油ショックなんて聞いたことがあるでしょうか。経済情勢が悪くなると行政は直接サービスを手放したくなるものなのでしょうか。ただ、先ほども触れましたが、地域福祉は自分達で自分達の受けるサービスの費用と質、量を決めることができるという積極的な意味もあります。
公のガバナンスの一翼を市民が担っていけるという非常に良い理念でもあります。
さて、なぜ福祉が地域の担い手によって実施されなければならないのでしょうか。それは、福祉はhuman service だからであります。
物を売る産業や、例えば外食産業も、サービスを生み出す場所と、サービスを提供する場所が違います。工場でモノを作って(外国で作る場合もあります)、商店で売る。外食産業も、集中キッチンで食事を作ってレストランで食事を提供します。
しかし、福祉については、地域に居住するお客様に、その場で直接施す仕事が主になります。そこが他の産業とは異なる部分です。
地域において、一人ひとりに細かに対応する必要があります。これは、行政だけでできるようなことではありません。
行政は、市民の全ての人に、同じサービスを平均的に提供することは得意でした。
特に補助金を支給する事業とか市全体をカバーするシステム(制度)を作るとかいうことですね。
しかし、個々の状況にきちんと対応することは苦手としていたのが実態だと思います。(と言うよりは、今までは平均的な手当てを整えるのに精一杯だったのだと思います。国が豊かになり、個々に対応することができる世の中になってきたということでしょうか。)
つまり、今までは福祉はwelfare(金銭的充足)が中心でしたが、これからは、human service(人的直接サービス)で効果的、効率的なサービスを必要とするということ。
なぜならば、地域に存在する個人個人のニーズに対応することが国家の目標になってきたからです。
そして、各々の態様に合わせたサービスを行なうということは、個々に対応する様々なサービスを一人に対して集中させるというこ
とです。単一のサービスではないわけです。様々なサービスが個々に収斂することが必要なのです。
これをもって我々は、保健福祉サービスの総合化が完成すると言って良いと思っています。
様々なサービスが個人個人に収斂すること。これから実現していこうとするのはこういったことです。
そして、そのためにはどうすれば良いのかということです。
今までは、サービス機関が連携をとって(ネットワーク化して・・・ネットワーク化って何だと思いますか。ネットワークというものが連絡網のようなことであったり、何だか良く分からないんですよね。
ワークと言うんですから、各々が連携して動くということなんでしょうが・・・)云々と言われてきましたが、今、実は、情報の集積、活用がとても大事であるということと、それを元にしたコーディネート、ソーシャルワークというものがとても重要なのだと分かってきたわけです。
それが、今後行政や社会福祉協議会に与えられた一番重要な役目です。第一次的な、直接的なサービス供給は、民間が主になるということです。
社会福祉協議会も、民間事業者が育ってまいりますと、やはり、その役割は在宅介護事業を行うといったことではなく、権利擁護と地域福祉の振興、ボランティア活動の振興等を中核とするものとなっていきます。
事業者と一緒に社会福祉協議会が競争原理の元で事業を営んでいくなんてことは考えられないことです。
様々なサービスが個人個人に収斂することを実現するんだと申し上げましたが、そのために、まず相談体制をどうデザインするのかということが重要です。
相談の内容にしても、悩みを聞いて、従来ありがちでしたが、その悩みの原因、ニーズをカバーする制度は今のところ無いんですよね・・・じゃ済まないわけです。
相談を受ける人間は、もし今現在相談に来た人を救う公的なサービスが無くても、小さなボランティア活動を含めて、様々な事業を全て参照して、個々が満足するよう本来コーディネートしなければならないし、場合によっては新たなサービスを生み出すお手伝いをする必要があるかもしれない。
また、単純に言ってしまいますが、相談は全て結果を出すこと。
完結させること(良くソリューション(完結)の提供と言いますが)が重要になります。
こういったことを考えると、相談とは、相談を受ける人がただ居れば良いというものではない。相談に結果を伴わせるためのバックオフィスの整備、例えば相談内容の蓄積や、その相談内容を解析するデータマイニングといった機能も絶対に必要なんですね。
そして、実は相談や住民要望の扱いも、行政対市民の構図だけで話していてはいけないということがお分かりになったと思います。
福祉サービスは公的サービスだけではない。相談や住民要望の扱いも公民全てのサービスについて考えなければいけないんですね。
そして、今、行政が相談や苦情対応、要望対応を実現するために一番重きを置かなければいけないと考えていることは先ほども触れましたが、それは情報(の扱い)です。
市民や事業者にとって使いやすい福祉サービス情報の集積、情報基盤の構築です。
次に資料の4ページをご覧ください。
これは、市保健福祉総合計画《地域福祉計画》を受けて、本市の社会福祉協議会が、自分の役割や市民の役割を明確にするために策定した、さいたま市地域福祉活動計画というものがありますが、その抜粋です。
我々も、この策定作業部会の委員として関わってきたものですが、一番上から読んでいきます。
※資料を読む
こういったことが今求められているということです。
そして、これを受けまして、市役所と社会福祉協議会で、社会福祉協議会に設ける機能として、こんなことを考えているということ。
両者で意思の統一が図られつつあるものが、5ページにあります、利用者本位の福祉サービス利用援助体制構築構想です。
本市では、利用者本位の福祉サービス利用援助体制を社会福祉協議会を中心に構築していきたいと考えております。
この構築構想は、市の行なう言わば(ポータルの)ソーシャルワークの形を定義したものとも言えると思います。
それでは、その利用者本位の福祉サービス利用援助体制というものはどんなものかご理解をいただきたいと思います。
資料を読んでいきたいと思います。
※ 資料を読む
そして、ここに書いてあることを実現するために、下の方にあります、①から⑧までをきちんと整備しますということです。
① から⑧まで読んでいきます。
※ 資料を読む
さて、今説明をしたことを、システムの図に書き起こしたのが9頁の図になります。
右の方に市民と書いてあるところがありますが、全ての相談対応は、ここにあります市民を中心に考えて、市民のサービス利用の過程にそって展開されなければなりません。
まず、市民は自分の要望に応じて情報収集をします。そして、その情報を元に、どんなサービスを受けたらよいのか、受けられるのか相談します。
そして、受けるサービスを選択・決定して、サービスを利用するのですが、その場合、自分で契約を結べない弱者については、権利擁護事業により利用援助のサポートをします。
そして、サービスを利用した後、または利用できるサービスが存在しないということも含めて、要望や苦情を受け、個々に対処する。
こういった過程を満足させることが必要なわけです。
この辺をもう少し例示的に説明をしてみましょうか。
ある市民が居ます。
この方は、都内に勤めるビジネスマンで、2 歳の子どもが居て、奥さんは専業主婦です。
ある日、奥さんが体調を崩して病院に救急車で運ばれました。
実は奥さんは妊娠していて、妊娠中毒症であったと。
そして、1,2ヶ月入院が必要であると診断を受けました。
そこで、このご主人は、何処かでお子さんの面倒を見てもらいたいのですが、まずご主人は、どんなサービスがあるのかネット(地域福祉情報コミュニティ)で探します。
ここで見られる情報は、図の左端にありますが、サービスの状況を第三者が評価した報告内容や、今まで市民から申し立てがあった苦情内容等も含めて参照ができます。
または、地域健康福祉連絡会とありますが、これは地域の方々の地域福祉活動を行なっている方の集まりをこう呼んでいるのですが、ここの相談窓口に相談することもできます。
この地域の相談窓口の方は、まず、地域にお住まいのボランティアなどの中で、対応してくれそうな人がいるならば、その人をご主人に結びつけます。
また、この相談をされた側の人も、地域福祉情報コミュニティを利用して、どんなサービスが適しているのか、検索し、そして、サービスの担い手に問合せをすることもできます。
地域における相談においても、なかなか適したサービスが見つからない場合とか、複雑な案件、専門的な対応を要すると思われる案件については、各区の社会福祉協議会の事務所にある総合相談窓口でさらに細かな相談にのっていくことになります。
そして、幸い、このご主人はある保育NPOに短期の保育を頼むことができました。
しかしながら、子どもがよく怪我をして帰ってくるとか、保育料の請求額が最初の話より高い・・・というようなことがありますと、そこで、苦情を、図に左側にある、第三者苦情処理機関(オンブズパ
ーソン)に申し述べます。するとオンブズパーソンが調査の上、不当なサービスが行われていると判断すれば、サービスの是正等についてNPOに勧告がなされるということになります。
そして、最後に、ここの図にはありませんが、事業者や行政は、このシステムで集められた要望や苦情を元に、事業計画を改善したり、事業をもっとより良いものに改善していくことになるわけです。
また、このご主人の家庭の事情や、相談内容、要望はデータとして蓄えられていますから、次にご主人から相談を受けた時、前回よりスムーズに、この方に適したサービスを選択することができます。
こういったサービスをone to oneサービスと言っています。
まあ、ざっと説明しますとこんなシステムが社会福祉協議会を中心に整備されるということになります。
ここでは、相談を受ける機関、ソーシャルワークをする機関、サービスをコーディネートする機関として、地域の地域健康福祉連絡会、そして各区の社会福祉協議会が想定されておりますが、様々な情報が情報基盤上に整備されていれば、誰でもそれを参照して、あ
る程度の相談にのることができるようになります。
もちろん、地域健康福祉連絡会、区の社会福祉協議会が、全ての福祉サービスの窓口として、相談窓口が一元化されたということになりますが、こういったことも大事なのですが、情報を整備すると、誰でも、どこでも、どんな方法でも(電話でも、メールでも)相談
ができて、または、相談を受けられるようになりますし、(これって顔を知られずに匿名の相談も可能になるということでもあります。)
また、相談をする前に、豊富な情報から相談者が自分で解決できてしまう場合も増えると思います。
そういったわけで、私たちは、この情報の集積や情報システムの構築を、とても重要視しているのです。
もう少し言えば、こういったいわゆるIT技術が無いと、ソリューション的な相談対応は不可能であるということです。
こういった考え方は、本市では、既に福祉の分野だけに留まらず、全庁的に(市の行なう行政サービスについてだけですが)、同じような形で市民に対応していこうとしております。
社会福祉事務所ですが、こういった方向性でありますので、これから先、福祉事務所が市民にとってまず最初に総合的に相談にのってもらえる機関になるということはないのではないかなと思っています。もちろん情報が整備されれば、ある程度の相談にはのれると思いますが、やはり、これから先、福祉サービスが公ではなく、民が主体ということになると共に、地域における地域福祉が重要ということになりますと、地域や民間の社会福祉事業者と関わりの深い社会福祉協議会が、その主体となること、そして、もっと身近で相談にのることができる、地区社会福祉協議会地区に設けられた市民主体の地域健康福祉連絡会の働きが重要になると考えているわけです。
先ほどone to one サービスの話を申し上げましたが、その人にほんとうに適したサービスを迅速に選択して、提供するには、やはり個人情報の蓄積を行なわなければなりません。皆さんご承知のとおり、個人の情報を行政が蓄積するということは、現在ではまだ難しいということもあるということをご理解いただけると思います。
そういった面からも、民間団体たる社会福祉協議会の役割は大きいと感じております。
いろいろと、短い時間でお話をしすぎたかとも思います。また、まとまりも無く恐縮でございましたが、最後に簡単に今日のポイントまとめますと、相談というものには、どういった要件が必要なのか、相談というのは窓口を設ければ良いというものではありませんよということ。その受けた相談をきちんとサービスやサービスの改善に繋げるバックの仕組みが必要なんだということ。そしてソーシャルワークの機能として、一番押さえて欲しいのはソリューションとしてのソーシャルワーク。とにかくニーズか課題を解決、完結に結びつける試み、それは必然的に社会に不足する新たな福祉事業の創出に繋げることが求められるということ。
この辺をしっかりと押さえていただきたいのです。
また、継続的に、一人ひとりの住民ニーズにきちんと対応するためにも、やはり市民の情報を蓄積する押さえるための情報基盤の整備がとても大事であるということをご理解いただけたのではないでしょうか。
言葉が足りずに恐縮でございますが、以上のようなことを頭に入れまして区役所に行かれますと、また違った視点から業務を体験できるのではいかと、ご期待申し上げます。
最後にちょっと宣伝をさせてください。
(電子会議室の設置について話す。)
はい、それでは今日の話は終わりです。
もう少し勉強されたい方は、ぜひ市のウエブを覗いてみてください。保健福祉のいろいろな計画に関する情報を御覧いただくことができます。
また、ご質問、ご意見、ご叱咤等をメールでお寄せいただけるならばありがたいと思います。12ページの下の方にメールアドレスを書いておきましたので、よろしくお願いいたします。
お疲れ様でした。

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