ガルパンと鹿島臨海鉄道のその後

(本記事は2019年2月5日にMediumにポストしましたがこちらに転載いたします) 

こんにちは。やる気に大変ムラのあることでお馴染みのmassinaです。
今日は久々に鹿島臨海鉄道の数値をアップデートしつつガルパン効果がその後どうなってるかというのを見てみたいと思います。

■おさらい
最初は2013年の話になりますが、のと鉄道の業績と花咲くいろは、鹿島臨海鉄道の業績とガールズ&パンツァーそれぞれの聖地巡礼効果、みたいなことを書きました。なんとなく論文風にしてみたかったのでWordからPDFにしてアップロードしたものでした。
「のと鉄道と鹿島臨海鉄道に見る萌えアニメ聖地巡礼の収益効果」

これを元に2014年、2016年と簡単にアップデートしたものもありまして、
→ 2014年 「のと鉄道の決算書に見る「花咲くいろは」のその後、鹿島臨海鉄道の決算書に見る「ガルパン」効果のその後」
→ 2016年 「ガルパンと鹿島臨海鉄道の業績、花いろとのと鉄道の業績(2016版)」
となっております。
この先に行く前にこの辺をまず読んでおいて下さいますとありがたいです。

■売上高の推移
で、それから2年経って2018年版やらなきゃーと思って鹿島臨海鉄道の数値見たんですけど、日本全国の地方私鉄の一般的な状況からしてダウントレンドで予想引きたくなるんですが、明らかに上振れしている状態が続いてますね。景気のせいもあるかもしれないのだけど(というかそう考えるのが普通なのだけど)、ガルパン効果続いてますね!という話なのかなと思ってます。

そんなトレンドラインなんか引くなよという感じもなくはないですが、震災の影響を除いたものを見たかったので、2010年度、2011年度を調整して平準化し、そのトレンドをそのまま引っ張っている感じです。トレンドラインがあろうとなかろうと、2012年度以降、貨物の回復よりも旅客の回復の方が大きいことがわかるのと、附帯事業(鉄道ではない鉄道関連事業)も伸びてそのまま水準を維持していることが読み取れます。

ちなみに長期ではこんな感じに見えますが、減少に歯止めがかかっている、くらいの評価になるのかもしれません。

■営業費用の推移
営業費用の方は運送費と販管費を絞っている一方で、小さい金額ながら償却が2016年から相対的に高止まりしているのですが、これは8000形の投入によるものと思われます。結果、売上も費用もこの数年はほぼ横ばいが続いており、安定しているように思われます。

■旅客数を見る(鉄道統計年報)
というか聖地巡礼というなら純粋に乗客増えたかどうか見ればいいんじゃね?という話になるわけでして、最初に鹿島臨海鉄道とガルパンの関係見始めた頃はまだオンラインで旅客数データが取れなかったのですが、ここ数年国交省が鉄道統計年報をオンラインで出すようになってくれたので、そちらでデータを見ますと、定期外利用者が安定的に増えておりまして、グラフだとわかりにくいのですが、2012年度(TV本放送があった年度)から2016年度にかけて1割程度の増加を見せています。定期の方はほぼ沿線の通勤通学ということになりますけれど、こちらは極めて安定的です。結果、定期外旅客の比率はこの5年間で36%から40%上がっており、肌感覚として観光客増えたなあくらいのことは感じそうですね。

■鹿島アントラーズは関係ないのか
鹿島臨海鉄道といえばガルパンの前にそもそも鹿島アントラーズだろう、その成績にも左右されるんじゃないのか?というツッコミもあるような気がしますが、どうなんですかね、地元のサポーターが多いとして、地方であることを考えると鉄道利用者がどの程度なのかというのは多少疑問な気はします。ただWikipediaでカシマスタジアムの動員数の推移を眺めてみると、2010年以降は概ね30万±4-5万という年間動員数に収まっているものの、数万の変動はあり、ホームは車比率が高いとしてもビジターはそうもいかんなあと思うと、東京駅からの直行バスなどがあるにしても鉄道に与える影響は数千はから万単位でありそうな気もします。定期外旅客数が78万から86万と増えてきている中で考えても変動要因としてはそれなりに意識しておく必要はあるように思います。
駅別乗降客数データがあれば一発なんですけどね。

■観光客数も見る(茨城県観光客動態調査)
そんなわけで大洗だけのデータがないかとなります。そこで茨城県の統計ページに観光客動態調査というのがありまして、観光客のデータが取れるんですが、入込客統計が出ています(入込客統計は国交省が定義しています)。インバウンドだなんだで統計に連続性がなく、ただ、東北の震災の年から取れるデータなのでこちらで大洗の観光客数を見ますと、2012年の回復からさらに2013年に県全体を超える伸びを示していて、それなりにガルパンの効果はあろうなという感じがいたします。
県の資料で10万人以上の集客力のあるイベントが各年記載されているので、あんこう祭りの動員数眺めてるとガルパン前後で数万増えていることから、大洗の入込客総数で1-2%の増加要因にはなってるのかなって印象になるんですけども、月次データがあるので丁寧に見るとたぶんもっとちゃんとした話ができるかもしれません。
とりあえずデータは貼っておきますね。


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