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<オンラインイベント#1>海外の大学で学ぶ友だちと話す会まとめ

僕が話たいなって思う友だちと話をするのを皆さんとも勝手に共有する会。第1回はタイの大学に通うKeito君との話です。途中、参加者の皆さんにも無茶振りしつつ(笑)楽しく学びのある会になりました。

Keitoと僕のつながり

Keitoは僕が先生をしていた時の教え子のお兄ちゃんで、僕自身は教えた事はありません。まずここがちょっと個人的には笑える。彼が留学するかどうか迷っていた時に、相談相手になって欲しいという事で会ったんだけど、出会った時にはもう99%は行きたい、みたいな。「あとちょっと背中を押して欲しい」って感じだったので、すぐ背中を押しました。
Keitoは日本の大学を休学してその間に海外の大学に留学する、っていうプランだったんだけど、それは僕の母校であるAPU(立命館アジア太平洋大学)では当たり前のことだったので何も迷う事はないだろう、と。少し気になっていた保護者も、彼の決断を応援する決心がついていました。
その後、休学していた日本の大学を辞めてタイの大学に進学する、と聞いた時にはちょっと驚いたけれど、大学入学に向けてどんどん準備していく姿はむしろめちゃ頼もしくて、背中を押す必要も、もうなくなっていました。英語力も伸ばしていたし、タイのバイトみたいなのものしていたし、タイ語も上達して、自分のことをアピールするのに簡単なHPを作っていて、アプローチが日本のいわゆるAO入試とかとは違っていて面白なって思ったのを思い出しました。
ということなのでそれからは帰国するたびに一緒に飲みに行っていろんなことを話していたんだけど、今年ももうすぐ帰ってくるはずの時期に音沙汰がないもので、コロナウイルスのこともあったから、これはもしや帰国できないのでは、、、と思って連絡したらやっぱりそうだったんです。んで、タイの様子とか聞くのは面白いだろうし、きっと俺以外にも興味を持ってくれる人がいるだろう、ということでわざわざPeatixでイベントを作ってSNSで宣伝して開催することになりました。

起業家精神(entrepreneurship)を学ぶこと

1つの問題を見た時に、その問題の背景には何があるのかということを考えることは問題解決では当たり前のことだと思います。例えば、ある貧困地域では子どもが学校に通えないから、それを解決したいとする。学校がないなら作ればいい、学校があるならもっといい学校にすればいい、学費を無料にすればいい、などは教育的なアプローチです。しかし、「貧困地域」と設定した通り、農業に従事しないといけない子どももいるだろうし、何時間もかけて水を汲みに行かないといけない子もいるでしょう。兄弟や家族の面倒を見ないといけないかもしれません。つまり教育の側面以外のアプローチが必要になります。Global issuesはこのような多面的な問題が複雑に絡まって起きており、そこでKeitoは、これらの解決のために様々な専門家の先生に師事し勉強しながら、問題を解決する方法を学んでいます。そしてその中でビジネス(profit)とビジネスではない団体(non-profit)がいかにして手を取り合って課題解決に向かえるか、その間くらいをいくのが社会起業家ではないかと思っています。将来的には、そんな垣根が必要なくなり、どんなビジネスも利益を追求しながら社会課題に対して責任を持ち、社会と共に歩んでいく社会の実現を目指しています。CSRという考えにも似ているなと僕は思いました。

自分は恵まれている、と気付いた

Keitoはバックパックなどをして世界を見てきた中で自分はたまたま親のサポートがあって恵まれて生きているんだということを知りました。それを基準にして生きていくのは違うんだ、ということを考えました。東日本大震災のボランティアに参加し、政府の支援だけではどうにもならない(今もコロナウイルス の中、政府だけが問題に対処するのは難しいとみんなが体感していると思います)ことで、でもこれを個人レベルで寄付や援助しても、持続性がない。だから社会がなりたち継続していける仕組みがないといけない、と思った時に、十分な利益を出しつつ活動を続けられるような考え方として社会起業家がふさわしいと思うようになりました。

今まで考えていた社会貢献に対する考え方のずれ

社会貢献、っていうと、国連などの国際機関やNGO・NPOを想像する人が多いのではないでしょうか。以前よりは企業による社会貢献が多くなってきたとはいえ、私が中高生と接していると今でもそんな風に思う人が子どもにも大人にも少なくありません。そして、僕の印象だと、新社会人になる人たちがそこで働きたい!って思う比率は一般企業に比べると、まだまだ低いのかなって思います。ここ数年、かなり変わってきてるよね、って僕は思ってたけど、少なくとも勤務していた学校の生徒たちはそういう感じではなかったかな。とはいえこれもあくまで個人的な印象ですが。
でも例えばアメリカでは、名門大学出身でもNGO・NPOで勤めたいという人がたくさんいるそうなんです。例えばTeach for AmericaというNPOは、全米の文系大学生就職先人気ランキングで1位になったこともあるんです。その時はGoogleやAppleをおさえてです!すごいですよね。(社会や経済の仕組み、寄付に対する考え方などが全然違うので、日本とアメリカを比較することが適切ではないかもしれませんが。)

タイの現状

この2ヶ月ほど、スーパーくらいしか店が開いておらず夜間外出禁止令も出ています。髪も切りにいけません。家からほとんど出ず、ずっと家にいます。でも、元々は自炊するよりも外で食べたり出前を取ったりマーケットや露店で買ったりしていたので。アルコールもしばらく販売禁止になっていました。(アルコールがあるとつい、外でパーティーしちゃうから!?)コンビニの棚からもアルコールがなくなっていたとのことです。これには驚きでした。日本の緊急事態宣言は、ご存知の通りあまり制限がきつくなかったので、他国でのロックダウンの状況には驚くことが多いです。また新年のイベントが「延期」になったということで、、、「中止」ではなく延期というところが少し不思議でした。(カンボジアも新年関係のことは9月に移行することになったと参加者の方が教えてくれました!)観光立国のため、ホテルなど観光業関連で働いている人たちが職を失ったりしているとのことです。

実は世界中とつながっていた瞬間を実感

ここでKeitoの友だちで、現在ドイツの大学に留学中のTakuya君にドイツの状況を聞いてみました。ドイツでも大学には一歩も入れず、4月から始まった新学期も完全にオンラインで行われています。Takuyaは正規生なので帰国する必要はなかったのですが、他の交換留学などの1年間留学の学生は帰国しなくてはいけなかったようです。ドイツを留学先に何で選んだのか、とかドイツでの留学生活はどうなのか、どうやったらドイツ留学できるのか、などいろいろ質問したんですが、むしろ彼のブログを読んだ方がわかりやすいと思うので、ぜひ気になる人はこちらをチェックしてみてください。ドイツでのサッカーのこととかいろいろ書いてくれています!(INELOG ドイツ留学とドイツ生活について綴るサイト)ドイツでの学費がすごく安いとか、生活費のこととか、ルームメイトのこととか、僕も全然知らなかった話がたくさんあってとても面白かったです。
さらに、今度は、アメリカでLinguistics(言語学)を学んでいて、これからタイの大学でBachelor(学士)を取りに編入する予定、かつこれからKeitoと同じentrepreneurshipを学ぶ予定の人も参加していることがわかり、気づけば世界を繋いでいたんだということがわかりました。日本は夜8時、タイは夕方6時、アメリカ(シアトル)は朝4時、ドイツは昼の1時ということで、異なるTime Zoneがつながっていることをみんなで実感しました。

大学でのコミュニティ

Keitoの通うタマサート大学にも日本からたくさん交換留学生がいるけどKeitoは彼らとは友だちではないそうで、でもそれはコミュニティの違いだよね、という話になりました。それは交換留学生がみんなそうということではないし、正規生だからって別に交換留学生と仲がいい人もいると思います。僕も何十年も前にカナダの大学に留学していて、その時はなんと100人の日本人と同じタイミングで留学したんです。最初は一生懸命その人たちと離さないようにしてたんだけど、途中で「何で喋られないようにしてるんやろう」と思って話してみたら、結局今でも時々相談したりするくらい仲良くなりました。だから今の関係性を考えれば、あの時話しかけて良かったな、と思います。
一方で、その日本人留学生と話している時間の分だけ現地の学生と話す時間が減っていたワケなので、わざわざお金と時間をかけてカナダまで行って何してんの、ということにもなるよな、とは思います。実際、カナダでできた友だちで今もつながっている人はそんなにいない、というか、ほぼいません。(Facebookの友だちにはなっている)でもだからって留学の経験がつまらなかったとは思っていません。この辺はまた今度機会があれば書きます。
ちなみにこの大学でのコミュニティの問題は、留学中だけのことではなく、日本の大学にいても、どんな人たちと一緒にいるか、ということできっと生活は変わってきますよね。大学だけじゃなくて、社会に出てからも同じことだな、とこのnoteを書きながら思っていました。自分らしく面白くいれるコミュニティにいること、もしくはそれを作ることが大事だなと思いました。

学びとキャリアの繋がり

日本の学校では、高校生までには自分が「文系」なのか「理系」なのかで進路を考えることになります。文系か理系か、ということが職業や仕事にどんなふうにリンクするのかをよく理解しないで選択していくことになります。働いているとわかりますが、この線引きはあまり有効ではありません。私は英語が勉強したかったので「文系」ということになりましたが数学が大好きでした。(でも理科科目はそうでもなかったんですが)なので、どちらも勉強できたら一番良かったんですが、僕が通っていた学校にはそんな仕組みがなかったんです。仕組みによって子どものやりたいことが阻害されるのを見るのが僕はいやです。今は仕組みに囚われず、オンラインや学外での学びの機会がたくさんあります。とはいえ、今でも多くの生徒にとって学校が生活の中心なので、それ以外の場所に所属するのはまだまだ難しいことだと思います。(活躍する高校生たちは本当にすごいなーと思います。)また、この文理選択がキャリア選択に与える影響って大きいものがあって、学校の先生たちも進路相談に乗るときにとても難しいよなと思います。
今少しずつフィンランドなど北欧圏の学校のあり方などを勉強していて、前任校でもフィンランドの教育についての専門家をお呼びして生徒・保護者・教員で勉強させていただきました。幼い頃からキャリアについて考えるチャンスがあったり、自分のやりたいことや自分との対話を重ねておくことって本当に大事だなと思います。Keitoはそれを大学生になったときに真剣に考えたわけで、もちろんそれが遅すぎるということはないし、そして僕も含めてこれまでの人生を振り返って後悔しているということではないんですが、仮に自分に子どもができたら、とか、次の世代に対してどうキャリア教育をしたいか、と言われたら、社会も変容していることもあり、キャリア教育にもっと変化がほしいと思っています。(実際今、どんどんと変化しているのも肌で感じています!)

プロフェッショナル

ここで参加者の方にまた無茶振りをw 前に働いていた学校の保護者の方で、20代の頃にはアフリカのガーナで2年間、海外協力隊としてボランティアをされていて、今はある会社でコンサルティングをされていて、ここ10年ほどはアジアでJICAの専門家として活躍されている、という僕からしたら凄すぎるHeitoさん。ここには書き切れないほどのご経験をお持ちなのです!
Heitoさん曰く、自分にできることをやってみようと思って突き詰めてプロフェッショナルになること、これなら食べていけるかなということを自分の中で作り上げていくこと、そしてそれをどんどん経験していくことが大事だということ。同時にネットワークの大切さも教えてくださいました。
ここ2年ほどのミャンマーで若い想いを持った人たちと出会い感化され、ご自身の仕事の仕方についても考え直しています、というお言葉や、このコロナの時期はいろいろと考える大事な時期で、またこんな風にいろいろな人の話を聞けるのは大変貴重でありがたいです、と言っていただけて本当に僕も嬉しく聞いておりました。ぜひHeitoさんには今度別の機会でお話してもらいたい!と思いました。

そこにしかないリアル

最後の無茶振りは大学の先輩、Maikoさんに。私たちもう30代後半なので(笑)、若い人たちがどんな風に留学について考えているのか、ということを聞いてみたくて参加してくれたということでした。僕は基本的に先輩っ子で好きな先輩がたくさんいるんですが、Maikoさんもその一人です。20年前に大学生だった私たちの社会課題に対するアプローチと今の若い人たちが考える社会課題に対するアプローチの違いを感じたり話したりしました。そんなMaikoさんから海外にいる方への質問が、「海外に行かなければできなかったこと・海外に行かなくてもできたこと」でした。つまり、環境面なども含めて外に行かないとそもそもチャンスがないのか、それとも日本でも探せばチャンスがあるのか、ということです。
Keitoは現在大学で英語を使って勉強していますが、そこは目的ではなく、タイの環境面に着目。タイの社会はまだまだ貧富の差が大きく、また難民問題や社会政治の制度などで多くの課題があります。様々な現実について、学生レベルでも触れる機会があふれていること、政府レベルの調査活動などに携われること、そしてモチベーションを高く保ったままで勉学に励めることが日本では体験できないことだと感じています。
Takuyaの意見は、一度外に出ないと感覚としてわからないこともあって、輪郭をはっきりさせるために海外に一度出てみることが大事だと教えてくれました。「輪郭をはっきりさせる」という表現が僕はとても好きです。なんかよくわからんなーって思ってるモヤモヤが、もちろん海外に出なくてもはっきりさせられる人やこともあるとは思うんですが、チャンスがあるなら外に出ることではっきりすることもあるので、その辺りをとても的確に表現してくれたなと思いました。

ということですっかり長くなってしまいましたがこんな感じであっという間の1.5時間でした。このnoteもまとめるのにすっかり1週間もかかってしまいました。でもやってみて良かったな、と思いました。終わり。


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