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The Process of Violin Making Ⅶ

接ぎの接着が終了したら、再度、今度は精緻な平面出しをおこなっていきます。ここで出した平面側が横板(Rib)と接することになるので、きちんと出すことが大切ですね。鉋の面出しがなされていて、かける人間の技術があれば問題なく進むと思います。
いつも感じるのは、B4~A3ほどの木材の平面が綺麗に出ているときの木肌はうっとりするほど美しいことですね。写真に撮って残したいくらいです。

平面出しが完了したら、いよいよヴァイオリンのOutlineを描いていきます。先んじて完成しているRib部分を平面の上に置いて(もカタカタしないはずです)、その外周をなぞるとRibとの接着面境界が引かれます。このときに木材の杢をどう活かすようRibを置く・線を引くかも製作者の感性が試されます。
そしたらその境界からどれくらいだけ裏板が飛び出すのか、つまりオーバーラップするのかを考えて当座のOutlineを描いていきます。職人さん毎にラインを引く道具が違うのも十人十色で面白いですね。ワッシャーが一番多いのかな?

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ここまでやるのにRibが極小でも動いたら平面出しからやり直しです。痕が残ってしまいますから、そのあとを鉋で削ってリセットする必要があるんですね。なので、この行程中は電話も出られませんし、蚊に刺されていても叩いたりできません。ましてや地震が起きたら、、、これはもう運ですね。
当座のOutlineがぐるっと1周描けたら、忘れないうちにボタンと呼ばれる部分を描きます。これを忘れて次のCutまでしてしまうと、今までのすべてがパァですから。ボタンはネックと接着される部分を言います。天沢聖司くんの製作している楽器にはこの部分が無いのですけど、その辺のお話もまたおいおい(←その内とかまたの機会にが全て回収できるのか不安ですけど)。

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上の写真の四角いところがボタン。これはRibをトレースするだけでは描き切れませんので、自分で描く必要があります。そして、同じく上の写真の出っ張っているところの角もトレースの線をもとにして修正をかけていきます。写真では2コーナーしか写っていませんが、下の部分にもコーナーが2つあって、この4つのバランスが調和されるように手直ししていきます。この鉛筆のラインは完成時の縁部分になるので、ここで手を抜くと仕上がりが残念な結果になってしまいます。どの工程も手を抜くことはできないんですけれども。

完成形Outlineが納得のいくものになったら、ようやくここで裏板を切り出します。バンドソーを使うもよし、糸鋸でいくもよし。絶対に線の内側を切ることのないように、でもラインぎりぎりを攻める方が次の工程がスムースに進んでいきます。

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ハイ出来上がり。ここから厚みを荒出しして、Outline線にピッタリ合うように外周を削り(もちろん平面の部分とは90度になるように仕上げます)、裏板の表側のアーチの削りだしへと進んでいくことになります。木材が楽器の形になると一気にヴァイオリンの姿が鮮明に見えてきますよねぇ。

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