初めてのヴァイオリン

何かを始めるのに早い遅いはありません。どれだけ長く続けられる(orた)かによって結果や成果が変わってくると私は考えます。90歳になろうとしているおばあさんが、還暦を迎えた娘に「私も楽器を今のあなたくらいの歳のときに始めようと思ったんだけど、やっていたらバイオリン歴30年になっていたのにねぇ。」と語ったエピソードをお裾分けしますね。そんな感じです。


さて、じゃあ私も始めてみようかと思うんだけど、どれくらいの楽器を買ったらいいの?と悩む人は多いはずです。今回はその辺りについて少しだけ書いてみようと思います。ただし、子供の分数楽器の選び方ではなく、大人になって始めようと考えている人向けの内容ですので予めご了承ください。
あとnoteでは目次やまとめを使われる方が多いですが、ごめんなさい、長くなりますがとりあえず一気に書いてしまうことにします。


ヴァイオリンを購入する方法は沢山あり、楽器店で購入する・オークションやフリマサイトを使う・ネットの最安商品を購入する・製作家やレッスンの先生から直接購入するなどなど様々です。

まず最初にお伝えしたいのは、オークションやフリマは安易に利用しない方が身のためということ。絶対にとは言いませんが、使わない方が良いと思います。お店に調整に来られたお客さんで「こんな楽器を中古で手に入れたんですけど、どうですか?もし悪いところがあったら直して弾けるようにしたいんです。」と言われることがあるのですが、大体こういう場合はオークションやフリマサイトな場合がほとんど(8割強)です。やはり、本人もオークションとは言い辛いらしく、"手に入れた"というんですよね。先生から購入した・借りたとか、家族が以前使っていたのものをまた何(十)年振りにという場合は、皆さんそう言いますので"手に入れた"とか誰とは明かさずに"譲ってもらった"などの単語を聞くとフラグが立ちます。
で、その持ち込まれた楽器を拝見すると、もう申し訳ないくらいの状態なことが多いです。とりあえずは魂柱・駒・弦交換とナット・ペグの調整、毛替えをして肩当と松脂・クロスを新調して、見積もり合計5万円コース(税抜)。オークションやフリマサイトの相場は1~3万円ですので、見積もりと合わせると大体6~8万円がイニシャルコストとして掛かってしまいます。これなら中国製の新品ヴァイオリンが普通に買えてしまうんですよね。オークション楽器に限らず、長年保管(という名の放置)されていた楽器は、最悪の場合、魂柱が立っているところにヒビが入っていて使い物にならない or 魂柱パッチの修理(10万超コース)が必要になるなんてこともあります。少なくとも私は片手の数くらい、そういった楽器を目にしたことがあるので、オススメをしません。

オークションやフリマサイトが駄目と言っているわけではないですが、出品している人は職人さんではありませんので、見た目が綺麗だとそう書きますし、確信犯の場合は逃げの常套文句として「中古品であることを……」とか書いたりするんです。あとは無知ゆえに本人も本当に綺麗だと思っているんだろうなと感じるときもあります。細かく細部まで見ると、剥がれていたりヒビがはいっていたりということは多々ありますので、やはり現物を直接手に取って確認できる購入方法が安心ですね。

ネットで新品の最安値を購入するのはどうでしょうか。先ほどのように壊れたものを買ってしまう危険はありませんが、こちらもできることなら避けたいところです。全ての商品がそうではありませんが、安いのは何かのコストが削られていると考えられるなら、理由はそこにあるということです。
駒は弦高の調整がされていなかったり、弦もナイロン弦ではないスチール弦が張られていたり、調弦をするときに使うペグが滑らかに回ってくれなかったり、ケースが直ぐ壊れてしまうような安っすいものだったり。弓の毛もだるだるに伸びているとか、そもそもハリやコシがない弓竿なんていうこともあります。楽器の作りに関しても、2年使ったら指板ががっつり下がってしまったとか、エンドピンが抜けてきたとか、指板が白木を染めてあったとか、そういうものが多い印象があります。あくまで個人の印象ですが、数年で使えなくなるかもしれない楽器を購入はしたくないですよね。というのが安さの理由だったりします。

じゃあ、店で買うしかないの?となると思うのですが、ハイ、やはりリスクをとにかく減らしたいのであれば、お店、そして店内に工房や職人を抱えているお店が一番いいという結論になると思います。お店の回し者ではありません。
この場合、新品の楽器セット(本体・弓・ケース・アクセサリ)の合計は10万円くらいになってしまいますが、これくらいは最低でも出さないと、少なくとも5年安心して演奏できる楽器には巡り合えないんじゃないかなぁと、私の脳みそはそう出力してきます。レンタル楽器で月数千円を12ヶ月と考えたら5年後の金額は同じくらいに、もしくは10万円で買った方が安くあがるかもしれませんよね。15万円や20万円くらいの予算をかけられるなら、そのほうが絶対に幸せになれると私は信じています。
だったら、工場で作られた型番の付いた楽器を買うよりも、もう少しお金を出して個人製作家さんの楽器を買った方が、、、と考える方は、いよいよいい意味で毒されてきている証拠です。笑

とりあえず、今日はこの辺で。次回は個人製作家さんの楽器について、少しだけ自分が感じていることを書いてみようと思います。長文読破ありがとうございます。

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