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久しぶりの3部練

3部練というと、ものすごい練習量に聞こえるが、実際のところ、それが日常になってしまうと、それほどのことでもない。

3部練が日常であったのは、2006年のブラジル修行時代まで遡ると思う。

その当時、道場の真裏のチームメイトのアパートに居候していた。アパートは、PRIDEファイターのミルトン、BTTレスリングコーチのジェファーソン、パウロ・フィリョの黒帯であるチアガォン、BTTの練習生であるブラジリアでシェアしていた。狭い8畳ほどのワンルーム。完全なファベイラ(スラム街)ではないものの、低所得者向けの8階建高層住宅。無論、エレベーターなどはついていない。

朝9時ごろに起きたらまずアパートと道場の間のストリートで路上販売しているバナナかボーロ(ブラジルのケーキ)とコーヒーを買って朝食にし、柔術の練習開始。

朝練が終わった後、11時ぐらいからプロ練が始まる。

プロ練は月・水・金がMMAでマリオ・スペーヒーが練習を仕切る。火・木はレスリングでダレル・ゴーラーが練習を仕切る。最初の頃はいつも練習を見学するだけだったのだが、2、3ヶ月もすると毎日道場にいる私は顔なじみのようになって、嬉しいことに練習に混ざっても良くなった。

練習後、アパートの一室を改造してお弁当を販売している馴染みの場所まで行きお弁当(通称:ケンチーニャ、日本語でいうとまさにほか弁、ご飯とフェジョン、肉と野菜のブラジルの定番)を買い、昼食。

昼食後は道場で少し休んで、午後2時位になるとレスリングやサブミッション(ノーギ)のクラスが始まるのでそれに参加。

クラスが終わると、道場裏のストリートにある屋台でアサイーを飲み至福のひと時。

夕方6時ぐらいからはムエタイのクラスが始まり、ひとしきり打撃の練習。体力が残っていれば夜7時半からの柔術のクラスに参加。

夜9時ごろに練習が終わると、また道場の裏のアパートに戻る。昼と同じお弁当販売所で夕食を買って食べる。

食べ終わると10時過ぎになるので、部屋で仲間とテレビを見たり喋ったりしながら、夜12時前には就寝。

今こうしてさらっと内容を書いてみても、なんと充実した贅沢な練習をしていたのだろうと思う。

もちろんブラジルにいられる滞在期間は限られていたし、それを無駄にしないようにと時間が許す限り練習を行っていた。その結果、3部練、4部練下手をすると5部練は当たり前のことであった。

15年前の充実した練習とは比べるべくもないけれど、久しぶりの3部練はとても充実していた。

朝、自宅でダンベルを使った初動負荷トレーニングを2時間半。

昼食をとった後、中野に移動してセンチャイジムでムエタイの練習を2時間。

練習後に早めの夕食をとり、その後武蔵小山に移動し、オーバーリミットで柔術の練習を2時間。

2部練や3部練をするには、食事のタイミングと量がとても大切。また、移動によるストレスをなるべく軽減することも同じくらいに重要。電車での移動はそれだけでストレスで疲労度を高めるので、今回はバイクを移動手段にしたところ、かなり移動の疲れが軽減された感があった。この量をこなすには、睡眠時間は少なくとも8時間となる。

移動による時間のロスのない、また朝早くから一日中練習ができ、道場の真裏に住居と弁当屋、そして10分も歩けばイパネマビーチに突き当たるブラジリアントップチームの道場は、まさにファイターズ・パラダイスと呼んで間違いなかった。


画像:Heiko BehnによるPixabayからの画像

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