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コーチング Intro① コーチングって何?

この投稿は
私が学びながら実践している
認知科学ベースのコーチングについての
イントロダクションです。

コーチングに興味のある人だけでなく
人間や組織の成長に興味関心がある人に
向けて書いています。

この投稿を読むと
✅コーチングの大きな流れ
✅認知科学とはどんな考え方か
✅認知科学ベースのコーチング
について理解できます。
では早速行ってみましょう!

コーチングとは

コーチングの語源は「Coach」
日本語でいうと「四輪馬車、乗り合い馬車」という意味です。

Coachの元々の意味は馬車

乗合馬車の機能は
乗客をその人が望む場所に送り届けること

その意味から1800年代のイギリスでは
裕福な家庭の家庭教師のことも
「Coach」と呼ぶようになりました。

ちなみに
当時の家庭教師は生徒に対して
かなりアタリが強かったらしく
鞭を手にしていた人もいたらしいです。
その姿が馬車に乗る御者のイメージに重なったからコーチと呼ばれるようになったのかもしれません。

今のコーチングの考え方と真逆なスタンスだった
19世紀の英国コーチ(イメージ)

その後、時代は下り
コーチングに社会が注目する
きっかけを作ったと言われるのが
Timothy Gallwey(1938-)です

彼はテニスコーチとして選手に関わる中で
Coachingの重要性に気づきます。
彼のコーチングの定義は
“unlocking a person’s potential to maximise their own performance”
(パフォーマンスを最大化するために、ポテンシャルを開放すること)
というものです。

Timothy Gallweyは選手が最高のパフォーマンスを発揮する状態に着目し
「Inner Game」という考え方を提唱した。

また、コーチングの考え方を
ビジネスの世界に持ち込んだ
John Whitmore(1937-2017)はコーチングの目的を
“building awareness, responsibility and self-belief”
(気づき、責任感、自分自身の信念を築くこと)
としていています。

John Whitmore
マネジメント領域で活用されている「GROWモデル」の開発にも大きな貢献をしたと言われる。

スポーツのみならず、様々な領域で
その可能性が注目され
1955年には国際的な組織として
ICF(International Coaching Federation)
が設立されました。

このICFによるコーチングの定義は
”思考を刺激し続ける創造的なプロセスを通して
クライアントが自身の可能性を
公私において最大化させるように
コーチとクライアントのパートナー関係を築くこと”

というものです。

上記以外にもコーチングについての定義は
いろいろあるのですが、ざっくりまとめると
コーチング=ゴール達成のための力を発揮できるようにすること」
と理解してもらえればOKです。

コーチングが注目されている背景

ゴールを達成するための力を
発揮できるようにしてくれるのがコーチ
という話をしてきましたが
なぜコーチという存在が最近注目されるようになったのでしょうか。

最も大きな要因の一つは社会の変化です。
社会の変化スピードが近年ますます速まってきた
のような言説を新聞などで目にした方もいるかもしれません。

速まる社会の変化の特徴を端的に言い表しているのが
VUCA
という言葉です。

VUCAとは
Volatility(変動性)
Uncertainty(不確実性)
Complexity(複雑性)
Ambiguity(曖昧性)

の頭文字を取って作られた造語で、複雑化し、記が見通しにくくなった社会を表す言葉としてよく使われます。

VUCAな世界では
個人が未来を予測して
自らのゴールを設定したとしても
状況が刻々と変化するため
ゴールを再設定し続けることが重要になります。

ゴールの設定を独力で設定し続けること
いわゆるセルフコーチングですが
それを行うのは実際かなり難しいです。

その理由は後程詳しく説明しますが
自分でゴールを設定しても
往々にして設定されたゴールが
現状の延長線上に留まるため
ポテンシャルが発揮されないためです。

変化の激しい社会の中で
自分も変化し続ける
しかも受動的に変化するのではなく
自分が設定したゴールに向けて能動的に生きていく

そんな絶え間ない自己適用と変化を
サポートするプロフェッショナルとして
コーチが社会で求められているというのが
現在の状況なのです。

日本は失われた〇〇年(絶賛更新中?)あたりから
既存の社会システムを維持することの
難しさが認識されるようになり
コーチングに脚光が浴びるようになってきたように思います。
ちなみに、欧米では既にコーチングがかなり普及しています。

コーチングを受けて
自分の人生のゴールを決めていく事は
グローバルに見ると少数の人にとっての
特殊な活動ではないということがわかります。

認知科学コーチングの特徴、他のコーチング手法との違い

ここまで
様々な領域で取り入れられている
コーチングについて紹介してきましたが
中でも私が現在学びながら提供しているコーチングは
認知科学をベースとしたコーチングです。

認知科学というのは簡単に言うと
「情報処理という観点から、生体(特に人)の知の働きや性質を理解する学問(日本認知科学会ウェブサイト)」
です。

平たく言うと
人間をコンピューターのような
一種の情報処理システムと捉えて
心や行動のメカニズムを明らかにしよう

という学問が認知科学です。

人の知性や行動を理解しようという試みは
これまで様々な領域で展開されてきましたが、
認知科学の特徴は
情報処理の観点から人間の知性や行動を明らかにする
という点にあります。

図で示すと下のような枠組みで
人間の心の動きや行動を
考えよう、ということです。

この枠組みは簡単に言うと
「人間は、外部の情報に触れるとその情報を自分なりに解釈して行動する」
という事を示しています。

上の図との対応関係で言うと
外部の情報が外部刺激(入力)
自分なりの解釈が内部モデル(情報処理過程)
行動が反応(出力)
です。

このように書くと「そりゃそうだ」と思いますが
一昔前までは人間の情報処理過程はブラックボックス扱いで
入力と出力の関係だけで心の動きや行動を捉えようという
行動主義という考え方が主流でした

人間の心の動きは把握できないので、入力と出力の関係だけを考える

行動主義的な考え方が採用されていたのは
情報処理過程を明らかにするための研究分野が
今ほど発達していなかったという事情が背景にあります。

ただ、その後
神経科学や脳科学、人工知能研究などの研究が進み
認知科学という学際的な分野として
情報処理過程を科学的に取り扱うことが
できるようになってきたのです。

つまり、認知科学ベースのコーチングとは
人の知性や行動に関する認知科学の知見を活用し
これまでブラックボックスとして取り扱ってこなかった
人間の情報処理過程も視野に入れた働きかけを行うコーチング
なのです。

これまで触れてこなかった内部モデルも取り扱えるので
認知科学ベースのコーチングは
クライアントへの働きかけ方が
他のコーチング手法と大きく異なります。

上の表では、主な違いを簡単にまとめていますが
ぶっちゃけてしまうと
コーチになりたい人以外はちゃんと理解する必要はありません

要は
他のコーチングとはゴール設定の仕方が違う
コーチは共感傾聴ではなく積極的に働きかけてくる
ゴール達成のために無意識の領域も活用する

という点を頭の片隅に留めておくくらいで良いです。

いずれにせよ、認知科学の様々な知見を
コーチングに盛り込むことで
人間の潜在性を最大限に発揮し
ゴールに向かうことをサポートするという
コーチングの目的を達成していくのが
認知科学ベースのコーチングの特徴です。

次回は、認知科学ベースコーチングが
クライアントの潜在性を最大に発揮させることができる
メカニズムについて紹介していきたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました!


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