AI・人工知能EXPO【秋】に行ってきた
コロナウイルスによる脅威から身を守るために、人類はステイホームのリモートワークを築いた。
ソーシャルディスタンスによって、リアルイベントはパブリック・エネミーとしてパージされる。
日本最大の国際見本市主催会社という異名を持ち、展示会場を自在に操る高貴なる株式会社リードエグジビションジャパンは……(以下略)
というわけで、今年の前半は大規模な展示会が軒並み自粛や中止に追い込まれましたが、最近は徐々に開催されています。
今回参加した「AI・人工知能EXPO【秋】」は2020年の10月28~30日に幕張メッセで開催されて、久しぶりの大規模展示会なのもあって結構な人数が集まっていました。
コロナウイルス対策
幕張メッセ全体で消毒液が配置されており、入場時には消毒・検温・マスク着用が義務付けられています。
ビジネス向けの展示会なので、マスクアレルギーと言い張って飛行機を止めたり、餃子屋にイチャモンつけるような人はいないので、安心です。
空調は……夏の暑さを考えるとアレな気もしますが、多分大丈夫でしょう。
来場者の特徴
「スーツ おっさん」で検索すると8~9割ヒットしそうな勢いで、若者(20代)、私服、女性、外国人は少ないです。
しかし出展企業側は若者、私服、女性、外国人の割合が高いという逆転現象が見られます。
ビジネス向けの展示会なので、当然といえば当然ですが。
出展企業の変化
昨年と比較してショボ……情勢を反映して控えめになってます。
通信会社やSIerなど大手企業の出展見送りは大きく、今回はNTTレゾナントと野村総合研究所ぐらいでした。
2019年の会場案内図
2020年の会場案内図
会場案内図ではわかりませんが、現地では昨年と比べて明らかにブースの大きさや勢いが欠けるのを体感しました。
展示ブースの特徴
昨年と比べて出展企業数が減っただけでなく、小さなブースが多く、パネル展示や商談スペースだけというブースも見られました。
背景には契約上の都合、場所代に加えてブースの設営費がかかる点、宣伝効果が未知数などの問題から、やむを得ず支出を抑えるためこのような展示になったと推測しています。
大人の事情ですね……(知ってる会社だったので気の毒でした)。
対して一番豪華なブースを出展していたのは、色々大変なファーウェイ(華為)だったのが意外です。
大きなブースだけでなく、セミナー用の巨大モニタや豪華なノベルティ、美人のコンパニオンさんをはべらせるあたり、チャイナマネーの勢いを感じます。
ちなみにコンパニオンがいたのは、ファーウェイだけでした。
展示内容の変化
昨年は「AIでこれが出来ます」「こんな事例・実績があります」「こんな悩みはありませんか?」「こんな製品・ツール・サービスがあります」という紹介と提案が中心で、人材育成やトレーニングもありました。
傾向自体は昨年と大きな違いはありませんが、より特定の業種業界に向けた製品や事例の掘り下げが増えていました。
スタートアップが競合となる大手に勝てるよう、自社の強みを発揮できるニッチ分野で差別化したのでしょうか。
また、ノーコード・ローコードの風潮か、AI開発や分析の自動化・省力化をアピールする展示も見られました。
あと、「色々な意味で色々な会社が出展してるなぁ」と、遠い目をしながら思いました(立場を考慮した表現)。
ソーシャルディスタンスな会場
会場で目立ったのは、休憩スペースの多さです。
画像は同日開催された「Japan IT Week」のものですが、会場の至るところでこうしたスペースが設けられています。
来場者としては休憩だけでなく、仕事や会社への報告ができて便利ですが、主催者としては展示会場の空きスペースを埋める苦肉の策だったと思われます(空きスペースと仕切りとコンクリートの床が目立つと心証が悪い)。
ちなみにMacユーザー(iPad含む)はほとんどいませんが、レッツノート率は高かったです。
ブロックチェーン・量子コンピュータEXPOの同時開催
同じ会場で開催されており、明らかにこちらの方が人気と勢いがありました。
画像は部屋に閉じ込められて好奇の目に晒される罰ゲームではなく、感染症対策を施したブースです。
ITに詳しくない方々における「よくわからないけど凄い!」感は、AIからブロックチェーン・量子コンピュータに移っています。
AIブームからDXブームへの転換
というわけで、AI・人工知能EXPO自体は昨年と比べて縮小していますが、IT業界全体は活況です。
同日に別のホールで開催された「Japan IT Week」では、多くの来場者で賑わっていました。
IT業界全体の展示会として、クラウド、IoT&5G、データセンター、セキュリティ、デジタルマーケティングなどの分野で様々な企業が出展しています。
AIEXPOでは見られなかったSIerや通信会社や電機メーカーなどもこちらに出展しており、大きなブースも多かったのが印象的です。
その中でAIは「AI・業務自動化」という1つのカテゴリーとして扱われており、昨今話題のDXを実現する手段という位置づけです。
これはAIがパッケージソフトや業務用ソリューションと同じ扱いになったと感じました。
コロナの影響はあれどテレワークへの移行などで企業におけるIT投資は継続しており、今後の予算配分はペーパーレスやハンコ廃止といった、いかにもなDXに向けられるでしょう。
以下、おまけの感想です。
・入場時に有人窓口で名刺2枚渡して、首から下げるネームプレートに名刺を入れて、会場では係員が紙のパンフレットを配り、引き換え券(物理)でコーヒーを交換するあたり、相変わらずのアナログ運営である(来場者を考えると当然ではあるが)。
・ITらしさはバーコードリーダーで連絡先を読み取ることぐらい(去年と同じ)。
・ノベルティのエコバッグ多すぎィ。
・自治体として鹿児島や岡山や札幌が出展しており、佐賀は安定のアニメ推しだった(ゾンビランドとヴィンランド)
・「ベトナム=オフショア」をアピールしつつ、アオザイのお姉さんが綺麗でした。
・でっかい本田圭佑がドヤってるブースあった(仮想通貨?)
・マネーフォワードのブースで光るヨーヨーをやってる人がいて、ちょっと欲しくなった(担当者の好み?)。
・「FAX受注支援」というDXなのかアナログなのかわからない提案は、どうにかしてほしい。
来年以降の展示会はどうなる?
果たして来年以降、こうした展示会はどうなるのでしょうか?
少なくとも今年よりは拡大するでしょう。
来年4月・10月開催のAI・人工知能EXPOの出展スペースは、当日時点でだいぶ埋まっています。
今回出展を見合わせた大手電機メーカーやSIerなども、今後の予算取りなどが決まれば、順次出展を決めるでしょう。
「Japan IT Week」も同様で、ブースがだいぶ埋まっています。
大阪と名古屋開催でも順調に出展企業が増えており、リアルイベントの需要は根強いことがわかります。
まとめ
正直なところ、このnoteを読む方々が展示会に行っても目新しさはないでしょう(だから最終日に行って終了後にレポートを掲載してます)。
しかし、企業全体から見れば、こうした展示会でIT技術や製品を知り、検討して導入する方々も多いわけです。
そして展示会に足を運ぶのは自発的に情報収集する人であり、自分から行動を起こす人です。
一方で、「情報とは取引先が我々に提供するもの」「ウチの会社に使ってほしければ、そちらがお願いするのが当然」という人もいます。
そーゆー人は、わざわざ展示会には足を運ばないでしょう。
ITという目に見えにくいものであるが故、表面上はわからない「IT格差」はこうして広がっていくのかと思いました。
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