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ビデオ会議で目線が合うガジェットをレーザーカッターで作ってみた

一月ほど前のことです。ビデオ会議で画面に映る相手と微妙にずれ続ける目線に、「画面の真ん中にウェブカムのレンズがあったらいいのに」と思い、段ボール箱と、光の具合で透けたり反射したりするハーフミラー(マジックミラー)を使って、こんな装置を作りました。

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仕組みや箱の作り方、意外な発見はこちらのブログにまとめてあります。ダンボール箱なので見た目は貧相ですが、相手としっかり目が合うようになり、ほとんど毎日ビデオ会議で使うようになりました。

基本的にはTVキャスターがカメラを見ながら原稿を読むための仕組みと同様です。ただ、そうしたテレプロンプターは買うと数万円〜数十万円します。自分で作れば数千円ですんでしまいました。ただ、毎日使うと、ダンボール箱はさすがにへたれてきます。割り箸などで補強しつつ使っていましたが(笑)、効果は実証されたので、ダンボール版はプロトタイプ1号とし、進化版を作ることにしました。それがこれです。

シンプルで、コンパクトで、軽く、丈夫で、畳んで持ち運び可能なものを目指しました。また、周囲で一眼レフなど高画質カメラを利用する人が増えてきたので、ウェブカムだけでなくそうしたカメラでも使えるようにしたい。まず、頭の中でなんとなくそんなイメージを作ってから、Adobe Illustrator で図面を描きました。3mmの木材かアクリル板を想定します。

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この厚みのアクリル版だとカッターで切るのは大変なので、レーザーカッターを使ってみようと考えました。もちろん自分の家にはありません。緊急事態宣言が解除されたので、営業が再開された「Fabcafe」を利用させてもらいました。Fabcafeは、おしゃれなカフェに3Dプリンタやレーザーカッターが設置されていて、手頃な価格で使うことができるお店です。

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3mm厚の黒アクリル版を購入し、レーザーカッターでカットしていきます。レーザーで切られていく様はかっこいいです。

こうしてカットされたパーツが下です。

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側面はミラーを通す溝の入った内側と外側、2枚を貼り合わせて1枚にします。

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あとは組み立てて、ハーフミラーと組み合わせます。

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背面にウェブカムをセットして試してみます。

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バッチリです! これは自分のプレビューですが、画面に映る人間の目を見ながら、ハーフミラーの向こうにセットしたレンズをまっすぐ見ることができています。ウェブカムの位置を示す青いライトがハーフミラーを透過して見えているのがわかるかと思います。

今度は背面に一眼レフカメラを置いてみます。

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Canon は EOS Webcam Utility Beta という、対応するカメラをウェブカムにしてくれるアプリをいち早く公開してくれました。さっそく利用させてもらいます。

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思った以上に完璧です。一眼レフカメラをウェブカムにすると、場所を取るためパソコンの横や上に設置することになり、大きく視線がずれてしまうことも珍しくありません。この箱を使えば、映っている相手を見つめることが、相手の目をまっすぐ見ることにつながります。一眼レフならではの自然な背景ボケも美しいです。

接続ですが、MacOS Catalina から実装された、Sidecar機能を使って、iPadをセカンドディスプレイとして使い、カメラは Mac にUSBでつながっています。ハーフミラーに映る画面は左右が反転してしまうため、Zoomなどでは設定でディアルディスプレイを選択し、プレゼンテーションなどはメインの画面に写しています。(以前のMacOSなら Duet などで実現できます)

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移動が必要な時には簡単に分解でき、下のようにコンパクトにまとまります。

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また、背面のパーツを入れ替えれば、一眼レフやウェブカムなど手持ちのカメラに最適になるようにできます。ガジェットっぽい。

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自由工作気分でしたが、ビデオ会議の体験を劇的に高めてくれました。

自分でも作ってみたい、という方のために、今回購入したものとレーザーカッター用に作ったデータを貼っておきます。
ハーフミラー(マジックミラー)200mm X 200mm 厚さ3mm 1枚
●アクリル板 カナセライト 黒 サイズ:270mm X 320mm 板厚:3mm  3枚
●Fabcafe レーザーカッター利用 20分  レーザーカッターデータ 

材料を揃えて、レーザーカッターが使えるFab施設(日本の場合 Fabナビという検索サイトがありました)へ行き、データを渡せば切ってもらえるかと思います。木材だと少し安くすむと思いますが、内側のパーツを自分で黒く塗ってください。背面の穴は一眼レフに合わせて直径6センチですが、自分のカメラやウェブカムのサイズに合わせて変更されるとよいでしょう。

なお、側面に彫った「Not All Who Wander Are Lost」は、トールキンの指輪物語からの引用で、昨年末、テキサスのフリーウェイをドライブしていたときに、Niantic CEOのジョン・ハンケが教えてくれた言葉です。「さまよっている者すべてが、道を見失っているわけではない」という意味です。人はときに、次にどう足を運べばいいのか、わからなくなってうろうろします。こうしてなにかを創っていても、そういうことはよくありますが、うろうろする、その過程は無駄ではなく、目的地にたどり着くための本当の道だと思って、楽しみたい、と思い出させてくれる言葉です。ここまでリモートワーク主体にならなければ、こんな箱を作ろうとも思わなかったことでしょう。
 このデータを使ってもし思い通り事が運ばず、うろうろすることになっても、そのうろうろはもしかしたら、とてもよいことかもしれないのです!


P.S.

ちなみに、同じく掘られている恐竜のイラストはなにかというと、アクリル板のサイズの関係で余ってしまう部分ができたので、恐竜好きの息子へのアクセサリをついでに作りました。はじめて一緒にトレースして作ったので、記念にこの箱の側面にもペーストすることにしました。レーザーカッターはとてもおもしろいので、興味を持たれた方は、ご家族や友人のためになにかをつくってみるのもとてもよいと思いますし、自分の趣味のことばかり考えていないというアピールにもなります(笑)!

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米Niantic アジア担当副社長。2000年渡米。2007年Google入社。日本人で初めてGoogleホリデーロゴをデザイン。2013年、社内スタートアップだったNiantic Labsに参画、『Ingress』のデザインや『ポケモンGO』立ち上げを担当。