見出し画像

じゃがいも卒業式

在校生代表、送辞

肌に汗が纏わり付く出会いのころから時が経ち、
朝晩には涼しさを超えた風が
窓から吹き込む季節になりました。

私の大好きな貴女が卒業を決めたこと、
どうしてもおめでとうと
言わなければならないでしょうか。

活字の苦手な私に、
貴女は読むことの楽しさを教えてくれました。

貴女の背中にいたはずのペンギンは
いつしか私のところにやってきて、
小さな箱を置いて行きました。

毎日0時に投稿されるのを知りながら、
その日の活力となるよう、
私は毎朝おはようと同時に物語を読みました。

貴女は私にいつも丁寧に、温かく応えて、
日々私に理由を与えてくれました。

貴女は時に行ってくるねと挨拶をし、
それでも私たちのことを見守ってくれ、
私たちは貴女の優しさに甘えていたのだと
感じます。

貴女の作ってくれた名前入りの消しゴム判子は
私を優越感にすら浸らせます。
大好きな貴女が私だけを想ってくれていた時間が
たしかにそこにあったんだと、
教えてくれるからです。
こんな風に思っていては、
貴女の意図するところではないと思いますし、
在校生代表として失格です。ごめんなさい。

ただ、私たちは貴女の作り出す世界が
好きで、好きで、大好きです。
その思いは、貴女の物語への思い入れをも超え、
在校生一同の心に残り続けることでしょう。

上辺だけの言葉を綴るのは簡単です。
私は貴女を心から応援したいと
何度も伝えてきましたが、
それと同時に何度も
「待って!」と強く引き留めました。
それをここに認めたいと思います。

貴女の言葉は、名前通りの
あの情景そのものです。

今とは真逆の冬の寒い夜、
道ゆく人は誰もいない。

昼間は賑やかな街に、
しんしんと何かを浄化するように、
だけど優しく包み込むような雪が舞う。

優しくも、切なく、儚げで、
でも丁寧にひとつひとつの言葉が紡がれていく。

それら丁寧に紡がれた言葉たちは
私たちの頭の中に
鮮明にその情景を浮かばせる。

私の感じる情景は、あの日から変わりません。

もう少ししたら、貴女の季節がやってきます。

もしかしたら貴女の生まれは
この季節ではないかもしれませんが、
私はきっと白く儚く美しいそれを見れば、
また貴女を思い出すことでしょう。

そして貴女の描いた、
ベランダから見る夏の花火を
彼ら彼女らと共に思い出すことでしょう。

貴女が見せてくれた世界を、
私たちが忘れることはありません。

貴女が教えてくれた、
ひとつひとつの美術品を丁寧に読む楽しさと
ひとつひとつの美術品を作り出す楽しさを
私たちが忘れることはありません。

貴女の決断という門出を応援しない人は
ここにはいません。

私たちは貴女のその決断のように力強く、
貴女を応援し続けます。

そして星降る夜を、心待ちにしています。

悔しさを笑顔に変えて、
大好きな貴女に手を振ります。

そして感謝の気持ちをいっぱい込めて、
在校生代表の送辞とさせていただきます。


令和2年9月21日
在校生代表 ましろ


私をサポート?!素直にありがとうございます。あなたのサポートは、真っ赤で、真っ黒で、時に真っ青なましろが真っ白になれるよう、note内で活かされ続けます。