近況、そして最近読んだ本

3月から始まった在宅勤務の期限が、GW明けまで延びることになった。不慣れに感じていた在宅勤務も、あっという間に一カ月が経過して驚いている。

時たま外出をする際に、人気がない道で、薄紅色をした雲のように桜が咲き乱れているのを見るのは、不思議な感じだった。『来年は、また皆で楽しくお花見ができますように』思わず心の中で祈ってしまう。引きこもりの日々。

「在宅勤務期間中は創作に励もう!」なんて思っていたが、そこは晩年筆不精の私、そんな簡単には事が進まなかった。家で働くなら体力が温存できる=余暇の時間を楽しめるだろう、と思っていたが、自宅で働いていると仕事とプライベートで頭を切り替えるのが難しく、なかなか仕事に集中できない。結果、出社していた時よりも精神的に疲れることになってしまった。(目論見どおり、体力は温存できているけれども)

読書は相変わらず楽しんでいるので、最近読んだ本の抜粋を。(積読も絶賛消化中)

・サマセット・モーム『月と六ペンス』…名作と言われているだけあって、すごく感動した一冊。イギリス、フランス、そしてタヒチと場面が転換していくが、情景描写がすごく上手い。まるで、その国の空気を本当に感じられるよう。主人公のモノローグはどことなく『嵐が丘』を彷彿とさせる。モームの英文が読みたくて、いつか原文で読んでみようと思った。

・オスカー・ワイルド『ドリアン・グレイの肖像』…ワイルドの著書を読むのは『サロメ』以来。彼唯一の長編作品。もっと奇天烈な作品を想像していたけれど、意外にもストーリーは古典的な感じがした。冒頭の瑞々しく香しい描写は、ワイルドならでは。

・カズオ・イシグロ『わたしたちが孤児だったころ』…カズオ・イシグロが描く善と悪の対立。子どもの頃の記憶と、大人になってからの現実。イシグロは、主観と客観の認識の「ズレ」を描くのがとても巧いと思う。彼の作品を読み進めるたびに、現実と非現実の狭間で、頭が心地よく混乱していく。「こんな作品を書いてみたい!」そう思う作家のひとりです。

・おかざき真理『サプリ』…漫画。広告代理店で働く女性たちの、恋愛と仕事を描いている。とにかくあまりにもハードな働き方(徹夜は日常茶飯事)なので、この漫画に影響を受けて働き始めた人は大変だろうな…と思ってしまった。(そんな私も学生時代に『働きマン』に影響を受けた一人だけれど)色々思うところはあれど、とにかく絵が美麗。仕事で疲れて癒しが欲しい人におすすめ。

4月の目標は、最低1点は公募に応募すること!あとは、日記でもいいので毎日文章を書くようにしたい。家にいる時間を有意義に過ごせればと思う。

汐田千鳥

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