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店内撮影禁止って、なんだろう。[ひとりごと]

ボクはパティシエなのでお菓子屋さんの話に限りますが、撮影禁止のお店ってありますよね。

なんでなんだろう。

ケーキがピカピカ輝くショーケースも撮りたいし、おしゃれに配置された焼き菓子の棚も撮りたいし、世界観の表現された内装だって撮りたいよね。

お店からしたって素敵な写真が出回るのはいいことだって思ったりもするでしょ。

それでも撮影禁止のお店はある。

なぜだろう。どこに齟齬が生まれてしまっているのだろう。

偉大なシェフ方の心の中を推し量るなど見習いのボクには滅相もないことですが、元お客側、現お店側の人間として、皆さんのわだかまりを溶かす一助になればと思って話します。

申し遅れました、見習いパティシエ、真白けいです。お手柔らかに。

お客さんを守りたい

まずボクの思う最大の理由は、「お客さんを守りたい」って意識だと思います。

なにから?
世界中の視線からです。

内装を撮りたいと思ったりすると、繁盛店であれば他のお客さんが映ってしまうことがあると思います。
そしてそれをインターネットやSNSに投稿したら?バッチリ顔が晒されます。

多分ここに関して反論がある方もいるかな。
「私はSNSにあげないし」
「顔が晒されるって言ったって誰もそんなとこ注目してないし」
「なら映らないように撮ればいいでしょ?」
って感じに。

じゃあまず、SNSにあげないで自分で楽しむからいい勢の方へ。
お店側は全部管理できないよ!
あげないと思ってたって後からあげたくなっちゃうかもしれない。モザイクかけないかもしれない。
誰がどう写真を扱うかなんてわかりっこないもん!
まして、こちとらSNSとかインターネットに詳しい集団じゃない。お菓子作って売ってる集団よ!勘弁してくださいな。
…と思う。

次に、顔晒されるのは気にし過ぎでは勢のみなさんへ。
わかりました。あなたは気にしてないとしましょう。
でもあなたが気にしないと思う気持ちと同様に、気にすると思う気持ちを持ってる人もいるかもしれません。
お忍びとかなにやら事情のある方もいるかもしれない。
パティスリーは、来てくれたすべてのお客さんに、お菓子を通して幸せを届ける場所です。
それを思った時に、気分を害される、あるいはその写真によってお客さんに実害が出るようなことは避けるべきです。
写真は撮らなくてもお菓子を買うことはできるし、食べることができます。本来そういう場所のはずです。
そこに付加価値としてその写真撮ってもいいよって喜びを提供するお店もあるけど、
そうじゃなくてもっとシンプルにパティスリーとしての役割を全うしたいって考えも、どうかご理解いただきたい。

そして、映らなければいい勢の方へ。
じゃあ、あなたしかお客さんがいなかったとする。お店のスタッフの肖像権も気にかけて映らないようにすることができる状況だったとする。
撮った。
SNSあげた。
どこかで誰かが見た。
自分も撮りたいと思った。
お店行ったら混んでた。
それでも撮ろうとした。
スタッフに止められた。
「なんで?他の人も撮ってあげてるのに。ほら見てよ」
こうなったらスタッフは一体どう反論したらいいのでしょう。何を言ってもそのお客さんを笑顔で帰すことは出来ないでしょう。
パティスリーは笑顔にする場所なのに。
だから後出しにならないように、最初から公平にご来店されるお客さん全員にルールを理解していただく、そのための店内撮影禁止だと思います。

だから、お客さんから撮影権を取り上げて意地悪してやろうとしてるわけではないと思うんです。ただ全員が心穏やかに過ごせる空間を作ろうとしてるだけなんです。
ボクはそう思います。

他にも考えましたが、例えば、
・インターネット上で一気に注目されて、急に混雑していい状態のものが万全の体制で出せなくなる
・混雑時に次のお客さんがいるのにショーケース前を占拠して写真を撮っていると次のお客さんがなかなか選べない
・写真で前もって内装を見るのではなく来店して初めて見て感動とか喜んで欲しい、ワクワクしてほしい
とかですかね。
難しいけど、結局はこう、パティスリーとして全てのお客さんを喜ばせたいという思いから来てると思います。

どうだろう。ちょっとは納得していただけたのかな。
ボクだって有名店行ってさ、撮りたい気持ちでいっぱいになります。
でも撮影禁止のルールがあるんだったら撮るべきではないですよね。そのお店はお客さんのマナー含めてそのお店です。

秩序が保たれることでこの世界観にお菓子ができてるんだ。
パティスリーの使命を全うするためのお店としてボクらにできる配慮なんだ。
と思うと、いっちょ協力してやりましょうっ!
って気持ちになってきませんか。

あなたが好きな、あなたが惹かれたそのお店は、あなたあってこそのそのお店です。
あなたもそのお店の世界観の一端を担う存在です。
パティスリーは、ご来店いただいた全てのお客様を笑顔にする努力を続けていきますから。

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