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『いのちの車窓から』

単行本も読んでたけど文庫版も。


『いのちの車窓から』 星野源

星野源が、雑誌『ダ・ヴィンチ』で2014年12月号より連載スタートした、エッセイ「いのちの車窓から」。
第1巻となる単行本は2017年に刊行し、ベストセラーに。
【累計42万部突破】となる大人気エッセイ集、待望の文庫化!
ドラマ「逃げ恥」、「真田丸」、大ヒット曲「恋」に「紅白」出場と、
2014年以降、怒濤の日々を送った2年間。
瞬く間に注目を浴びるなかで、描写してきたのは、
周囲の人々、日常の景色、ある日のできごと、心の機微……。
その一篇一篇に写し出されるのは、星野源の哲学、そして真意。
文庫版では、カバーを新装&10ページ(エッセイ約2本分半に相当)にわたる、長い「文庫版あとがき」を新たに収録!(版元.comより)



出張のお供に持って行ったんだけど、偶然にもあとがきにも書いてあるように、旅に出たりした時に読みたくなる心地のいい文章だった。

追っている作家や芸人、ミュージシャンのエッセイを読むのが好きだけど、読んだ後に本業を味わいたくなるというか、とりわけエッセイと作品の相乗効果がものすごく高いと思う。

単行本の時は、作者自身の創作の苦悩や下積み時代の話に目が向きがちだったけど、単行本では「大泉洋」や「新垣結衣」などの人物評というか、人となりの評価や見え方が素敵だなと思った。対大衆的なイメージでなく自分がどう感じたかを率直に、そして腐したり皮肉を交えず少し恥ずかしいほど素直に描写している。その当時は全くそういうつもりや意図はなかったんだろうけど、このエッセイはめちゃくちゃグッとくるラブレターだと思う。

また、「寺坂直毅」のエピソードは、二人の素朴な人間性が表れていて、結婚発表直後のオールナイトニッポンの前口上も相まって泣きそうになってしまった。

何度も読み返したくなるし、続編もいつか読みたい。それまで前から自戒の意味を込めて前から刺さってるこの文章をずっと覚えていたい。


相手に好かれたい、嫌われたくないという想いが強すぎて、コミュニケーションを取ることを放棄していた。コミュニケーションに失敗し、そこで人間関係を学び成長する努力を怠っていた。

それを相手に「人見知りで」とさも被害者のように言うのは、「自分はコミュニケーションを取る努力をしない人間なので、そちらで気を使ってください」と恐ろしく恥ずかしい宣言をしていることと同じだと思った。


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