「わかんないボックス」で物と心の中に時間をつくる
いつもあれこれ悩んだり、要るのか要らないのかわからないもので片付けられない部屋。「部屋は心を映す鏡」という通り、わたしの頭の中もいつも片付けられないでいた。
きっかけは活動方針をアーティストに変えたことだった。自分の価値観、人生観みたいなものがガラッと短期間で変わって、部屋に置いていることが耐えられないようなものばかりだと感じた。
それからガッと片付けて、ちまちまと今でも色々なところを整えたりしている。すごく汚くなることはもうなくなったと思うけれど、もっと制作がしやすくするには、みたいなことをいつも考えているからだ。
そのためにも、部屋のあちこちと自分の頭の中に「わかんないボックス」を置くようになった。
例えば、物理的なものでいうと、文房具やキャラクターもの。
好きなキャラクターが多いので「かわいい!」とつい買ってしまうのだけど、いざ家に持ち帰ると自分の生活には合わなかったり、使っているうちにもっと違ったものが欲しいと思うようになることが多かった。
そういうものも全部「わかんないボックス」に入れる。
わたしの場合、一見ゴミみたいなものも入っているので(制作で使ったりする)ゴミ箱みたいに見えるかもしれないけれど、たとえクリップ1つでも「なんか違うかも」みたいに思ったら、一旦目に入らないところに入れてしまう。
わたしは小さな段ボールを使ったりしているけれど、大きさも人それぞれでいいかもしれないし、袋の方が合う人もいるかもしれない。
でも「わかんないボックス」に入れるのは物理的なものだけじゃない。わたしの心の悩みも入れるようになった。
「あの人の関係はどうしたらいいんだろう…」「仕事は…」「お金は…」日々いろんなことで悩む。
そんなわたしの悩みを入れておく「わかんないボックス」は、今までずっとカウンセリングの部屋だけだった。ただ「わかんない」ということを話して共有して「そういうことで悩んでるんですね」と話を繰り返す。「その人はあなたにとって良くない人だから、離れたほうがいい」なんてことは絶対に言われない。あの部屋そのものが「わかんないボックス」だ。
でも、いつでもカウンセリングの部屋には通えない。「うーんこれわかんない」ということがあっても、箱の鍵を開けられる機会は限られていた。
それでもこの間、カウンセラーさんにこんなことを言われた。
あなたは、一旦「『わからない』って思ってもいいんだ」って思えるようになったのかもしれませんね。
仲良く付き合いを続けていた友達と、違和感を覚える出来事があったとき、「ごめん、ちょっと色々考えたくて、時間が欲しいんだ」と伝えてみた。そうしたらこんな風に言ってくれた。
今まではすぐ自分でジャッジしてしまって、勝手に思い込んで行動してしまうことが多かった。悩むことはつらかったから、早くなんとかしたかったのだ。
他にも、もらいものに関して「これどう受け取ったらいいのかわかんない」みたいなものもある。そういう物理的なものも、それぞれ段ボールなどに入れておいた。目につくのが気になるなら蓋を閉じることもある。
開けてみようかな、と思ったときは実際に触れてそのときの自分の気持ちを確かめる。不思議なもので、時間を置くと「こういう風に使ってみたら素敵かも」なんて思えたり「感謝の気持ちを持って処分しようかな」とか「久しぶりに連絡してみようかな」みたいに何かしらの気持ちが湧いてくるときもある。
断捨離をするときに似たような話を聞いたことがある。
部屋の大掃除をするときはまず全ての収納からモノを全部出してみるそうだ。そこからその物それぞれが自分にとってどんな物かを確かめて、分類してから収納していく。
「今必要じゃないと思ったら捨てる!」なんて声も見かけるけれど、生活していると人間関係なんかは特にそうもいかない。わかんないな、って考えておく時間を置いておくのもいいんじゃないかと思う。
かといって整理がつかないのもモヤモヤしてくるしい。早く棚にきれいに箱に分けて収納したいのに、と思うことも多々ある。
自分の部屋にも、自分の心の中にも、色んなカタチのものがある。それはこんがらがっていることもあるし、事実そのものは同じでも捉え方が変われば扱い方も変わる。
すっきりと物に自分なりの意味付けができたら「これはこの収納で、ここ」って少しずつできて気持ちがいいなあと思う。
「なんでもないボックス」を時々ごそごそしてみると、入れたときは「ゴミみたいだけど、まあ…」みたいに入れていたモノが、今まさに欲しいモノだったりするから不思議なものだ。
即断即決しなくちゃいけないこともたくさんある。だからこそ、考えておく時間が必要なものには、部屋にも頭の中にも「わからないボックス」が必要なのだと思う。
心のどこかに引っ掛かったら、ぜひ100円のサポートからお願いします🙌