写真が好きなら本を読め
結構たくさん本を読んでいると自負している。
ビジネス系や自己啓発のようなものはあまり読まず、(ほとんど古典の焼き直しな気がするので)
小説や哲学の本が多い。
写真が好きなら本を読め。
これについては、
「自分の写真を言語化するときのために言葉を知らなくてはならない」から。
現場でモデルに指示を出すとき、モデルを口説くとき、
ディレクターに自分の意見を通したいとき、
コンペでステートメントを出すとき、
モデルを口説くとき、
などなど、
自分が持っている言葉のボキャブラリーの量と質で、
仕事がやりやすくなることはたくさんある。
僕は昔から読書が好きだし、
読書感想文なんて、原稿用紙が足りなくなるほどだったから
写真新世紀のステートメントも
文字数が多すぎて削ったものだ。
そんな僕が2019年に読んで素敵だった本を紹介します。
何度も読んでいる本もあるので、
古いものもあるけれど、
ぜひ読んでみて。
心の病と創造性の関係についてめちゃくちゃわかりやすく咀嚼できる素晴らしい一冊。
プラトンからドゥルーズといった哲学者のことも丁寧に触れられている。
なぜこの本を読み始めたかというと、
写真新世紀2019でグランプリを獲った方が自閉症スペクトラムで、本当に死ぬほど(比喩的な「死ぬ」でなく)辛い時期があった、と授賞式で語っていて、
しかし作品はまさにその「生と死」というものが反映されていた。
メランコリー、統合失調症、次に創造性を導く病は自閉症スペクトラムなのか。
自分にとってとてもタイムリーで興味深かった。
大好きなシリーズの、この作者の完結編。
んンンンンんんんんんんんんん。
面白いんだけど、、ンンンンんんんんんn。
最高の写真で綴る、旅雑誌TRANSITの写真集。
僕は年に1、2回海外に行くのだが、
TRANSITの写真にいつも憧れている。
SFの設定ではあるのだが、純文学のような味わい。
老いは死より恐ろしいモノなのかもしれない。
ウエルベックの本は常に人間の突かれたくない本質を物語の力と圧倒的な筆致であぶり出してきます。
好きです、村上春樹。
ねじまき鳥が好きな方は、おそらく好きかと。
ラストがびっくりする。ある意味。
村上春樹の小説を読むと、なぜか以前読んだものを再読したくなる。
短編の蛍と納屋を焼く、は秀逸。
蛍はノルウェイの森の原型。
納屋を焼くは、バーニングという韓国映画の原作。
「(みかんを食べるパントマイムをしながら)こんなの簡単よ。ここにみかんがあるって思い込むんじゃなくて、ここにみかんがないってことを忘れればいいのよ。」
これ以上おしゃれなパントマイムの説明を僕はまだ知らない。
めっちゃくちゃおもしろい。
めっちゃくちゃおもしろい。
中国発の最強SF。
あのオバマ大統領が読んでいると公言したことで一気にバズる。
シリーズ2000万部が売れているようで、この次回作の翻訳が早く読みたい、、、、
フィッツジェラルドの短編で一番好きな、冬の夢。
内容としては、
学生の頃大好きだった憧れの女の子が、大人になって会ったらなんか違って萎えた、、
的な話なのですが、(違うかな)
情景描写がロマンティックすぎて、めちゃくちゃ美しい話に昇華されている。
なんでもない話を美しい話に筆致で仕上げる、、写真家にとっても重要な資質だ。
数学者、岡潔さんの代表的名著。
「私は数学者なんかをして人類にどういう利益があるのだと問う人に対しては
スミレはただスミレのように咲けば良いのであって、そのことが春の野にどのような影響があろうとなかろうと、スミレのあずかり知らないことだと答えてきた。」
という一節が、
なんともいじらしく素晴らしい、、ということで、
今ではもう大好きな本になりました。
読むのは2回目なのだが、
経済的、社会的に成功した合理的な男が風俗嬢に恋をして心をかき乱す小説、と思っていたのが2回目はちょっと変わった。
純愛の物語だった。
非合理に身を委ねてこそ純愛なのだ。
と、一通りこんな感じ。
あとは新刊で熱源とデッドラインが個人的には好きだった。
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