なぜ星空に惹かれるようになったのか?
◾️最初の星の記憶
最初に流れ星を見た記憶は小学生の頃、その夜は双子座流星群が見られる日で夜中に起きて眠くてフラフラしながらも近所の公園まで親と行った。
「驚くほど流れ星が!」
…と、いう期待していたほどではなかったにしろ、1時間くらいの間に何個も流れ星が見えたことが心に焼きついた。
次に記憶があるのは高校で寮生活をしていた頃、テニス部の一年生は練習後に8面あるテニスコートすべてを見回ってボールが一つも落ちていないように拾って回るのが部の決まり。
ボール拾いが終わった後、同級生たちと一緒になってテニスコートに寝っ転がり、夜空を見上げた。柳川の星は東京よりもずっと多く見える。
その時は腰痛で思うように練習ができず苦しい時期でもあったのだが…。
◾️ゴッホのStarry Starry Night
20代になって強烈に星空のことを意識するようになるタイミングがやってきた。
瞑想合宿で知り合った女性のジャズボーカリストがVincent (Starry starry night)という曲を持ち歌の一つとして歌っていたのだ。
この曲の「Vincent」とはヴィンセント・ファン・ゴッホその人のこと。ゴッホと、ゴッホの描いた星月夜(Starry night)のことを歌ったドン・マックリーンの代表曲である。
マックリーンは歌詞の中でゴッホにこう語りかける。
正直にいうと、当時は英語も分からなかったので、単純にStarry starry nightという出だしから始めるメロディの美しさに引き込まれただけだった。
しかし後に、この曲は自分にとって大きな転機をくれることになる。それは恩師であるグラミー賞ギタリストのエドガーハード氏の来日の時である。
富士山の麓でエド氏のギター合宿が開かれることになり、それに参加することにした。そして、その時に課題曲として選んだのがこの「Vincent Starry starry night」。
だから、この曲は今でもギターでプレイした曲の中で最も回数の多いものであることは間違いない。
人生をギターに捧げてきたエド氏とゴッホと、そしてそのゴッホを支えたであろう星空のメロディが幾度となく染み込んでいった。
意外なサプライズだったのはその後、オーストラリアに渡った時のこと。このVincent Starry Starry Nightは向こうでは有名なスダンダード曲としてほとんどの人が知っていた。
音楽はいつでもすぐに友達を作るのに役に立つ。何度も星空に助けられた。
◾️これまでの星空キャンプ体験談
◾️ついに星空キャンプを実行する
20代の前半までで十分に星空になじむようになっていたが、だからといって特にキャンプをしたり、星空を一晩中眺め続けるようなことはまだなかった。
それがついに、その時がやってきた。
ある年の夏、私は長野県のシュタイナー教育で有名な幼稚園に顔を出していた。その幼稚園はその手の界隈では有名な独自のこだわった教育をしている機関。
幼稚園の園長先生には登山家の長男がいた。
その長男のYくんは私よりも二つ程年下だったが、海外経験も豊富なこともあってすぐに意気投合。
そのYくんとアドレスを交換した時のこと。
「あれ?もしかして11月6日生まれ?」
どちらがそう尋ねたか覚えていないが、その瞬間に自分たちが同じ誕生日だということに気がついたのだ。
ちなみに11月6日は11+6=17
タロットカード17番は「星のカード」でもある。
そこで兼ねてから、どこかよく星が見える場所で誕生日を迎えたいと考えていた私はキャンプ経験豊富な彼にその提案をした。
そしてその年の11月5日
誕生日イブの日に私たちは長野県の飯縄山の山頂で人生初の星空キャンプを行ったのだ。※飯縄山の御神体、飯綱権現は高尾山にも祀られている
テントを使わないで、寝袋だけで一晩を明かすというのが狙いである。その夜は雲がまったく無く、飯縄山の2000mの位置から見る星の数は圧巻だった。
オリオン座がゆっくりと時間と共に移動していくのがわかる。
夜が更けて意識がボーっとしてくると、本当に星が降ってくるような感覚になった。さっきまで遠くにあったオリオンが目の前にある‥
さらに星と星の間の漆黒の空間にわずかながら青みがかったエネルギーのモヤのようなものも見えてきた。
この時に抱く気持ちは、我ながら驚くくらい、家族や恋人、友人たちの幸せを願うピュアーな気持ちになっている。
「星に願いを」
とはよく言ったもので、長時間星を見るという行為はただそれだけで、何もかもを広く深く、肯定的に捉えさせてくれるような効果がある。
ゴッホの気持ちも少し分かった気がした。
11月6日の朝焼けが東の空から上がってきた。
知識として当然知ってはいたが、実際にゆっくりと空が夜色から朝色に変化していくグラデーションには不思議なものを感じた。
星々が徐々に見えなくなっていく…。
(当時の写真)
「昼や夜」という分け方に私たちは馴染んでいるが、あのグラデーションを体験すると、実はこの世界に「昼も夜も無い」ということが体感として分かってくると思う。
ふと、Yくんを見ると彼の顔は明らかに輝いており、顔面から星のエネルギーが放たれていることがはっきりと分かった。
すごい。
私たちはお互いに誕生日を祝った。
それからこの2人だけのイベントをその年も含めて3年間つづけて行った。
◾️星空と人間の関係性とは?
きっと星空キャンプを伝えていくのが一つの使命なのだと思う。
そのように導かれてきた。これには社会的な大義名分はないが、人間を宇宙的な存在と見た時にははっきりとした意義と意味がある。
それは「思い出す」という効果。
星空はあなたに必ず「なんらかの気持ち」を思い出させてくれるだろう。そしてその喚起した気持ちは、きっとあなた自身にとって普段忘れていた何か?なはず。
思い出す瞬間というのは人にとってとても重要なこと。別に今のあなたが重要なことを見落としている、というつもりはない。
ただ、何か普段忘れていることが一つや二つはあるのが普通の人間だと思う。それをちゃんと思い出しておけることは、実はかなり大切なことなのではないだろうか?
最後まで読んでいただき有り難うございました。
次は星空の下で実際にお会いしましょう。
そうだ!星を見よう 〜星空キャンプ2022〜
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