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Snapchat: アメリカで10代に一番人気のSNS、新しい収益源とインドでの拡大

本記事は、Snapchatについての記事です。


10代で一番使われているSnapchat

先日、Visual Capitalist の2020年12月のインフォグラフィックスをツイートしたのですが、米国で10代に一番使われているソーシャルメディアはSnapchatとのことです。


日本では、インスタ、TikTokは話題になりますが、比較的Snapchatは話題にならないですね。

Snapchatは、2011年にスタンフォード大学の学生3人によりローンチされたアプリで、登録した個人やグループに向けて画像等を投稿するSNSです。撮影した写真や動画「スナップ」を、登録した友人に送るというのが基本的な機能です。テキストを載せたり、フィルターやエフェクト加工を施して送ることもできます。写真が数秒で消えるというアイデアや、その後Instagramに模倣されることになる、スナップが24時間だけ閲覧可能になる「ストーリー」、最近追加されたTikTok ライクの60秒のショートムービーを共有する「スポットライト」等、ヒット機能を多く生み出しています。これら機能群は、FoMO(Fear of Missing Out)やJoMO(Joy of Missing Out)というコンセプトに通じるところがあります。

投資家向け説明会でSnapchatの運営企業であるSnapが明らかにしたところでは、米国では、13歳から24歳の70%にリーチしているそうで、10代に強いソーシャルメディアになっています。この傾向は欧州でも見られます。以下は、BBCの動画ですが、10代がSnapchatを親に見せるかというテーマを扱っています。親たちは子どもたちの世界とリスクを知る必要があるよねという認識をもつ一方、子どもたちは別に悪いことはなにもしていないけど、気まずいから見せたくないよねと話しています。


Snapchat のメディアパワー

Snapchatは、「ジェネレーションZ(1990年代中盤もしくは2000年代以降に生まれた世代)」のユーザーにリーチしたいと考えている企業・ブランドにとってはなくてはならないメディアになりつつあります。

Snapが株主に共有した様々な統計から、その強力なメディアとしてのパワーを感じることができます。Snapchatの主たるユーザーは世界の消費者の40%を占めており、平均DAU(デイリーアクティブユーザー)数は2億6500万人を超え、1日平均30回アプリを開いています。毎日50億回以上スナップが作成され、1日に300万回以上のスナップがストーリーに投稿されています。

このエンゲージメントの高さから、企業はSnapchatを通じたマネタイゼーションが可能です。例えば、ライブコマースプラットフォームのNTWRKはSnapchatへの投稿を通じて、自社アプリへのユーザーの誘導を行い、400の商品を販売して24時間で10万ドルを超える売上を達成しています。


新たな収益源の確保:Snap map

現在、Snapの収益は、主にユーザーのストーリーの間に再生される動画広告によるものですが、彼らは新たな収益源の確保を模索しています。

Snap map というサービスがあります。

位置情報を用いて、動画コンテンツをマップに表示・検索できたり、友人と繋がれる機能になっています。Snap mapの月間リーチユーザ数は2億以上。例えば、マップ上には、地元商店のリストが並び、ストーリー・営業時間・レビュー・配達サービスの PostmatesやDoordashを通じたデリバリーオプションを備えてもいます。

Snapは企業がSnap Map上で広告を掲載できるよう計画しています。Snap Map上には現在3500万以上のビジネスが存在するとのことなので、これらビジネスは、新しい広告オプションが登場したときの潜在顧客であると言えます。

とはいえ、Snap map は、プライバシーの観点から問題を感じるユーザーも多くいます。以下は、10代の若者が、Snap map についてどう思うか(反応するか)を紹介した動画です。


新たな収益源の確保:Lense

Snapでは、ARを「Lense(レンズ)」と呼んでいますが、彼らはARのトレンドにも可能性を見出しています。彼らが明らかにしたところ、提供するフィルター機能とショッピングの相性はよく、ARフィルターを使ってバーチャルに商品を試着したことがあるユーザーは、コンバージョンが2.4倍高くなっています。このようなARベースの広告商品をさらに増やしていく予定だと言われています。


2020年6月11日に開催された「Snap Partner Summit 2020」では、既に100万個のLenseが作成されていると発表しており、Snapが抱えるARクリエイターコミュニティの規模を知ることができます。SnapによるとクリエーターがARを開発する「Lens Studio」に、「Snap ML」という機械学習を組み込むことを可能にする機能のリリースがアナウンスされています。上記動画の中でも、Computer Vision、3D Construction、様々な技術を活用していることに言及してますので、このようなアップデートも頷けます。


新たな収益源の確保:Snap Games

他SNSと同様に、Snapもゲームサービスを持っています。Snap Gamesです。

これはHTML5ベースのゲームアプリで、友人と一緒に遊ぶことが前提となっているパーティーゲームのようなものです。友人とのSnapchat上のチャット画面で表示されるキーボード上にあるロケットのボタンをタップし、遊びたいゲームをすることでスタートさせることができます。1億人以上がこのSnap Gamesをプレイし、1日あたり平均20分間プレイしていると発表されています。


収益の拡大:セルフサービス、プラットフォーム公開

Snapが今後数年間で収益を拡大する方法はまだあります。より多くの企業・ブランドが自分でSnapchat上の広告を購入できるようにすることです。それゆえ、同社は、中小企業向けのより優れたセルフサービスの広告ツールに投資しています。また、Snapchatの開発用プラットフォームをサードパーティーの開発者に公開しており、エコシステムとしての拡大も図っています。


インドでも利用が拡大

Snapchatは勢いを強めつつ、成長を続けています。米国だけでなく、欧州やカナダ、オーストラリア、さらにはインドでもユーザー数が拡大しています。インドでは、ユーザー数が7000万人を越え、過去一年間でDAUが120%以上増加しており、その伸長は注目に値します。

インドのお正月にあたる光のフェスティバルと呼ばれる「Diwali(デイワリ)」。そのデイワリを拡張現実で表現するLenseは、5億回以上利用されました。以下は、スマートフォンメーカーのOneplusとSnapchatのコラボによるプロモーションです。DiwaliのLenseがコミュニケーションツールとして使われています。


Snapchat の国際市場担当 Murugesan氏は、インドのローカルメディアでのインタビューで、このDiwali Lenseのような、インドの文化に関連した機能の開発やコミュニティとの連携、パートナーシップの構築に注力することを答えており、インドを有力なマーケットとみなしていることがわかります。インドのクリエイターもLense開発に積極的で、2020年11月には6,000以上のARが開発されています。例えば、そのうちの一つ、火の粉が舞うようなフィルターである「Smoke Flare Lens」は、インドと東南アジアでブームとなり、数十億回も利用されています。

Snapchat のインドでの普及においては、欧米との展開とはまた一味違った躍進がありそうです。今後の展開が気になります。


終わりに

以上、今回は、若者を中心にその勢いが世界的にも増しているSnapchatについて解説しました。

SNS関係では、他にも、日本におけるClubhouseブームが到来する直前に執筆したClubhouse解説記事や、

2019年4月に書いた、TikTok の成長の光と影を考察した記事等もあります。

また、今までにないパラダイムを持つDeep Learningを当たり前に使いこなす世代が到来するという主旨の、AIネイティブなる世代に向けてという記事も書いてます。ご興味がございましたら、こちらもご覧ください。


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