2019年ベスト・ドラマ10
2019年のポップ・カルチャーについてはベスト・アルバム50に書いたので、そちらをぜひ。ベスト・ドラマの評価基準はそこで書かれているのとほとんど一緒です。
今年はこれまで以上に韓国ドラマを観る機会が多かった。映像的に興味深いだけでなく、社会に対する批評眼もある作品とたくさん出逢えたのは嬉しかったです。なかでも『サバイバー:60日の大統領』は、韓国社会に留まらない問題を描いていて、日本に住む人たちも共鳴できる内容だと感じました。
筆者がブログやWebメディアで記事を執筆した作品は、作品名のところにリンクを貼っています。ご参考までに読んでいただけたら嬉しいです。
10
『このサイテーな世界の終わり』シーズン2
他の人よりも多くのことに気づいてしまう者たちの心情を描いている。前シーズンよりもトーンダウンしたが、フラッシュバックを活かした映像表現は洗練の極み。
9
『ヴァガボンド』
驚異的な韓国ドラマ。ジャッキー・チェンのベタなオマージュもあれば、ドゥニ・ヴィルヌーヴ的なロングショットも飛びだすなど、情報量が半端ない。
8
『ブラック・ミラー』シーズン5
人気オムニバス・シリーズの最新作。ジェンダーの揺らぎを取りいれた野心作「ストライキング・ヴァイパーズ」が飛び抜けている。
7
『サバイバー:60日の大統領』
『サバイバー : 宿命の大統領』の韓国リメイク版は本家を超える内容。現実の出来事を反映させ、それを風刺するセンスは抜群。ドリーズームなどさまざまな手法を駆使する映像は、制作陣の高い技術をうかがわせる。
エスプリに富んだティーン・ドラマ。パロディーやユルいグロ描写は“くだらない”の一言で一蹴されるかもしれない。だが、随所で現代のドラマ/映画に対するオルタナティヴが見られるなど、興味深い点が多い。
5
『マインドハンター』シーズン2
あらゆる点がハイスコアだ。ジョン・オルトンに通じる極端な明暗法が目立つ映像は素晴らしく、心理描写も巧み。スタイリッシュな緊張感を味わいたい方はぜひ。
4
『腐女子、うっかりゲイに告(コク)る。』
感情のグラデーションは多彩であることを教えてくれる。好きという感情は、恋や友情、ましてや性欲で括れるほど単純じゃない。そうした社会の規範にとらわれない繋がりを描いたという意味で、先鋭的な作品だ。
3
『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』ファイナル・シーズン
地べたで生きる人たちに最後まで寄りそう作品だ。さまざまな困難に見舞われながらも、必死に抗い、時には這いつくばりながら、一筋の光を掴みとる。その尊さを教えてくれた。
2
『チェルノブイリ』
正しくないことが積みかさなり、それを認識してる人もいるのに、そのまま物事が進んでしまう様にゾッとした。セットなど細かいところにも神経が行きとどいているのも見逃せない。
1
『トップボーイ』 シーズン3
イギリスの貧困や暴力といった社会問題を反映した傑作。ジェイソンの結末と、それを見届けたサリーの狼狽に涙。底辺で生きることの大変さは、日本に住む筆者も痛いほどわかる。
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