fromis_9(프로미스나인)「My Little Society」


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 プロミスナイン(프로미스나인)の最新ミニ・アルバムは「My Little Society」と名付けられた。直訳すれば〈私の小さな社会〉と読める言葉だ。
 まず目を引いたのは、彼女たちの楽しそうな様子を映したジャケット。インスタグラムの〈いいね!〉みたいなハートマークの使い方など、SNSが一般的になった現在を滲ませる。一方で、ポラロイドカメラのフィルムを模したレイアウトは、レトロな雰囲気を醸す。
 過去と現在が混じりあうヴィジュアル表現は、どんな姿もそのまま見せていい〈私たちの空間〉を描いたという本作のコンセプトにぴったりだ。過去だけでなく、現在にもとらわれていないところは、それこそどんな姿であってもいいという本作の自由の感性と重なる。

 この感性は、本作のリード曲“Feel Good (Secret Code)”のMVでも際立つ。自分で自分を撮影するメンバーの姿があったりと、主体性の強さをアピールするシーンが随所で飛びだす。彼女たちも《다른 시선은 No No(他の視線はNo No)》と歌うように、自らの姿や個性を尊ぶMVだ。
 サウンドも聴きどころが多い。リズミカルなカッティングを刻むギターはファンクを連想させ、ストイックな4つ打ちとシンコペーションが効いたベース・ラインの絡みはディスコなグルーヴを生む。強いて言えばシックあたりを引きあいに出せるサウンドだ。そこにラップやEDM的なビルドアップ→ドロップという曲展開も混ぜ、しっかり現代的側面を打ちだしているのも見逃せない。

 “물고기 (Mulgogi)”もお気に入りだ。カッティング・ギターに、マドンナ“Holiday”(1984)に通じるシンセ・ベースの音色。さながら1980年代のポップ・ミュージックにいざなう招待状と言える曲で、ダンス・ミュージックとしても踊れるポップ・ソングだ。さまざまな聴き方ができるサウンドは、繰りかえし再生したくなる中毒性を持つ。

 本作を聴くと、K-POPにおけるガールクラッシュの多彩さにあらためて驚かされる。イッジ(있지)のように寸分の隙も見せないパフォーマンスで強い女性像を打ちだすグループもいれば、緩さも伴いながら〈女性たちの世界〉を描く宇宙少女(우주소녀)もいる。
 本作はどちらかといえば後者に近い。“Feel Good (SECRET CODE)”のMVの振りつけはそれほど激しくなく、踊りの手数も多くないからだ。

 「My Little Society」は、自分を主張する方法はひとつじゃないと囁いてくれる。そのことにインスピレーションを受け、前を向いて歩こうと思える者は決して少なくないだろう。



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