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音楽レヴュー 2

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2020年1月の記事一覧

私たちは何世代?〜エコースミスとムラ・マサの緩やかな共鳴



 ロサンゼルスの3人組バンド、エコースミスが最新アルバムを発表した。タイトルは『Lonely Generation』。日本語でいえば、《孤独な世代》という意味あいだ。
 このアルバムのオープニングを飾る表題曲で、ヴォーカルのシドニーはこう叫ぶ。

 〈We're the lonely generation(私たちは孤独な世代)〉

 なんともド直球なフレーズだ。ビルボードのインタヴューで3人も

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SF9(에스에프나인)『First Collection』



 韓国の9人組グループ、SF9の韓国ファースト・フル・アルバム『First Collection』はとても良く出来た作品だ。4曲目の“룰루랄라 (Lullu Lalla)”を除き、全曲がきれいに3分台の尺に収められている。成長したメンバーたちのアダルティーな雰囲気を強調し、それに合わせて曲調も落ちついたものが多い。サウンドはもちろんのこと、イメージ面にもしっかり手が行きとどいている。

 特筆

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Will Bates『Depraved(Original Motion Picture Soundtrack)』



 多くの音楽ファンにとって、ロンドン出身のウィル・ベイツは多面的な男に映るだろう。ザ・リンスの一員だったときは、ベルカ・アンド・ストレルカの“Stethoscopics”(2006)をリミックスするなど、2000年代のダンス・ミュージック・シーンを賑わせた。かつてLCDサウンドシステムのサポート・メンバーを務めていたフィル・モスマンと結成したフォール・オン・ユア・ソードでも、DFAからリリース

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Georgia『Seeking Thrills』



 ジョージア・バーンズことジョージアは、ロンドン生まれのアーティスト。ケイト・テンペストのセッション・ドラマーを務めるなど、ジョージアの音楽キャリアは裏方からスタートした。ブリット・スクールでドラム演奏を学んだのは、アーティスト活動の道を切りひらくうえで大いに役立った。地道な活動が認められると、ロンドンの名門レーベルDominoからお誘いがあり、無事契約。2015年には同レーベルからファースト

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