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音楽レヴュー 2

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2019年3月の記事一覧

いま、もっともホットな音楽のひとつがUKガラージだ



 最近クラブに行くと、UKガラージで踊り狂う者に出逢うことが多い。ソー・ソリッド・クルーといったクラシックからフラヴァ・Dのような新世代まで、流れる曲は実に幅広い。

 踊り狂う者のほとんどは若者だが、その若者に「昔UKガラージはバカにされていたんだよ」なんて言うと、決まって「マジ?」と返される。無理もない。フラヴァ・DもメンバーのTQDや、DJクルーの24アワー・ガラージ・ガールズなど、いま

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(G)I-DLE「I Made」



 韓国の6人組女性グループ、(G)I-DLE(アイドゥル)のセカンド・ミニ・アルバムにハマっています。「I Made」というそれは“Senorita”がリード曲なんですが、これが本当におもしろい。作詞/作曲/編曲で関わったメンバーのソヨンによれば(作曲と編曲はビッグサンチョと共同)、“Senorita”は「ラテン風で、タンゴを思い浮かべて作った曲」だそうです。タンゴはフラメンコの曲種ですが、確

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ミュージック・マガジン増刊『K-POP Girls』 に寄稿のお知らせ+ちょっとしたK-POP論



 ミュージック・マガジンの増刊『K-POP Girls』に寄稿しました。ガールズ・グループを中心に、K-POPの現在に迫る内容です。

 筆者はブラックピンクとレッド・ヴェルヴェットのディスコグラフィーを執筆しました。といっても、ただ作品を紹介しただけではありません。今回は全作品について書かせてもらったので、すべて読むとまとまりのあるものに見えるようにしました。そういう意味では、ブラックピンク

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Dave『Psychodrama』



 デイヴと名乗るラッパーは、サウス・ロンドンのストーリタムで育った。ストームジーを敬愛する一方で、ラナ・デル・レイ、ピンク・フロイド、ハンス・ジマーの作品も好むなど、幅広い音楽的嗜好を持つ20歳だ。『NARUTO』や『ドラゴンボール』といったアニメからも多大な影響を受けている。なんでも、2016年に発表したファーストEP「Six Paths」のジャケットは、『NARUTO』がモチーフだという。

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Solange『When I Get Home』



 ソランジュの最新作『When I Get Home』がリリースされた。本作に関するトピックで特に驚いたのは、ブラックプラネットに新たなサイトを開設したことだ。ブラックプラネットとは、2001年にオマー・ワソーがローンチしたSNS。アフリカ系アメリカ人のコミュニティー・サイトとして注目され、出逢いを求める人々の社交場だけでなく、政治/社会問題を議論する場にもなった。

 筆者がブラックプラネッ

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Modeselektor『Who Else』



 モードセレクターは、ゲアノット・ブロンザートとセバスチャン・シャーリーによる2人組だ。若い頃の彼らは、ドイツが東西統一を果たす前のベルリンで、ラジオから流れてくるヒップホップをエアチェックしていた。その影響で2人ともヒップホップDJとして活動したこともある。
 だが、その日々は突如終わった。1991年にTresorでおこなわれた、アンダーグラウンド・レジスタンスのライヴを観たからだ。それ以降

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