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「書かないで書く」から「考えて書く」へ

文章を書くのに、もっと「余裕」が欲しいと思う。なんというか、まだ切羽詰まった書き方をしているところがある。これはパソコンで書くときの話で、そのときにはない「余裕」が、原稿用紙にモンブランの万年筆で書くときにはある気がする。太字の万年筆は、ゆったりした気持ちで書ける。文が難なく出てくる感じもある。それは何なのだろう。

いろんなインタビューで、2017年の12月、ボストンにいたときに「書かないで書く」の考察に至った、という経緯を話している。それ以後、『アメリカ紀行』、『デッドライン』と文学的なものを書くようになり、哲学的な文章の書き方も変わったのだった。

ところで、この五月に『アメリカ紀行』が文庫化されます。師の一人である佐藤良明先生にご解説いただいたので、ぜひお読みください。

さて、手書きで何が起きているのか、である。

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