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〜ブランディングで金儲けを諦めるな!〜『ブランド論/デビット・アーカー』書評と考察

『ブランディングで金を儲けろ、諦めたらうまくいかなくなる。』
仰々しいですが、これはわりと自信のある持論です。
いろいろな世界的企業、政府、選挙、スタートアップ、自衛隊など様々なブランディングに携わった結果そう思っています。

巷でブランディングとは、
・マーケの足し
・CSR
・上場などを契機としたサブの活動
・唐突な逆転の手札
などとして行われおり、大体途中で頓挫します。90%以上は頓挫、または終わってもなんなのかよくわからなかったという感じではないかと思います。

理由は、(綺麗事とかでなく)数字をベースとした企業体において、数ヶ月/数年も感情の話をしている余裕のある代表というのは普通は存在しないし、それが正しいと思います。
(それでも感情の話をし続ける人を、私は個人的には応援していますが、)

では、どうすればいいのか?
・代表を巻き込むこと
だけでなく
・『どう金になるのかを考えるのを諦めてはいけない』

ということです。

私はデザイナーですが、いいものづくり/活動であれば、欲しい人に欲しいものを返せるべきで、金が欲しい人に金を返すということ、また素晴らしいものづくり/活動だと考えます

ブランディングを始めるときにオススメの本

私は、よくブランドの本を紹介して欲しいと言われます。
私はあまりたくさんの本を読まず、同じ本を何度も読むタイプですので、
レパートリーが少ないのもあるのですが、ブランディングの本は一冊以外紹介しません。

それが『ブランド論/デビット・アーカー』です。

この本は完璧だと思っていませんが、情報のコアの癖は少なく、多くの人が求めることが書かれていると思います

ただ、この本を紹介して『わかった』、『わかりやすかった』、という人は、15%以下ぐらいで、大体の方が『わかりにくかった』、『難しかった』と感想いただきます。

ちなみに私はわかりやすかったです。
本を読んだのはすでに32歳ぐらいで、その時までに猪突猛進で様々なブランドの課題にいろいろな国で取り組んでいたため
『ああ、あの時起こってたのはこういうことか』、
『こう説明しとけばよかったな』

みたいな感じでちょっと回顧録的に読んでました
つまり本は国語的に難しいわけでなく、専門性があるということだと思います。

そこで、私がどう考えて読んだのかの書評と考察を交えつつ、
ブランディングに関してある一つの考え方を知ってもらえたらなと思います。

まずご注意です
※デビッド・アーカー氏と石坂のブランディングの根元の考えは違います
>デビット・アーカー氏はマーケティングとして、学術的に理論的に捉えています。故に大変に素晴らしい本です。
 =ブランディングで、数字を扱う

>石坂はそれを理解しつつ、感情、意志のレバレッジとして理論を活用 > でないと現代の商売に勝てないとの考えから。
 =ブランディングで数字を通して、感情を扱う

何言ってるかわからない人も多いかと思いますが、分かる人にはここは最初に注記しておくべきかなということで書きました。
この二つの考え方には、ブランド論ができた時代と、現代の時代の差によるものもあると思います。

第1部 基礎 資産としてのブランドの書評・考察

ここでの学びは、ブランドを論理的説明し、CEO,CFOを口説く力を獲得し始めたブランディングが描かれている
これは今でも苦戦している方が多いのではないかと思います。

社長がなぜブランディングをやらなくてはいけないのか?続けなくてはいけないのか?
などの当たり前の問いに対する答
である

ここで本として難しいと思われるのは、
ブランドをどう整理し、どう活用するのかを流れるように書かれていることかも
しれません。
悪くいうと、経験のない人にとっては、酷な書き順で、理解しにくくになっていると思います。

ので、私なりに要素を噛み砕いてみます。
まず、下の①〜③は完全に理解しましょう
①ブランド認知(P16-17)
=ブランドが知られているか(=認知)。また、シグナルとして覚えられているかでお店での購入判断などで勝ち残れるかを左右する大切なもの
 ∟これを理解できれば、例えばデザイナーとしてはなぜシンプルにするのか、なぜその色を使うのかが自ずと見えてくる部分もあると思われる

②ブランド連想(P16-17)
=ブランドが想起されること。喉乾いたな>コーラのも! これが達成されればすでに市場で勝っている最近の類似でいうとzero moment by google(バイイングの前に勝負はついている)に似ていますが、ネットを介在させず、購入意思決定に結びつく速さから、より上位かなと思います
 ∟これを理解できれば、マーケターはメディアを買う前にどうアクションをすべきか思いつくかもしれません。

③ブランド・ロイヤリティ(P16-17)
=ブランドの資産的価値。①、②ができないと意味が薄いが、最初から考えておくことが必要
  ∟これを理解できれば、経営は、どれくらいの金額的価値がブランドにあるか理解でき多少の辛抱をして投資をできるかもしれません。

でここからは、応用です。

④ブランドの拡張について
難しいというかかなりの応用なので一旦飛ばしましょう

⑤サイロ化への対応(P20)
これは超重要です。
開始時に必ずぶつかる問題で、なぜブランディングなんてもんやらないといけないだと、その会社で実際にお金を稼いでいる人たちから言われること間違いがないです。
なぜなら、売りが立っていないものに予算をつけるということは、そのお金を稼いでいる人たちのお金を間接的に使うことになるからです。
これを抑えるには、中央集権型=つまり社長、役員のブランドへの理解が必要になります。そして口説くためには、少なくても①、②、③は理論的、体系的に話せないと、まったくダメだと思います。

⑥ブランドには資産価値がある(P31)
=これも超重要です。
p31にある通りですが、結局どう価値が証明されており、ROI(投資に対する報酬)がいいのかが書かれています。これを説明せずして、予算を当ててくれというのは、かなりきつく、できたとして、長くは持たないでしょう。
世界的な企業の場合、数字で具体的に書かれているので、自分の会社の規模と比べてすごくうまく言ったときにどれくらい金額が叩き出せそうか皮算用してみるのもいいかもしれません。
ブランドは、会社規模や業態に比例・影響される部分も大きいので、投資判断の材料としては良いものになるはずです。

第1部まとめ

どう始めてどう続けるかは、ブランド論の基礎『資産としてのブランド』を意識して、どれくらいの資産になりそうか、どのように作ろうかの基礎の基礎だけでもまとめて、自分自身、役員などを説得しましょう。

ブランドで儲けることを諦めていけないのは、ブランディングを始めて、続けるため。
そうでなければ、価値を生み出せない。

長いので、続きは、また次回:)