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死ぬとお金がかかります。6. お墓も、なかったのだよ。

お墓がない。

両親ともに末っ子同士だったため、ウチには墓もなかった。新聞に挟まれてる近所の霊園チラシを見て、本人たちは、ぼんやり考えてはいたみたいなんだけど。決める前に父がぽっくり逝ってしまったので。
本来なら、四十九日に納骨するらしいんだけども。あまりにあっさり逝ってしまったこともあり、ひとり暮らしになってしまった母がしばらく家に置いておきたいと言いだし、その後、母の2回目の心臓手術をすることにもなってしまった結果、父の遺骨は1年ほど家にいた

父が亡くなった当初はやっぱり、四十九日辺りに納骨しなきゃだよねーと話してて、墓地を見に行ったりしてた。これも、決めておかなかったからだけど、亡くしたショックの中で、いろいろ見に行くのは結構シンドイ


当人たちが無宗教・無神論者、さらには(遺されるであろう)私が「お墓は要らない」ってタイプ(海に散骨でいいと思ってる)なので、樹木葬を中心に墓地を探してた。
いいなと思ってたのは、とある山の中のお寺さんに区画を買い、本当に野に還るという樹木葬。ちなみにそこなら、家族全員+ペットも一緒に埋葬OK だった。プレートのみで墓石もなく、管理も完全お任せで、数年一度お参り行けりゃいいやなつもりでいた私はかなり気に入ってたんだけど。




父と40年連れ添った母が、「やっぱり月命日にはお参りに行きたい」と言い出した。それにはちょっとかなり距離があり、車のないウチにはとても月一参りはシンドイ。
かといって、地元で自転車で行ける距離、じゃあ、この先自転車乗らなくなったら放置じゃん? という話になり(実際、母は手術後、自転車に乗らなくなったし)。
ちょっと離れた電車で行ける距離の樹木葬は自然に還る系ではなく、「お墓マンションにせせこましい感じ」がして、なんかイヤ。

そんなこんなで、あちこち見て回ったけどなかなか決まらない

結局、四十九日には間に合わず。その後じっくり時間をかけて、隣県の妹の家と実家の間にあり、交通の便もよく、何より最寄りいくつかの駅から無料送迎バスも出ている、お参りしやすい、宗派問わずの霊園に夫婦墓を建てることにした(ちなみに、決まるまで何度も通ってるから交通費もそこそこかかってる)。



私も入れる家族墓にしなかった理由は、遺った人(つまり私)に管理費がかかってくるから。夫婦墓は、最初に払う代金が「あとに入った人の33回忌まで面倒見てそのあと合祀、墓石の始末代も含む」だったので、それにしてもらった。
さらにぶっちゃけると、死んだあと親と一緒の墓はイヤだった。両親への、複雑で微妙な娘心(ペット可だったら、考えたかもだけど……ウチに数年前虹の橋を渡った、ぬこのがまだあるから)。


ペットの骨は入れる???

「家族同然のペットも一緒でOK」ってラフなとこから、「畜生は人と別」ってキッパリの考えや「基本別だけど、ナイショでこっそり入れたげる」ってとこまで。お墓さんにもいろいろあった



区画も、建てる向きにも好まれる方角があるらしく、値段が変わっていたりする。仏教で、仏さまの方角に向けてお参りの人が拝むようにとか、逆に、お墓自体を仏さまに向けるとか、いろいろあるらしい。あとは日当たりとか。気にする人はとことん気になるんだろうけど、最終的には、好みで! ってことらしい。でもまあ、隣近所にどんなお墓が建ってるかは気になったりするよねぇ……


当然、墓石もない。

墓地が決まったら、今度は墓石
だいたい、墓地・霊園とつながってる石屋さんがあって、そこで買うことになる。石の種類とデザインと大きさで、これもお値段ピンキリ。

ウチは、こぢんまりとした夫婦墓で、土台と上に乗せるのと花受けの石をぜんぶ合わせた。で、花受けに家紋、上の石に家名を入れてもらった。その上、母が父に縁のオリーブを彫りたいといいだした(父は元イタリアンのシェフで、母との出会いもイタリアだった)。

その辺の彫り物は、入れられるけど別料金。プラス1万くらいだったかな。
さらに、オリーブのデザインもネットで探すと良さげなのは有料だし。結局、ウチはたまたま極近い親せきにデザイナーがいるので、おっちゃんのためにチョチョイと描いてくれない?と頼んだら引き受けてくれた(その子もよく父の手料理食べてたしね)。でも普通にデザイン発注したら、それなりにかかるよね(まあ本当なら、彼女もプロのデザイナーだから、いくらか払うべきなんだけどもー。しかも母がこだわってしまって修正も3~4回発生しちゃったし)。


そんなこんなを母の心臓手術の合間にやりとりして、なんとか埋葬したのは、一周忌も過ぎたあとだった。
宗派によっては納骨にもお坊さん呼んでお経上げてもらうけど、ウチはサクッと。近い身内だけで。そのあとみんなでご飯して、一段落。



墓終いにもお金がかかる。

お墓って、用意するのもお金がかかるけど、始末するにもお金がかかるんですよね。墓終いにはだいたい100万かかるらしい(墓石の処分が大変なんだって)。だから無縁仏も放置されてる。



お墓に入った後。

入った墓地を管理するお寺さんの宗派によっては、戒名とかつけてもらったり、それ以降の家族の葬儀や何回忌とかの法要にはそこのお坊さん「必ず」呼んでお経あげてもらわなきゃいけなかったり。その足代とかも「お志」が必要だって、見に行ったお寺さんが言ってた。ちなみにぶっちゃけて相場も教えてくれたけど、お経には、1回10~30万を包む家が多いらしい。

あと、そのお寺さんと付き合っていく上で、お寺の改修費が必要になったときとか檀家としてのお布施が要ったり。なんか、いろいろかかってくるらしい。
まあ、宗教って損得で入るものでもないような気はするけど。そうはいっても、生活費との兼合いで、今後いつどのくらいかかるかは調べてから入った方がいいのかもね、とは思った。入らんけど。


それより私は、自分の火葬+海に散骨(やってる業者さんがいくつかある)代を準備して、手はずを整えておいてからでないと、うかつに死ねない。でないと、遺される(であろう)妹が困るから。


フリーランスじゃ、それよりも生活費、になりがちだけどもー。
せちがらい。




土地+夫婦墓の石+管理費(最後の人の33回忌まで、その後は合祀)後始末代込み込みで、だいたい100万くらい。






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1. 老いた親との別れ方。
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7. 死後の手続き。
8. 葬式代わりのお別れ会(お手製)
9. 遺品整理も大変なのだ。
10. 死ぬと入ってくるお金。
11. 父親との最後の会話。
番外. 親友の義母の場合。


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