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「BASEが向き合う社会課題」BASE株式会社 原田CFOとの対談

2021年3月17日(水)、グロース・キャピタル株式会社主催メディア向け勉強会「『株高では終わらせない』2021年は、その市場評価を社会課題の解決に繋げる新たなフェーズへ」が、オンラインで開催されました。

“市場からの期待である「堅調な株価」を社会課題の解決につなげる”

をテーマに2部制で行い、セッション1ではグロース・キャピタル代表の嶺井が2020年の市場環境の振り返りと、先進的な事例の紹介、また2021年以降に向けた提言を発表し、セッション2ではBASE株式会社で取締役CFOを務める原田健氏をお迎えし、対談形式でBASEが向き合う社会課題について伺いました。

本記事ではセッション2をご紹介します(セッション1の記事はコチラ


セッション2:
BASE株式会社 原田CFOと対談「BASEが向き合う社会課題」
登壇者: 原田 健 氏(BASE株式会社 取締役CFO)
     嶺井 政人(グロース・キャピタル株式会社 代表取締役社長)


■BASEのバリューは、スモールスタートを可能にしたこと

嶺井:ここからはセッション2として、BASE株式会社の原田健取締役CFO をお迎えし、「BASEが向き合う社会課題」というテーマで、お話を伺っていきます。原田さん、今日はよろしくお願いいたします。

原田:よろしくお願いします。

嶺井:最初に、御社の事業内容についてご紹介をお願いします。

原田:BASEは2012年に設立された会社になります。社名でもある「BASE」というサービスを提供するBASE事業と、「YELL BANK」「PAY.JP」「PAY ID」といった資金調達、決済サービスを提供する事業の2事業を展開しています。メインのBASE事業は、個人、スモールチームが簡単にネットショップをつくることができるサービスとなっています。

嶺井:原田さんのご経歴もぜひお伺いさせてください。

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原田:はい。大学卒業後、ゼネコンで経理、財務の仕事を経験した後、ミクシィ、フリークアウトといったネット系の会社に勤めました。そして2015年6月にご縁があり、BASEにジョインしたという流れになります。

嶺井:ありがとうございます。早速、メインテーマである、BASEが向き合っている社会課題について改めてご説明お願いします。

原田:今までは、ネットショップを開設する際、ITリテラシー、あるいはある程度の資金が必要だったため、気軽にビジネスを始めることができませんでした。そうした中で、ITに詳しくない方でも、無料で、簡単に、リスクを最小限に抑える形でネットショップを開設できるサービスを開発した点が、BASEの一番の価値だと考えています。

嶺井:ファッションをはじめとして、さまざまなショップさんがBASEを利用されていますね。

原田:ジャンルとしては、ファッションカテゴリーが一番多いのですが、エンタメ、ホビー、食品、飲料、コスメなど、幅広くご利用いただいています。リアルな店舗は持っていないけれど、趣味や副業的な形でネットショップをスタートし、軌道に乗り始めたら、事業化するといったケースも多いですね。

嶺井:BASEのようなサービスが誕生する前は、実際に店舗を作って、広告を出してといったアクションが必要だったのが、気軽にオンラインショップから始められるようになった。つまり、スモールスタートができるようになったということでしょうか。

原田:そうですね。最初に固定費がかからないのは大きいと思います。その部分のハードルが下がったことに加えて、BASEのようなサービスが開発されるのと同じタイミングでSNSが急激に普及したことも大きなポイントになります。SNSを使うことで、大企業だけでなく、個人の方でも世の中に発信することが可能になりました。

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(写真右からBASE原田CFO、グロース・キャピタル嶺井)

■2020年3月、急激に増えた出店数

嶺井:コロナ禍で、あらゆる分野で大きな変化のあった1年でしたが、BASEの顧客である、個人、小規模事業者のみなさんの環境はどのように変化したのでしょうか。

原田:私たちが実際に変化を感じたのは、2020年の2月頃でした。当時は、コロナが日本でどう影響がでるかまだわからない状態でしたが、業界的には、中国に製造を委託している事業者の商品が届かないのではないか、物流が滞ってしまうのではないかという懸念が広がっていました。そしてその後の大きな変化としては、3月後半に出店するお店の数が急激に増え始めたことですね。

嶺井:なぜ、そのタイミングで出店数が増えたのでしょうか。

原田:すでにリアルな店舗を持っている方であったり、規模的にやや大きめの事業者の方の出店が増えたことを考えると、緊急事態宣言の影響はあったように思います。

嶺井:もともとリアルで事業をされていた方が、緊急事態宣言下で、オンラインショップを開設して、新たな方法で顧客にリーチする動きが加速したということですね。

原田:はい。3月に急激に出店数が増え、それが流通額に表れてきたのが、4月頃からでした。購入者側もマスクや消毒液といった感染症対策に必要な日用品や、食品や娯楽といった巣籠もり消費、あるいは地方を応援するといったことで、ECを利用する機会が急激に増え、既存店の売上高も伸びていきました。

■株価上昇のきっかけは海外投資家

嶺井:世の中全体として、消費者がネットでものを買う流れが加速したことと連動する形で、株価も非常に堅調に推移した1年だったかと思います。投資家の反応に変化はありましたか。

原田:昨年の半ばから株価が上がってきたことについては、世界的に、投資家からの関心がECへ集まったことが影響していると考えています。

嶺井:日本の投資家だけでなく、海外の投資家からの注目もあって、株価が堅調に推移したということでしょうか。

原田:そうですね。日本よりも、海外の投資家の注目度が高かった印象です。アメリカでのECの動きが先にあって、それに気づいた海外の投資家が、「日本にもBASEのような個人やスモールチーム向けにサービスを展開する事業者がいるぞ」ということで注目が集まったという順番でした。

嶺井:なるほど。そうした中で、2020年の9月に124億円の資金調達を発表されました。このタイミングで資金調達を行なったのはどうしてでしょうか? 御社の戦略は何か変化があったのでしょうか。

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原田:私たちがやっていることは基本的には変わっていません。むしろ、個人やスモールチームのポテンシャルにしっかりとコミットしていかなければならないということを、改めて強く感じた1年でした。ですから、今後、プロモーションや継続的な開発投資を行なうためにも、早急に一定のキャッシュを確保しておきたかったというのが実際です。2019年にIPOした際は、マーケット環境の影響もあり、期待したほどの調達ができなかったのですが、今回は、海外の投資家の需要をしっかりと取り込み、資金調達を行えました。

■矢継ぎ早に、出資・資本提携を発表した理由

嶺井:通常、エクイティファイナンス発表直後は、希薄化懸念で株価が下がることが多いのですが、BASEの場合は、逆に大きく上がりましたね。

原田:私たちも正直、どうなるんだろうという気持ちはありました。ただ、結果からいえば、今後の投資に対して期待をもっていただいたと、ポジティブに捉えています。

嶺井:マーケットとしても、御社が目の前にある社会課題に対して、事業投資を通じてしっかりと向き合うことにポジティブに反応したということですね。そのあと、矢継ぎ早に、サービスECのMOSH、クラウドファンディングのCAMPFIRE、インドで決済サービスを展開するInstamojo、noteといった会社へ出資、資本提携を発表されていますが、どんな目的や背景で行なわれたのでしょうか。

原田:すべての投資に共通するのは、個人、スモールチームをエンパワーメントするという目的、大前提があることです。中でも、CAMPFIREさんとnoteさんに関しては、サービスを連携させることで、ユーザーさんの利便性を高める狙いもあり、業務提携も同時に進めました。Instamojoさんは、私たちがインドでサービスを展開するのは難しいため、出資という形で、間接的にインドの個人、スモールチームをエンパワーメントしたいと考えたためです。

嶺井:短期間でこれだけ矢継ぎ早にアクションをとられることは、なかなかないですよね。

原田:こちらに資金があるタイミングと、先方が資金調達するタイミングが合致したということですね。また、もともと、展開されているサービス、事業内容、ミッションに共感していたため、資本提携、出資に際して、大きな壁はありませんでした。

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(写真右からBASE原田CFO、グロース・キャピタル嶺井)

■個人、スモールチームをエンパワーメントし続ける

嶺井:最後に、今後の展望を聞かせてください。原田さんと事前に打ち合わせをした際、「現状は、コロナによって来たるべき未来が少し早く訪れたものと捉えている。この1年で起きたDX、いわゆるデジタル化は不可逆で、この流れは引き続き2021年以降も続いていくと思う」というお話をされましたが、とても共感しました。

原田:ありがとうございます。現状、日本のEC化率はまだまだ低く、改善の余地は無数にあります。ですから、今以上に大きな規模のお店をターゲットにするのではなく、あくまで、個人、スモールチームをエンパワーメントするというところに、引き続きフォーカスしていきたいと思っています。ですから、基本的にやっていくこととしては、ユーザーさんが使いやすいサービスを開発し続けることと、マーケティングを通してサービス自体を届けていくことの2つになります。

嶺井:2020年は、ITの力で世の中をエンパワーメントする企業の株価が堅調に推移した1年でした。BASEと同じように、市場の期待を、事業の成長、社会課題の解決につなげたいと考えている会社さんも多くいらっしゃいます。ぜひ、そういった会社に向けてメッセージをお願いします。

原田:コロナ禍もあって、株式市場全体が不安定な状況にあり、どうしても株価や市場の動きは気になります。ただ、昨年、投資家の方から、「株価は見る必要はない。経営のことだけ、事業のことだけ考えていればいい」というアドバイスをいただいたのは、とても印象的でした。

嶺井:短期的な株価推移に一喜一憂するのではなく、向き合うべき課題、顧客に向き合ってほしいということでしょうか。

原田:はい。その通りです。とくに私たちのようなベンチャー企業は、社会課題を解決するために存在しているので、しっかりとそこに向かっていく。もちろん、上場している以上、成長し続けていかなければなりませんが、目的も見失ってはいけないと考えています。

嶺井:BASEと同じように、社会課題に向き合っているベンチャー企業が、2021年は市場からの期待を活かして、これまで以上に社会課題の解決に向かって進んでいってほしいですね。本日はありがとうございました。

原田:ありがとうございました。

(了)


※同日行われた、セッション1の記事はコチラ


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上場ベンチャーの株式での資金調達と調達後の成長戦略の実行を支援することで、上場後のベンチャー企業が成長をさらに加速し、日本およびグローバルのトップ企業となることを支援しています。 モルガン・スタンレー証券(資本市場部、クレジットリスク管理部)/マイネット(CFO、副社長)出身