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【事例】セルソース/機関投資家向け戦略的IR支援 ― 方針決定から、投資家との1on1ミーティングの実施、ナレッジの蓄積まで

当社グロース・キャピタルは、株式での資金調達や、調達後の成長戦略の実行を支援するグロースアクションの実施に加え、上場ベンチャーのIR支援も行っています。

2022年1月から4カ月間にわたって実施したのは、「すべての人生に、再生医療を。」をミッションに掲げ、再生医療のプラットフォームを展開するバイオベンチャー、セルソース株式会社の機関投資家向けIR支援。

今回の取り組みについて、セルソースの裙本理人代表取締役CEOと杉祐次郎執行役員CFOと共に、グロース・キャピタル代表の嶺井が振り返りました。

■海外機関投資家への能動的なアプローチ

嶺井:本日はお時間をいただきありがとうございます。今回のインタビューでは、セルソースと当社グロース・キャピタルとで行った機関投資家向けIRの戦略立案と実行について振り返りたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
最初に、当社と一緒に取り組む前の御社の機関投資家向けIRの状況、課題についてお聞かせください。

裙本:よろしくお願いします。私たちセルソースは2019年10月に東証マザーズ(現グロース)に上場しました。これまでの2年半、さまざまなIR活動を行ってはきましたが、機関投資家の方からの問い合わせにリアクションしたり、証券会社にアレンジいただいた際に対応するようなケースが多く、受け身の状況が続いていたというのが実際のところです。

嶺井:これまでは積極的に動いていなかったということですが、このタイミングでIRに力を入れたのには何か理由があったのでしょうか。

セルソース株式会社 裙本理人CEO

裙本:今現在、私たちセルソースはグロース市場に上場していますが、将来的にはプライム市場に移行したいと考えています。そのためには、今以上に株式の流動性を高め、投資家の幅を広げる必要があります。これまでは主に国内の投資家に興味を持っていただいていましたが、資本政策の一環として、海外の機関投資家にもアプローチするフェーズに入ったことがきっかけです。

嶺井:プライム市場を目指すと決めたタイミングで、IR戦略の強化を図ったということですね。そんな中で、グロース・キャピタルを活用されたのはなぜでしょうか。

裙本:業界でも嶺井さんの活躍は有名で、そんな嶺井さんが会社として上場後のベンチャー支援を始めたと聞いていたので、機会があったらぜひご一緒したいと思っていました。今回、IR強化のタイミングでご支援いただき、うれしく思っています。

嶺井:ありがとうございます。

■IRをさまざまな角度から整理し、ナレッジを蓄積する

嶺井:ここからは、2022年1月から4月までの4カ月間、私たちグロース・キャピタルと一緒にプロジェクトを動かしてくださった執行役員CFOの杉さんにお話を伺いたいと思います。
今回、IR方針のディスカッションから始めて、方針に沿ったターゲット投資家のリストアップ、資料へのフィードバック、投資家との1on1面談のアレンジなどを当社がサポートいたしました。グロース・キャピタルの機関投資家向けIR支援について、印象に残っている点をお聞かせてください。

:実は最初にIR支援のお話をいただいたときは、どこまでプラスの効果あるのかと、やや懐疑的な意見を持っていました。ただ、実際に4カ月間ご一緒した今は、当社のIR戦略に確実にポジティブな効果があったと感じています。
もっと具体的に言うと、さきほど社長の裙本からもあったように、これまでは受動的な対応しかできていなかったIRを、グロース・キャピタルとの取り組みを通して、今必要なIR戦略、戦術について整理できたことは大きかったですね。

セルソース株式会社 杉祐次郎CFO

嶺井:今回は単に1on1面談を重ねるのではなく、一度立ち止まって、セルソースの今のフェーズで、「そもそもどんな目的をもってIRを行うべきなのか」を考えるところからスタートしたことが成果につながったと私も感じています。そして、その目的に沿った要件を定めて、どういう機関投資家と会うべきなのか、何を伝えていくべきなのかを整理するというアプローチを杉さんと一緒に行いましたね。

:当社のIR戦略上、どういったところにアプローチすべきかについて、既存投資家、これまでコンタクトのあった投資家、これからコンタクトすべき投資家というように、いろいろな観点から整理して、ターゲットを絞りながら進めることできたのは非常によかったと考えています。

嶺井:私は仕事柄、上場ベンチャーのCFOとお会いすることが多いのですが、今のセルソースのように、ターゲットを明確にしたうえで、具体的なKPIを設定しながら戦略を実行できている会社は少数です。その意味で、今回のプロジェクトは、私たちにとっても学びの多い取り組みになりました。

:投資家から具体的なフィードバックを受けたことで、今後どのように対応すべきかという点が整理でき、今後の方針がクリアになったのもありがたかったですね。

嶺井:今回は、リストアップした136社の機関投資家の中から10件の海外機関投資家との面談を当社でアレンジさせて頂き、面談後のアンケートにも多くの投資家が回答してくれました。事業内容だけでなく、ボードメンバーの構成や今後の成長ポテンシャル、海外市場の動向など鋭い指摘も多く、今後のIRに活用できる要素も多かったのではないでしょうか。

:そうですね。どのように機関投資家をセグメンテーションしてアプローチしていくかだけでなく、具体的なフィードバックをいただいたことで、現状の自社の課題、さらには今後、機関投資家に対してどういう対話をしていくべきかが見えてきました。今後は今回の一連のアプローチで蓄積したナレッジを活かしながら、資料を作成したり、機関投資家とコミュニケーションしていきたいと思っています。
また、今回のIR支援を通して、IR担当としてやるべきことが整理できただけでなく、IRを戦略的に実行することが会社にとってどれだけポジティブな効果があるのかを改めて実感できました。

■社内リソースの活用だけでなく、「プロに任せる」という選択肢を持つ

嶺井:最後に2点、裙本社長にお伺いしたいと思います。まず、グロース・キャピタルの機関投資家向けの戦略的IR支援についての評価をお聞かせいただけますでしょうか。

裙本:最初にお伝えしたいことは、非常に満足しているということです。グロース・キャピタルは、ただ単に作業的に面談のアレンジをするのではなく、発行体である私たちセルソースの事業を理解しようというスタンスで取り組んでくださいました。そういう姿勢で臨んでくださったからこそ、当社としても、IR戦略を考え、資料の作り込みをして、機関投資家にアプローチするというプロセスを一気通貫でお任せすることができました。

嶺井:ありがとうございます。今現在、機関投資家向けのIR戦略において課題感を持っている上場ベンチャーはたくさんあります。そういった会社さんへメッセージをいただけないでしょうか。

裙本:これからのベンチャーのあり方を考えたとき、すべてを社内リソースでやっていくことには限界があります。フェーズごとに、全要素を内製化することで本当に経営効率が高まるのかを検討したほうがいいのではないでしょうか。その意味で、外部のプロ、たとえば今回のようにIRについてグロース・キャピタルのようなところに支援をお願いするのは、経営の打ち手としては正解だと思います。内製化して固定費を積み上げてやっていくよりも、変動費という言い方が適切かわかりませんが、外部のプロの力を必要に応じて起用していく。そういった経営の柔軟性がベンチャーにとっては非常に重要になってくると私は考えています。

嶺井:私も常々、多くの上場ベンチャーでは、IRのリソースが限られる中で、戦略的に自社を評価してくれる投資家にコンタクトを取り続けることがポイントになると考えています。今回、セルソースの皆さんとご一緒しながら、改めてその重要性を再確認することができました。今日は貴重なお話をありがとうございました。

裙本・杉:ありがとうございました。