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読書・映画感想文

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読んだ本や映画の感想文
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#読書感想文

静寂に身を浸すことで感じられた「小さな声」

ときどき自分の声が小さすぎて聞こえなくなるときがある。 綺麗だと感じていたものへの確かな…

天狗だったあの日の自分へ

以前から気になっていた『大学1年生の歩き方』を読んだ。ちょうど明日から4月。この土日に街で…

泣くほどの理由もない。ただ一人ぼっちだ

ただ出会いを探しただけなのに、なぜこんなにも自分の人生について突きつけられ、悩むのか。 …

傷によって人は繋がれるのかもしれない

自分に特筆すべき感性なんてあるのだろうか。 日々の生活や映画、小説を通して、特別な感情や…

食べものを思い浮かべられること

最近、食べものについて思い浮かべられる幸せがあるのだということに、はたと気付かされた。 …

「ピンとこない」の中にある傲慢さ

「ピンとこない」って便利な言葉だなと思う。その通りではあるのだけれど、目の前にあったはず…

繊細さと流れていく感情

川上未映子さんはどうしてこんなにも「繊細さ」を代弁してくれるのだろうか。本を閉じた瞬間そんな思いが浮かんだ。 2年前にも読んだことのある『すべて真夜中の恋人たち』(川上未映子著)だが、久しぶりに読みたくなりこの1週間ゆっくりと読んだ。以前読んだときは儚い恋の物語として読んでいたが、今回は主人公・冬子の繊細な内面と社会(もしくは、周囲から向けられる目線)とのずれに視線が行った。 校閲として働いていた職場で、冬子は嫌というわけではないが居心地の悪さを感じ、「フリーにならないか

黄色い家、危うさと隣り合わせだった過去

川上未映子さんの「黄色い家」。貧困や犯罪と隣り合わせの環境や家という小さな世界以外に社会…

ぼやける記憶の中で、確かにあったこと

東京の喧騒の中で生きていると、東北で育った頃の記憶がぼやけていく。生きる世界線が近いよう…

中学3年、夏。

中学3年、夏。僕が捧げたのは6人で襷を繋ぐ"駅伝"。自分のルーツを挙げるとしたら、絶対にあの…

苦しさをどこまで捉えられているのか

2月に上間陽子さんの「海をあげる」という本を読んだ。社会学者として、沖縄の女性の貧困につ…

愛されることを受け取ってもいい

はっきり言って、自分は「闇」とか「影」のある人間だと思う。できれば明るく平和に生きていた…

僕に魔法をかけてくれてありがとう

先日とあるエッセイを読み終えた。 岡田光世さんの『ニューヨークの魔法』シリーズ。 ニュー…

“こんなはずじゃなかった”自分に向き合う

「こんなはずじゃなかった」と思いながらも変われずに生きる主人公の姿に、自分たちはなんてそっくりなんだろうと思った。 カツセマサヒコさんが書く小説『明け方の若者たち』。Twitterで見かけた「私と飲んだ方が、楽しいかもよ?笑」という言葉が気になり本屋で手に取った。 恋愛(だけが描かれた)小説かと思っていたので、こんなにも自分の弱いところ、狡いところをグサグサ突いてくるとは思ってもみなかった。 周りの意識高い人たちをちょっと冷めた目で見て彼らとは違うと思いながら、どこかで