繊細さと流れていく感情
川上未映子さんはどうしてこんなにも「繊細さ」を代弁してくれるのだろうか。本を閉じた瞬間そんな思いが浮かんだ。
2年前にも読んだことのある『すべて真夜中の恋人たち』(川上未映子著)だが、久しぶりに読みたくなりこの1週間ゆっくりと読んだ。以前読んだときは儚い恋の物語として読んでいたが、今回は主人公・冬子の繊細な内面と社会(もしくは、周囲から向けられる目線)とのずれに視線が行った。
校閲として働いていた職場で、冬子は嫌というわけではないが居心地の悪さを感じ、「フリーにならないか