Clubhouseの本質的な特長と価値・可能性ってなんだろう、を自分なりにまとめてみる。

何かと話題のClubhouse。先週~今週と、オンラインメディアだけでなく地上波でもちらほら、取り上げられ始めてはいるものの「音声版ツイッター」「芸能人やセレブに大人気」「ラジオみたいなもの」といった紹介が中心で本質的な特徴や価値をとらえた紹介がまだ、ないように感じたので自分がこの1週間強、使ってみたり聴いたり考えてみたりしてみてのClubhouseの魅力と価値・可能性について自分なりにまとめてみた。

■ 本質的な特長:「会話を軸にした、真のソーシャル・ネットワーキング・サービス」(かもしれない)

結論から書くと、Clubhouseは決して「音声版ツイッター」(コミュニケーション手段が文字から音声になった)でも、「リアルタイムネットラジオ」(多くの芸能人が使っていて、レアな音声生番組が繰り広げられている)でもない、と思う。

本質的な特長を考えるにあたって注目すべきは「ルーム=部屋」の設計あり、具体的には

① オンラインとオフラインの境界を感じさせない。(かつ「近い」!)
② 可変性と流動性が高い
全員が実名・リアルな立場で参加している

ということ。それらを踏まえて・・・

一言で言い表すのはとても難しいのだけれど、Clubhouseは

「会話を軸にした、真のソーシャル・ネットワーキング・サービス」

なのではないかと、(大げさではなく)思う。

具体的に、ひとつひとつ。

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① オンラインとオフラインの境界を感じさせない。(かつ「近い」!)

これは、さんざん、あちこちで説明されているように

リモートなのに複数の会話に遅延がない。聴く側も、ストレスがない。
話し手の会話の音声を合成処理した上で聞き手に会話をまとめて配信、という、裏側で実は高度な処理を行なっているが、使う側にはそれを意識させない。

そのため、

話している側(スピーカー)も聴いている側(オーディエンス)も、全員がまるでリアルに同じ場所(ルーム=部屋)でおしゃべりに参加しているように感じる。

しかも、メールやコメント、チャット等のテキストと違って会話の場合、「その人の素」が伝わりやすいので「話し手同士」「話し手と聞き手」の距離感が圧倒的に「近い」「近くなる」。

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ルームの可変性と流動性が高い

Clubhouseの「ルーム」は、用途や状況に応じて、ルームを作った人の意図通りだったり、意図せずだったりで、2人だけの友人の部屋、で始めたものが、いつの間にかアカデミックな講堂にも、5,000人のイベントホールにもなり得る。また、会社の応接室にも、会議室にも、なるし、談話室・給湯室でもあり、よく言われているように喫茶店の一角・居酒屋・芸能人が集うVIPルームでもある。もちろんラジオ局の収録ブースのようでもある。

とにかく、部屋の振り幅が大きく、可変性と流動性がある。

その上で、これが何よりキモと思うのが、

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参加者は全員が実名・リアルな立場というのが前提である。

ということ。

匿名ではなく実名。たとえニックネームであっても、参加者は原則、全員がリアルな肩書き・立場で参加していて、つながる。2人で始めたものが突然数百人にもなるし、最大5,000人にもなってしまうような場において、匿名ではなくリアルな立場としてつながってしまう、というのはこれまでのSNSでは、あり得なかったことではないかと思う。

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※2/7時点。「ルーム」を中心にした場合。「クラブ」の活用が日本ではまだなので、クラブが動き出すとまた、変わってくるのかもしれない。

その上で、よく比較されるYouTubeやラジオ、ツイッターやインスタとの違いについて。

YouTubeやラジオ、ウェビナーとの違い


制作&配信コストが圧倒的に低い・手軽

映像コンテンツであれば1箇所に集まって収録をしたり、事前に素材のやりとりをしたり、映像編集したり、エンコード作業したり。ウェビナー(オンラインセミナー)であれば、資料や、見栄えよく映るための準備をしたり・・・の手間がかかるが、Clubhouseはそれらの準備や手間が一切不要で、端末としゃべりだけで、いつでもどこでも、移動中でも、複数人とのコンテンツや場を生み出して、発信できてしまう。

(話が苦手な人は話すことについて事前に準備が必要だとは思うけれど)

その場での出来事(ハプニング)やコラボレーションが生まれやすい

登壇者(スピーカー)と聴き手(オーディエンス)が可視化されていて、その場で話し手として登壇してもらったり、戻ってもらったりが自在にできるためその場での人と人とのやりとりでリアルタイムに起きる出来事が、コンテンツにもなってしまう。

しかも、そこに芸能人・著名人・アスリートや専門家等が突然登場してしまったり等のハプニング的な出来事やコラボレーションが起こりえてしまう。
聴衆については、「知り合い(フォロワー)」が前列に座っているように可視化されるので、登壇者を招きやすい。

聴く側も、参加の意思表明が簡単にできて、会話に参加ができる。(参加しなくてもよい)

ツイッターやインスタ 等との違いと、向いてる人

当然ながら違いは文字 / 写真か音声(しゃべり)。なので、向いている人は

しゃべりが得意・好き(双方向 / 一方通行)

出会い好き・ひととのつながり好き(双方向)

出会わせ好き・場づくり好き(裏方)※ 自分はここに魅力を感じる。
編集的・DJ的。組みあわせ・出会いの妙・かけあわせがある。ハプニング的・思いがけない出会い・1+1=3以上になる化学反応がある。

専門的、あるいは特殊な知識・経験がある人(双方向 / 一方通行)
研究者や専門家、アスリート等の、あらゆる分野のプロフェッショナルが、何かを発信・伝えたい場合に手軽で敷居が低い。しゃべりなので聴く側は話が頭に入ってきやすい。(ある意味、芸人、政治家などもその分野のプロフェッショナルではないかと思う)

■ 今後、想定される「ルーム」の活用法・種類

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番組型(ラジオ的、YouTube的)

プロでもアマチュアでも、話の内容や会話自体がコンテンツになって、内容が聴いていてためになる、あるいは楽しい・暇つぶしになるルーム。ハプニング的なスピーカーの増減やリスナーからの登壇はありつつも、基本的にはスピーカー側からリスナー側への「1対多」の発信がメイン。

仲間内トーク(雑談、楽屋トーク)であっても、最初から狙ってオープンなルームを開くのであれば、芸能人でも一般人でも「人が集まる集まらない」は結果でしかないので自分的にはこちらのイメージ。

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②  カンファレンス・セミナー・ティーチイン型

テーマを決めての登壇者のトークと、オーディエンスとのQ&A等をメインとしたルーム。参加者同士の距離が「近く」なりやすいので、オンラインセミナー、サロンや書籍・商材のPRの場として、あるいはビジネス上の商談やつながりをゴール・目的にしての活用はありそう。

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コーチング・カウンセリング型

分野の専門家1人がスピーカーで、希望者をひとりずつ登壇させて(スピーカーにして)の会話で課題や問題を解決するルーム。目的・ゴールは②と同じく、自身の書籍やオンライン・オフラインのサービスの「ファン」「利用者」を増やすための入口・きっかけづくり。

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クローズド部屋型(仲間内だけの雑談・トーク、ブレストの場、作業場として)

仲間以外の第3者は参加不可の、クローズド、あるいは直接の知り合いのみがフォロワーの場合の知り合いフォロワー限定ルーム。緊急事態宣言下で、飲み屋に集まれない・テレワークで出社できない、という今の状況だと、このニーズもありそう。

ZoomだとブレストしづらいのがClubhouseだと声の遅延がないので、意外と社内会議用途もありそう。あと、集中したい人同士であれば、クローズドでつなぎっぱなしにして黙々と仕事や勉強しつつ、必要に応じて会話、といった使い方もありうるのかも。(すでに、黙々作業ルームはいくつかある)

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上記の組み合わせ

番組型でもありセミナー型でもあり、だったり、クローズドだったものが突然テーマ生まれてカンファレンスチックに、などが劇的に起こりやすいのが、Clubhouseの特長であり最大の魅力。ただ、おわりが見えなくなってあっというまに5時間、6時間・・・となりがちなので、今後は目的とテーマと曜日・時間を「細かく分けて設定」して定期的に実施するものと、突発的・ゲリラ的なもの、に細分化していくような気がする。

■ Clubhouseの本質的な価値・魅力・可能性


スピーカー側)

話し手同士の距離がとにかく「近い」。はじめましてでも、話した後の距離感が、従来のSNSやメール・チャット等でのやりとり比べて圧倒的に近くなる。

テキストではなく、また、発信受信のタイムラグもない、「その場でのおしゃべり」なので、その人の「素の人柄」が伝わりやすい。

従来SNS上でのDMやコメント、メール・チャットは「手紙の代わり」に近いが、Clubhouseは電話・・・ではなく、「リアルに会っての打ち合わせ・おしゃべり・飲み会」に近いので、距離が近くなりやすい。

講演会やセミナーが開けない企業や個人などは、Clubhouseで定期的なルームを開いてファンになってもらった上で、自身のオンラインサロンやYouTubeチャンネル、書籍、商品に誘導、といった使い方ができる。(既にそういうルームがたくさんある?)

オーディエンス側)

話し手同士だけでなく、「話し手」(スピーカー)と「聴き手」(オーディエンス)の距離も「近い」。はじめて知った人でも、話を聴いた後の距離感が、従来のSNSと比べて圧倒的に近くなる。

話し手の「素の人柄」を感じながらの会話のやりとりを、同じ部屋(空間)の中にいて聴いているように錯覚するので、話し手に対しての親近感が湧きやすい。

上記を踏まえ、改めて。

やはり、大袈裟かもしれないけれど、Clubhouseは、個人的にはオンラインとオフラインの垣根がない、

「会話を軸にした、真のソーシャル・ネットワーキング・サービス」

になり得るのかもしれない?と思う。

匿名 / 実名、フォロー関係とタイムライン、ソーシャルグラフ / オープングラフ、・・・等々、この20年弱、進化してきたSNSが、「リアルな会話(おしゃべり)」をベースに、端末と通信と音声処理技術の発展によって、またひとつ、大きく進化したということなのかもしれない。

LINEやソシャゲ同様に「仲間内」「同じ趣味内」でつながりながら、ツイッター、YouTube同様のオープンさと、Facebook、LinkdIn同様の実名性・社会性を伴い、かつインスタ 、TikTockより手軽。

やっぱり、どう考えても「芸能人SNS」とか「音声版ツイッター」とか「リアルタイムネットラジオ」といった一言で言い表される・片づけられるサービスではないように、思う。

■ リスク

よいことばかり、ではなく。当然、現時点で、リスクも非常に大きいサービスだと思う。「オンラインとオフラインの境界を感じさせず」「近くなりすぎる」ので、リアルな世界での、人間同士のトラブル・事件が起こり得る。(詐欺、騙し等)

招待履歴、モデレーターのミュート権限、退出権限、「通報」機能等、トラブルを抑制・防止するための設計・仕組みが絶妙なこともClubhouseの特長なのだが、日本語対応していないことでの利用規約・ルール・使い方の浸透が遅れているのが、現時点でのClubhouseの大きな問題・リスクなのかもしれない。

■ おわりに

自分はあまり「おしゃべり」が好きな・得意なタイプではないので、ルーム立ち上げもモデレーターも、数回しかやっていないし、それほど使い倒しているわけではない。それでも、上にも書いたとおり「出会わせ好き・場づくり好き(裏方)」としては魅力と可能性を感じており、決して「しゃべりが好きな人」だけのサービスではないように思う。

また、組みあわせ・出会いの妙・かけあわせで生まれる、ハプニング的・思いがけない出会いや、1+1=3以上になる化学反応で生み出されるものの価値や驚きはかつて「雑誌の編集」の現場で日々、実感していたことだったけれどClubhouseのルームでは、「モデレーター(≒編集者)次第」でたくさんの化学反応が生まれていて、すごく「編集的」だなと感じたりもする。

「本質的な」とは書いたものの、これらは決して、サービス提供側が意図しているものでもないのかもしれない、ということも、いまの段階だからこその面白さなのだろう。

ツイッターが、140文字で伝えられる情報量についての英語と日本語の違いだったりユーザーの使われ方に応じて進化してきたように、テック系アーリーアダプター層だけでなく、芸能人・著名人 + ビジネスマンを巻き込んで広がるという日本独自の使われ方が、「Drop-in(ふらっと立ち寄る)」「クラブ(集まり)」の今後の可能性や方向性にも大きく影響を与えたりするのかもしれない。


後記
「note」。始めてみたいと思いながらなかなか、プライベートで書きたいテーマは見つからなくて、だったのがちょうどよく、これからのサービスでかつ、自分も興味関心があるテーマが見つかったので時々、書いてみる。

※ note上での文章は仕事上ではなく「個人の意見・考え」です。

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