5、会計士は株式投資で儲けられる?

(完全に監査経験だけでの妄想記事です。)

「公認会計士なら、公表されている財務諸表を見れば、今後株価がどうなるか、分かるの?」

たまに聞かれたりしますが、もちろん分かりません。

ただ、なんとなく自分ならこういうの買うかなーというのを書いていきます。


1、短期・中期での投資を自分がするなら

私が短~中期で株式投資をするなら、まず前提として、デカすぎる企業の株は選びません。この理由は、以下です。

ⅰでかすぎる企業は業績に与える要因が複雑かつ多岐にわたりすぎ 

ⅱ でかすぎる企業だと、ちょっと業績が変動しても、(保有する一部資産や有価証券を売却等で)ある程度利益は操作出来ちゃう

ですので、短期・中期で稼ごうと思ったなら、小~中規模の上場企業のうち、以下の会社を選ぶと思います。


①  商流が少なく、売上高は安定しており、業績影響への要因となる指標が適度に取りにくく、その指標と業績との関係が適度に見えにくい(自分はなんとなく予測出来る場合)企業

例えば、あるメーカーのテレビに使うパネルを海外メーカーから仕入れている場合、パネル価格が下がれば粗利は改善する→株価は上がる、といった具合です。

この場合、ⅰこのメーカーのテレビは海外メーカーのパネルを使っていることを知っている必要があり、ⅱパネル価格の直近の動向を適時に拾え、かつ、一般人にはたどり着くのが難しい英語サイト等を知っている必要がある、ということです。

(もちろんテレビはいずれも簡単に分かっちゃうのですぐ株価に反映されますし、売上高も不安定な業界なので、僕なら短期目線では買いません。)


② 連結売上高はある程度安定しているものの、子会社で多額の減損損失を計上している企業

これは、会計基準からの帰結なのですが

固定資産の減損をする場合、ⅰ兆候→ⅱ認識→ⅲ測定→ⅳ配分というステップを踏むのですが、簡単に言うと、ⅰ価値落ちてるかも→ⅱ落ちてる→ⅲいくら落ちてる→ⅳいくらに落とすとなります。

つまり、普段は、実際に落ちていても、落ちてるかも!とならなければ減損損失は計上されません。

ですので、落ちてるかも!となった場合、最悪のケースとしては、

ⅰ これまで色んな資産で隠してきた含み損は一括で減損損失として計上しなければなりません。

ⅱ その結果、子会社で赤字になれば、税効果会計のタイプ分類を変更し、繰延税金資産を取り崩す必要が出てきます。

ⅲ さらに、この減損を子会社で計上したとすると、親会社が持っている子会社株式も評価損を計上する必要が出てきます。

ⅳ 連結上、のれんを減損する必要が出てきます。

ⅴ 今思いつかないですが、他にあるかもしれません。

つまり、会計上、減損する時はあらゆる損失を一気に計上しなきゃいけない仕組みになっちゃっています。


逆に言うと、ある期に上記のように一気に減損すると、翌期からは少なくとも以下、利益方向に数字は動きます。

ⅰ 減価償却費負担が減る

ⅱ のれん償却費負担が減る

したがって、売上高は安定しているものの、そこそこデカい子会社で兆候が識別された結果、連結損益計算書上で多額の子会社株式評価損・のれん減損損失を計上し、株価が下がりきったところで買うかと思います。


2、やっぱり長期が大事

自分ならこれを買うかなというのを書きましたが、トレーダーでもなければ、なんだかんだ株価って政府の金融・経済政策の方がはるかにインパクトがあるので、自分ならそういうのを見て長期投資するかな、と思います。

ちなみに、最近は国会議員の中でも金融緩和だけじゃデフレ脱却出来ないとなっており、MMTだったりと積極財政の政治家先生が増えているように思います。(実に正しいことだと思いますが)

加えて、最近災害が多いので、公共投資をさらに増やすだろうと考えると・・・


以上です。


余談1、会計士は株式投資する?

株式を保有すると、社内の手続がかなり面倒なので、ほとんどの会計士は株式投資はしていません。ちなみに、FXをやっている人はちらほらいますが、大負けしている人は知っていますが、大勝ちしている人は見たことありません。

かく言う私も投資は一切やっていません。

余談2、決算発表前から株価は動く

毎四半期、監査で会社さんの数字を見てみると、確かに「今回は調子良いなー」と思うこともあります。

そういう時、「短信出たら株価は上がるだろうなー」と思っていたら、発表されてもほとんど動かないことが多いです。

そこでチャートを見てみると、短信の発表までの間に「なぜか」株価は上がっているということは全然あります。

この理由は私には分かりません。トレーダーが凄腕なのか、軽いインサイダー情報が出回るのか・・・


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