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『世界のサラダ図鑑』に登場してくる日本では手に入りにくい食材 第20回 野菜 その20 バナナステム

バナナステム

使用されているサラダ
Baledindina Kosambari, インド

バナナステムってどんな食材?

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 バナナは食材としてとても有用な植物の筆頭ではないでしょうか。果実は世界で最も人気のある果物のひとつだし、前回で紹介したように花も食用として使われます。葉を食べることはないですが、食器にしたり食べ物を包んで蒸したり、焼いたりなど様々な料理に登場してきます。
 ここで紹介するのはステム(茎)の部分です。食用にされるバナナステムは葉や花、実を支える太い部分で、トランクtrunk、ストークstalk、ピスpithなどと呼ばれることもあります。ステムといわれるように茎のように見えますが、実際は茎ではなく葉が何層になって鞘(さや)状になったもので偽茎と呼ばれています。バナナには茎がないのです。地上に出ている部分は花、実以外は葉っぱということになるわけです。

どうやって食べるの?

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 東南アジアにしても南アジアにしても、バナナを栽培しているところ、バナナが生えているところではこのステムを食材として利用します。生のままサラダに使うだけでなく、スープやカレーの材料としても使用します。生のステムを水といっしょにミキサーにかけたあと、茶漉しなどで漉してジュースとして飲むこともあります。バナナステムは腎臓結石に効果的だといわれています。
 バナナステムはバナナの花と同様空気に触れるとすぐに変色するので、本の中で紹介されているインドのサラダではバターミルクに浸けて変色を防いでいます。花と同じようにレモンやライムを使ってももちろんかまいません。
 ステムの外側の硬い部分は硬いのではがします。ステムは層になっているので切り込みを入れるだけで簡単にむくことができます。繊維が多いので輪切りにしたら繊維を取り除く必要があります。

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味は?食感は?

 繊維が多いですがシャキとした食感を持つバナナステムの味はマイルドで甘みがあり、以前に紹介したヒカマに少し似ているところがあります。酸味やわずかな苦みがあるので、甘味が少ないリンゴの味に似ているといえるかもしれません。サラダに最適なとても爽やかな風味の食材といえます。

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代替品は?

 バナナステムは日本ではまず手に入らない食材の筆頭でしょう。代替品となる適当な食材も見つけにくいです。数回前に紹介したハーツ‣オブ‣パームが近いですが、これも日本では手に入りません。ヒカマもしかりです。
 さんざん考えて頭に浮かんだのは蓮根です。蓮根のほうが硬いですがバナナステムに似たような食感があります。味もそっくりとはいえないですが近いですね。本の中で紹介しているインドのサラダでは細かく刻んで使うので、まだシャキシャキ感が残っている程度に蓮根を茹でると食感も随分近いものになるような気がします。

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