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只管朗読が言語能力を磨く

「只管朗読」という言葉をご存知だろうか。
文字通り、只管(ひたすら)朗読(声に出して読む)ことだ。
小学校のときに、授業中も、家に帰ってからの宿題としても、国語の教科書の同じ文章を何回も読まされた記憶が蘇る人もいるかもしれない。

特別な能力も要らないので、一見子供向けの学習法にも思えるが、大人になってから、やってみても、効果は絶大であると思う。

個人的に、英語学習で行き詰まったときに、たまたま國弘正雄氏の「只管朗読」というものを知り、とりあえずやってみようと思い取り組んでみたところ、期待以上の効果を比較的短時間で実感し、感動を覚えた。
また、子供に何度も同じ絵本を読み聞かせるうちに、同じ感覚があったため、その体験を共有したい。

英語の例。英語の文章(1〜2分程度で終わる長さ)を、1日に約5周×7日ほどやってみた。最初は、何度もつっかえたり、間違えたりするが、半分もすると、「口が思い通りに動く」感覚が出てくる。この感覚は心地よく、楽しくなってくる。
もともと滑舌は良い方ではないため、スラスラと言いたいことを発音できる感覚は余計に楽しく感じたのかもしれない。
また、この朗読の成果は英語を使う場面でも発揮された。只管朗読に取り組んでいる間は、滑舌も良いし、言いたい言葉がポンポンと出てきた。

日本語の例。子供が小さいうちは「だるまさんの」など、1ページに5~10文字程度の文字量の少ない絵本だったが、大きくなってきたため、少し文字量の多い「やなせたかしのあんぱんまん 1973」を購入し、毎晩2~3回ずつ読んでいる。(余談だがあんぱんまんには不思議な魅力があり、子供がなぜか何回も読みたがる。)こちらは1ページあたり約100字程度で15ページほどあり、前者に比べれば文字量は一気に増える。
これを毎晩2回、3回読むことをせがまれ、それがすでに1ヶ月以上続いているため、70回以上は朗読している計算になる。
最初は、つっかえたり、言い間違えたりしたが、一定の回数を超えた時点で、スラスラと言葉が出てきて、まず間違えない。つっかえもどもりも無く、音読が心地よく感じる境地に達する。
そこで、この感覚が英語の只管朗読の感覚と同じであることに気づき、知らずのうちに絵本の読み聞かせが自分の言語能力の向上にもつながっているかもしれないというひらめきを得た。

たかが朗読、されど朗読。大変シンプルで、華やかさはないが、良質な文章を暗記できるほどインプットした人は、きっとその言語の能力を磨くであろう。

なお、日本人初のノーベル賞でおなじみの湯川秀樹氏を始め、日本を作ってきた偉人たちは、子供ときに漢文の素読(意味もわからず、ひたすら音読すること)をしている人が多い印象。この場合は意味もわからずにひたすら音読しているが、少なからずその人の学力・言語能力に影響する部分は多いのではないかと思っている。

まとめ
英語など、言語学習のレベルをもっと深めたい!という人には、この只管朗読をおすすめする。ぜひ、一度騙されたと思って1週間でも続けていただきたい。

継続のポイント
飽きたり疲れたりしてくると、字面だけを追ってしまい、意味が頭に入ってこないが、なるべく集中力を保つ努力をし、意味を掴みながら読むことが効果は大きい。どうしても集中が続かないなら、無理せず終わりにする。大事なことは1回にどれだけやるかではなく継続であり、「やろうとしているのにできない」というネガティブな感覚は、モチベーションを削ぐ要因となってしまう。

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