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【ネタバレあり ライブ感想文】リーガルリリー「10th Anniversary TOUR 2024 “わたしたち、はだしたち”」@cube garden 2024.9.7(土)


 こんにちは。シリアスファイターです。




 今回はリーガルリリー、結成10周年を記念したライブツアー、札幌公演のライブ感想文です。




 現在進行形で敢行中のツアーですが、以下の文章ではMCや演出だけでなく、演奏曲にも満遍なく触れていますので、これから参加される方は以下、閲覧注意でお願いいたします。




 それでは。


 昨年に引き続き、今年も新曲を出すたび、私の心の大事な部分にスマッシュヒットを続けているリーガルリリーですが、今年3月に長年活動を共にしていたドラムのゆきやまさんが脱退。


 既にツアーも発表されていた中、突然のタイミングだったこともあり流石に動揺したものの、パワフルドラマーUraraさんのサポートの元、精力的に活動を続けるバンドはとうとう結成10周年。


 あくまで楽しそうに「リーガルリリー」というバンドを全うし続ける3人の姿勢と音しか感じられなかった、春先にYouTubeで配信されたミニライブを見た私。
 このツアー発表前に、既に同日程で取っていたライブチケットがあったのですが…、フェスで見る機会もなさそうな今、やはりライブを見たい…!


 取っていたチケットは定価のリセールでお譲りし、9月7日、向かうはcube garden。
 10周年のお祝いと共に、はだしで無邪気に駆け続ける3人の現在地を確かめに今日もライブハウスへ。



 ほぼ定刻と同時に会場内のBGMがグッと音量を上げると、拍手とともに暗転する会場。





 微かに青い柱のような照明が降りる薄暗いステージに、まるで深海の中にいるかのような音色のSEが流れ始めます。




 弦のようにも鍵盤のようにも聞こえる音色に、打ち込みのビートが重なり始めたところで3人が淡々とオンステージしても、薄暗いステージの様子は変わることなく、3人の姿をハッキリととらえることはできません。





 準備を整え、せーので3人の音が一斉に鳴らされると、逆光に浮かび上がる3人の姿と轟音の景色。




 1曲目は、約1年前に札幌で見たワンマンライブ同様、「若者たち」




 真っ直ぐ前を見据えたまま、伸びやかに声を飛ばすほのかさん(Vo.&Gt.)を筆頭に、1つ1つの音の感触を確かめていく様は1年前と変わりませんが、この「変わらなさ」に驚き。




 何と言ってもドラムはこの日初めてライブを見るデザレさん。
 プレイの様子自体はシャープでスタイリッシュですが、打音はこのバンドの轟音を確かに支える力強さを持っていて、バンドサウンドとの親和性の高さたるや…!





 別に心配や不安があったわけではないものの、これは想像以上にリーガルリリーすぎて、今日は私の想像をさらに超えたリーガルリリーが見られるのではないか…!?





 ワクワクし始めたところで、その想像力が現実となる「17」に突入すると…ほらほら!!


柔軟になってしまって流され
どこにもいない私

17




 だったにも関わらず、そうやってひとりぼっちでふわふわと、でも確実に浮かれて宙を舞ってしまった私の心を引っ掻き回し続けるロックンロールと、この日も確かに「こんにちは」!!



 少しずつはにかむ様子も見え始めた3人から鳴らされる音は至極軽快!!
 その軽やかさは続く「ハイキ」でのアルペジオにも脈々と受け継がれ、海さん(Ba.)もデザレさんもイントロからとても楽しそうに音を重ね合わせながら笑っています、なんと晴れやかな…!


 至って真剣なほのかさんも、アウトロで再び軽快なアルペジオを乗りこなす頃には満面の笑み…!
 今日はこのロックンロールを手放すわけにはいかないし、遊び尽くしたいな!!




 そんな想いを助長するように、続けざまに力強いビートを刻み始めるデザレさんのタムとバスドラ。




ほのかさん
「こんばんは!リーガルリリーです!
 今日はよろしくお願いします!
 わたしたち!はだしたち!」




 力強い先生に歓声が上がったところで、海さんのベースラインが合流。
 続けてほのかさんが豪快にギターを鳴らし始め、ステージ前面に出て満面の笑みでギターを高々と掲げます…!




 そうしたセッションが行き着く先は、ほのかさんのタイトルコールから闇に撃ち放つ照明弾の如き「東京」…!

 ライブでこの曲がセッションから始まるのはもはや定番化している印象ですが、ここまで晴れやかな気分で迎えるのは私としては初めてで、それだけ溌剌とした音が生き生きと鳴り響いていたこの瞬間。
 いつになく私の心に撃ち放たれる音の照明弾…!




 少しの沈黙から、照らされた心の輝きを讃えながら、ほのかさんのザラついたギターの音像が鳴り響く「GOLD TRAIN」が静かに走り始めます。


 ギターストロークをキメるたび、何度も手を高く掲げるほのかさんに呼応して、腕を上に掲げる人も増えてきた客席フロアですが、もちろんそこに同調圧力は皆無。




 わたしたち一人一人が、ライブハウスで繰り広げられるこの音を、光景を、それぞれの窓辺から見て、感じて、応えていくような夜行列車の旅は続いていきます。




 少しファンタジックな「ぶらんこ」

 前奏を終え、ほのかさんにスポットライトが当たる中、ギターのアルペジオとほのかさんの歌声だけが木霊する時間はほんの少しの緊張感がありながらも、その優しい音像にどこかほっとしてしまう不思議な時間です。




 カタルシス広がるアウトロでは、最終的にほのかさんによるギターの音色だけが残ります。 
 ギターの音色を紡ぎながら、「山、森、海、人…」など、自然の景色から身の回りの街に広がる景色を言葉にしていくほのかさん。




 その景色は最終的にライブハウスに辿り着きます。



ほのかさん
「ライブハウス。
 階段を登っていく。
 扉を開ける。
 音が聞こえる。
 自由に入ってきて。」



 こんなニュアンスだったと思いますが、どこかファンタジーのようだった「ぶらんこ」の世界から、再び目の前の現実にシームレスに視点を移し変えてくれるような言葉選びと音。
 その音や言葉に宿る優しさはずっと変わらないからこそ、こちらも改めて安心してこの音に身を委ねることができます。




 アウトロが終わっても拍手は起きず、そんな安心感にホッとしていたところで、鋭くギターを弾き(はじき)始めるほのかさん…!




 激しく明滅する照明の下、イントロでバチバチと音が火花を散らしあう「スターノイズ」…ライブで聞くのは本当に久々…!





 先ほどの優しさからのこの激しさのギャップに少しギョッとしてしまいましたが、Aメロに入ってからの密やかさも、サビで景色を広げる音像も含めて、気付けばどんな音も楽しみながらほうき星を探している私。




 ただ楽しいだけのワクワクではないような胸の高まりを抑えきれない中、ほのかさんによるギターの弾き語りから始まった「ムーンライトリバース」で、このライブ一番のシリアスな雰囲気に。



 その雰囲気は何よりもほのかさんの歌力に寄るもの。
 どんなフレーズもポーカーフェイスで歌っていたほのかさんが、この曲のサビでは眉間にギュッと皺を寄せて、1フレーズ1フレーズ心を絞り出すように歌を紡ぎます。




 笑えないほど溢れる「好き」を、たとえ叶わずとも素直に吐き出す歌と演奏は、こんなにかっこいいのにとっても胸が苦しくなります。




 原曲はギターの音色で幕を閉じますが、この日は静かに低音を響かせるドラムとベースが余韻を引きずり、最後はベース音とともに静かに照明がフェードアウトしていきます。




 ニューアルバムの曲順どおり、引き続きシリアスな「海月星」へ。
 「絶望」という言葉に宿る険しさは変わらずとも、そこに宿る確かな光をつかまえようとするような軽快なリズムに、心だけでなく身体も自然と動きたくなります。




 突然ニューアルバムモードになり、アルバムの曲順どおりにライブが進行したとなれば、次の曲をとうとう生のライブで聞ける瞬間が訪れるのではないかという、私の期待は抑えきれていませんでした…!




 少しの沈黙からほのかさんに当たるスポットライト。
 その期待にたくさんの煌めきを携えて打ち鳴らされれるほのかさんのギターストロークに続き、デザレさんの軽快なスティックカウント…とうとうライブで聞けた「60W」!!!




 原曲以上に生き急ぐようにテンポを上げ、人力でどこまでも生きて、どこまでもありのままに輝こうとするロックバンドのあり様も
、あまりにも武骨すぎる間奏のカオスも、都会のネオンに比べたら大したものではないかもしれずとも、確かに私の中で光って…光って…光って…!!!




 私の中の音楽好きとしての、ロックンロール好きとしての確信めいた何かが、蛍のように確かに灯る様を握りしめるような時間に感激が止まりません…!!!




 その余韻を引きずるように鳴らされ続けるデザレさんのドラムと海さんのベースは、少し不穏な表情すら感じられる様子。
 でもそのうち合流するほのかさんのギターと微かな口笛は、どれだけ不安な夜にも寄り添ってくれるような、やはり優しさを感じさせるもの。



 曲は「bedtime story」



 夜明けが訪れるよ。

bedtime story





 寂しくても確かに光る夜を抜けて、確かに差し込む朝日を迎える前に、この夜を越えてきた私の気持ちにそっと寄り添って、それすらも私の一部であることをそっと見守ってくれるように私の中で広がる、ほのかさんのポエトリーリーディングやサビのメロディはこの日のハイライト。




 たとえ頭が忘れても、いつまでも心が忘れない音色ってこういうものだよな、と心が直感するような音。
 いつまでも浸っていたかった。





海さん
「ありがとうございま〜す!
 北海道、1年振りに来れました〜!
 北海道は着いた瞬間から空気が違って…あっ!そうそう(ほのかさんが)「この空気無料(タダな)の!?」って言ってて笑
 そんな北海道の美味しい空気をたくさん吸った音楽を届けるので、最後までよろしくお願いします!」




 だいぶシリアスな心持ちになっていたところで、こちらに両手をフリフリしながら楽しそうに話す海さんのMCに癒されます…心の小休止。




ほのかさん
「今年でバンドを結成して10年になるんですけど、17歳の時にひとりに向けて、たくさんいる中のひとりに向けて書いた曲を歌います。」




 後半戦は「ジョニー」からスタート。



 「ばかばっかのせんじょう」という言葉は、日頃の生活だけでなく、流れてくるニュースや出来事も含めてより色んな意味で響くようになりましたが、誰かとでも、1人でも、「この音楽いいな!」という想いを共有できた上で、私は私でしかないと思える感覚を、胸を張って鳴らし続けるリーガルリリーはやっぱり最高で、それは初めてライブを見た時から、今現在のこのライブに至るまで全く変わることはありません…!




 そうして今日もまたバンドの音楽が生まれ直すように鳴らされ始めるのは「1997」で、真っ赤な照明が海さんに集中する中、鳴らされるイントロのベースラインに大歓声…!




 間奏では何度か視界からフェードアウトするくらいにはステージ上をぴょんぴょんと飛び跳ねながらベースプレイに興じる海さん…!





 この「片道切符」を絶対に離さない覚悟を持った骨太な音は変わらずとも、それでも今日は「楽しくて」仕方なく、デザレさんのビートが持つダンサブルさがそれを後押ししているのは言うまでもなく身体が感じていました…!





 少しの沈黙からふわあっとフェードインするようなギターノイズ…始まるのは「天きりん」…!


 切実に広がる、暗いけど星空が確かに輝くようなサビと、地に足がついたほのかさんのサビのシャウトが心いっぱいに広がる感覚は未知の興奮で、新たなライブアンセムとして今後さらに首を長ーーーーく伸ばして化ける予感…!




 そこから、ぼわぁっと暖炉に火を灯すようなほのかさんのストロークから始まるのは待望の「キラキラの灰」ですが、原曲以上に手数が増えて、裏打ちのリズムが強調されたデザレさんのビートが最高に気持ちいい!!



 原曲で感じた、大事な音楽の玉手箱から光が漏れ出すような感覚を大切にしつつ、ライブ現場ならではの身体が疼くようなキラキラをもたらしてくれます…!
 デザレさんとのセッションだからこその「キラキラの灰」が、私のワクワクの根源にしんしんと降り積もります。




ほのかさん
「今日はありがとうございました!
 もうちょっとだけやります。」





 そのまま軽快なビートを携えた「地球でつかまえて」でも、そのダンサブルな印象は変わらず。

 シリアスな雰囲気になる瞬間は当然あったこの日のライブですが、ここまで心も身体も「楽しい」感覚に満ちたリーガルリリーのライブは初めてで、改めてデザレさんのドラムパワーの一端を思い知ることとなりました。




ほのかさん
「願いを込めて!!」




 力強い一言から、弾き語り始めた最後の曲は「ますように」





 原曲同様、様々な楽器の音が同期で鳴らされる中、そんな華やかな音数に負けないほど、力強くその声を張り上げるほのかさん…!
 ゆえに、原曲以上に力強い足取りを刻んでいくバンドサウンド。



スピードよ 
耐え切れない僕を運んでいってくれ

ますように





 その真剣な表情に、歌に、音に込められた願いを受け取りながら、これからの自分の人生だけでなく、リーガルリリーの行き先にも、数えきれないほどの「ますように」に込めずにはいられませんでした。





 アンコールではまず海さんから改めてデザレさんの紹介。





 それを経てふと、ほのかさんから、「ライブに行き慣れてないって人いますか?」という問いかけがあり、どうやら私より後方でちらほらと手が上がっている様子です。





海さん
「北海道なんて滅多に来れないし、下手したら好きなバンドなんて年に一回見れれば良い方なんじゃないですか!?
 なのでライジングサンに呼んでください! 
 ここにいる人をライジングサンに連れていきたいです!」




 WESSさん…本当に…切に…切に願います!!!(深夜のdef garage辺りでいかがでしょうか?)




ほのかさん
「ありがとうございます。
 私は、音楽をBGMだととらえていて、皆さんの人生の中で、リーガルリリーの音楽が鳴っていてくれていればとても嬉しいです。
 その中で、今日はわざわざチケットを買ってライブに来てくれているので、皆さんと音楽をつくっているという気持ちがあります。
 例えば手拍子でも、一人一人が出す音とかで、全く違う音楽が生まれたりして。
 私は話し出すと長くなるので笑、今日はこのまま音楽で、また明日に繋げていきます。」




 こうして鳴らされ始める「トランジスタラジオ」で、音楽が、ロックンロールが鳴らされることに対するポジティブな空気が、ライブハウス中に充満…!


 あっけらかんとして無責任な感じではないものの、「この音楽いいよね!」とこの場にいる誰もがうんうんと頷けてしまうほどには、過去一番「陽」な雰囲気に包まれているライブ…!




 そのままデザレさんの力強いドラミングから、真っ赤な照明が照らし出す中始まるセッションで、多くの人は次の曲を察する中、「東京」同様満面の笑みでギターを高々と掲げ、ステージ前面にアピールするほのかさん…!




 10周年ツアーでまさかこの曲をやらないとは思っていませんでしたが、いざほのかさんがイントロのリフを奏でた瞬間、拍手と歓声が方々から飛び交うのはやはり「リッケンバッカー」!!

ニセモノのロックンロールさ
ぼくだけのロックンロールさ

リッケンバッカー




 ほのかさんのギターとシャウト、海さんの粘っこいベース、デザレさんのドラム。
 誰に何と言われようと確実に残っていく、私の中だけのロックンロールの実感。




 演奏を終え、何も言わず帰っていく3人の背中を見届けながら、歌い、響き、泣きながらも鳴き続ける音の残像は、決して消えることはありません。





 デザレさんのシャープで強い、ダンサブルなドラムを迎えて鳴らされる10年間をギュッと詰め込んだロックンロールは、過去一番のワクワクと、ひとりひとりのわたしたちを照らすキラキラに溢れていました…!






 確かな孤独と確かな音楽と歌を抱いて、また確かな明日へ一歩を踏み出します。

セットリスト
1.若者たち
2.17
3.ハイキ
4.東京
5.GOLD TRAIN
6.ぶらんこ
7.スターノイズ
8.ムーンライトリバース
9.海月星
10.60W
11.bedtime story
12.ジョニー
13.1997
14.天きりん
15.キラキラの灰
16.地球でつかまえて
17.ますように

アンコール
1.トランジスタラジオ
2.リッケンバッカー


 今回は以上です。



 最後まで読んでいただいたそこのあなた、本当にありがとうございました。

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