#D2021 Dialogue Vol3 水は誰のものかを視聴して

水は一番注目されていない環境問題らしい。これだけ身近で必要不可欠なものなのに。

世界の7億8,500万人は依然として基本的な飲料水サービスを受けられていない(2017年)

5人に2人は自宅に石鹸と水を備えた基本的な洗面設備を持っていない(2017)

2030年までに7億人が深刻な水不足により、住む場所を奪われる恐れがある。

1500万人が水道料金を払えずに、水を断たれている。

汚染された水衛生設備の欠如により、下痢やマラリアなどの疾患から、毎年220万人が亡くなっている。そのほとんどは発展途上国の子どもたち。一日に6000人以上が命を落としている。

カリフォルニアやオーストラリアは水を汲み上げきってしまった


以上のような水のデータがある。

私達は飲料以外にも、衣食住で大量の水を使う。そしてこの潤沢に水があるはずのここ日本は水を輸入している。水はタグが付いているわけではないから、目に見えない。これをバーチャル・ウオーターと言うらしい。

そんな水、日本の水道が2018年12月の水道法改正案の可決で

民営化

されるかもしれないのだ。民営化というと民主化みたいで、良いイメージを持つかもしれない。国鉄だって、電電公社だって、日本専売公社だって、民営化されてきたし。しかし水は人間全員、いや、生き物全てに必要不可欠のものであって、命に関わるものだ。もちろん民営化によるメリットもあるがデメリットもある。命に関わることだからそのデメリットを極力減らすべきだから、関心を持ち改善してもらうべく、そこの部分について対話が行われた。

それでは民営化のデメリットはなにか。まず上記の民営化したものは、一企業が独占するという形になっている。水道もそうなるだろう。実際に宮城県では22年4月からの民営化へ向けての公募が始まった。その運営方法が「コンセッション方式」という、所有権は自治体が持ち、運営権を民間に丸投げする形で運営される。

民間企業が営利目的に水道を扱うと、どうしても資本主義の構造の中で行われることになる。その構造の顕著な特徴として「希少性の生産」がある。まず企業で事業を囲い込んで、消費者に欠乏感を持たせ、希少化する可能性がある。日本にこんなに潤沢にある水をだ。それによる情報の入手も公営より狭まる可能性もある。そして経営が思わしくなければ、コストカットが行われる。労働者の非正規化、インフラのメンテナンスの劣化等に反映されるだろう。

それではなぜ民営化するのか。水道のインフラの老朽化による修繕コストが、自治体で賄えなくなったことや、日本の技術が衰退化したことにより、もはや日本が海外に売れるのは、自然資本しかなくなってきてしまったことだろう。

フランスのパリでは1985年に民営化され、そこから値上がりした、一時は178%も値上がりしてしまった。そうなると生活の苦しい人間は水を得られなくなってしまう。なので結局2010年に公営に戻った経緯がある。

そんな水道法改正案だが、改正を知らないのは63.1% 内容を知らないのは28.6%とおよそ八割の日本人が知らない。このままではフランスの二の舞になってしまうかもしれない。そうならないためにも水をみんなのものにしていかなければならない。そのためには今までこのDialogueで学んできた、ゴミ、衣料、食事と同じく、各自が「自分事」に捉え、考え、伝えていくことだ。

ここで僕が初めて聞いた言葉がある。

「ミュニシパリズム」(地方自治体主義)だ。選挙による間接民主主義だけを政治参加とみなさずに、地域に根づいた自治的に合意形成を目指す、地域主権的な立場を指す。これはまさしくマイケル・サンデルのいう「コミュニタリアニズム」だろう。今までのテーマをこのような形で取り扱えることが理想だろう。


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