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指輪【ショートショート】六〇〇字

早大エクステンション「エッセイ教室」春講座。七回目(全八回)の課題は、ショートショート。ただし、先週予告されたことなので、テーマやお題は未定。ですが、お題は自由題になると読んで、過日、『指輪』というタイトルで書いた作を、プロットを変えて投稿します。なお、前回いただいたコメントの「手紙」がヒントになっています。星の汀さん、盗作してしまいました・・・・すんません・・・💦 (笑

なお、文字数六〇〇字となっていますが、タイトルと氏名の行(40字)があるので、正確には五六〇字ショートショートです。

                ※
 四十代後半で、東京で会社を興し飛ぶ鳥落とす勢いの頃。Mから突然、三十年ぶりの手紙が届いた。
 旭川の北の“愛別”という町にいた、小三の時。二つ下のMと、よくママゴト遊びをしていた。弟と同い年で、お隣さん。母親同士が、仲良しで、家族ぐるみの付き合いをするほど。ママゴトでは、なぜか私がご主人様で、弟が息子。完全に、夫婦気取り。そんなある日。Mが、シロツメクサで作った指輪を私に渡し、「私の指に着けて。お嫁さんにしてほしいの」と言ったことがあった。その地を離れた後も、母親同士は連絡があり、母娘で遊びに来てくれた。札幌で浪人している時も、その地にいたMの母親に、家庭教師を頼まれたことも。
 東京の大学に入学後。母の急死で、葬式に来てくれたMのお母さんが、言った。「卒業したら、北海道に戻って、Mと結婚して欲しいの。お母さんからも、頼まれていたのよ」と。しかしその頃、結婚を意識していた女性がいたので、丁重にお断りしたのだった。
 シロツメクサの挿絵が入った便箋には、私のいまの成功、独り身なことも、知っている内容が。そして、「あの指輪のこと、憶えていただいておりますでしょうか。ですが、母にお断りのお返事。一旦は諦めました。しかし、返す返すも口惜しゅうございます…」と。
 シロツメクサの花言葉は、「私を想ってください」「約束」、そして、「復讐」であると、後に知ることになる。

(おまけ)

前回のエッセイ『旅立ち』に、「千本松由季/小説家/YouTuber」さんからコメントをいただきました。千本松さんは、現在カナダ在住。日本の身障者に対する対応の後進性と同時に、障がいをお持ちの方にももっともっと強くなって欲しい、主張して欲しいと述べられ、この動画を教えてくれました。

見守る事の大切さ。
山田太一:脚本 テレビドラマ『男たちの旅路』車輪の一歩より


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