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TOEIC900あっても英語が話せない? <オーストラリア修行編 2>

これは連載の第二話となります。第一話はこちらから無料で読めます。

「道を尋ねる」というミッション

ブリスベンに到着し、そこからサーファーズパラダイスを目指します。

しかしどうやって行ったらいいのか。とにかく何も調べてきてませんからね。ここで初めて現地のオーストラリア人に、どう行ったらいいのかと質問することに。

出発前は「人に聞きながら」などと気楽に考えていましたが、いざ実際に話しかけようと思うと、足がすくんでなかなか声をかけられません。

なんと言っても勉強を始めてからずっと相手はCDで、これが初めて本物の英語ネイティブと話す機会でしたから。

耳に入ってくるネイティブ同士の生の会話は、これまでTOEICで聞いていたものとは比較にならないぐらい速くて、それがより一層緊張感を高めました。

WWEオールスターズ

なるべく人柄がよさそうな人に聞こうと思いましたが、オーストラリア人はみんな、何を食ったらそんなでかくなるんだっていうぐらいガタイがよく、

ぶっとい腕にはタトゥー刻まれており、誰も彼もが悪役レスラーにしか見えない。 

怒らせたら一撃でやられるな。。。道聞くだけだけど 

居並ぶレスラーの中からちょっとカーネル・サンダースに似た、目元が穏やかな人を発見してロックオン。

その人の周りをぶらぶらしながら、質問の機会をうかがいます。やさしい人でありますように。

白鳥作戦

しかし、TOEICで920点を取ったと言っても、やり直してからの3ヶ月間、インプット(読む・聞く)しかやってきていませんから、その時点で話す力はほぼゼロ。

ではどうするかというと、話す前に頭の中で何と言おうか考え、それを頭の中で何度も練習した上で、あたかもアドリブで話しているかのような顔で口に出す、という作戦。

優雅に見える白鳥が、実は水面下ではものすごく足をかいている、というあれです。

※ 実はあの白鳥の話は嘘で、白鳥には浮く構造が備わっていて、本当に優雅に漂っているんだそうですが。

一方で、それまで散々努力して、一応TOEICの点数的には「かなりできる」はずのリスニングにしたって、

感覚的にはNHKのテレビの英語ニュースで5〜6割ぐらい理解できる程度、知っているニュースならもう少し上がるかな、というところだったように思います。

TOEICのパート1・2のように短い英文ならなんとか処理できても、ニュースのように長く続くものには、当時はまだ対処できませんでした。

TOEIC900の本当

ですから、TOEIC900点が取れたから、そこからスラスラ英語が使いこなせる、という風にはいかなくて、

スコアは上がったのに実力がついたという実感はない、思うように英語を使うことができずに大きなストレスを感じる、

でも外からの評価は異様に高い 

そのストレスの中で、理想と現実のギャップを埋める努力をそこからさらに積まないと、本当の意味で「使える」ところまでたどり着けないのです。 

生まれて初めての質問

それはともかく。

とにかく日が暮れる前に、せめてサーファーズパラダイスにたどりつかなくては。あそこなら宿は選び放題でしょうし。

さっき見つけたケンタッキーのおじさんは、まだそこに座り続けています。こちらが散々ためらっている間もずっと座っていましたから、忙しいということもないはず。

旅に出るにあたって、必要になりそうな英文はいくつか覚えてきていました。

Excuse me. Could you tell me how to get to Surfers Paradise?

頭の中で何度も何度も練習し、緊張のためこわばった顔で精一杯の不自然な笑顔を作り、意を決して話しかけました。

すると、僕が外国人だということもあり、はっきり話してくれたせいもあったのでしょうが、自分に向けて話してくれる英語の意味がしっかりとわかったのです。

英語のニュースや、TOEICの問題のリスニングをしているときには味わえなかった手応えでした。

自分に対して話される英語

当たり前の話ですが、自分に対して話される言葉は、ニュースや他人同士の会話のように、自分とは無関係のところで勝手に話が進むものと比べると、遥かに聞き取りやすい 

しかも自分がした「行き方」の質問に対する答えですから、「交通手段」や「かかる時間」のことを教えてくれるのではないか、というようにある程度予測もできます。

(ただし実際には本物の外国人との会話ということで緊張感が生まれますから、慣れないうちはそういうアドバンテージも吹き飛んでしまう可能性もありますが。)

TOEICへの挑戦がもたらしてくれたもの

結構時間をかけて教えてくれたので、聞き逃した部分もありましたが、これならなんとかなるぞと。

自分の中で一番大きかったのは、聞き取れない箇所が途中にあっても焦らなくなったことです。 

以前なら、わからない部分が増えるごとにどんどんパニックに陥って、なんとか聞き取れた部分さえ、話が終わる頃には消えてしまっていました。

それが今では、名詞や動詞などのしっかり発音される単語(内容語と呼ばれます)をキャッチして、それらをつなぎ合わせることで話の概要をつかむことができている。

これもTOEICに向けて演習を繰り返したおかげです。

TOEICのリスニングでも、全部がちゃんと聞き取れるわけではない、でもそこでいちいち落ち込んだり動揺したりせず、その受け止められた限られた情報で、「意地でも」答えのヒントをつかみとる

そういう練習を繰り返したことが、本番の会話で生きたのです。

上達の実感

TOEICで920点を取れた時に、自分が落ち込んだ、というお話をしました。

それは、勉強を開始する前に持っていた「TOEIC900像」と、自分ができることが、あまりにもかけ離れていたためです。

900もある人は、日本語のように英語が理解できているんだと思っていた、でも全然そんなことはなかった。

ですがこうして、海外で実際に外国人と英語で会話をする、という経験を持ってみて、初めて自分の進歩に気づくことができました。

「自分に対して話される英語が聞き取れる」

これは20代の、英語が使えなかった頃にいった海外では味わえなかったこと。

あのまま家で勉強していたら、こういう進歩にも気づかず、TOEIC900とってもこんなもんか、で終わっていたかも知れません。

やってきたことは間違いじゃない

旅に出てよかった。

続きます。

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