見出し画像

映画のはなし…恋する惑星

僕は映画館で働いていた。
17歳から32歳ぐらいまで、約15年間働いていた。

僕が働いていた映画館は、東京の上野にある、古びた昭和の映画館だった。
きっと今では信じられないだろうが、上映中出入り自由だったり、全席自由席だったり、なんならこれはダメなんだけど上映が終わって掃除をしていると、タバコの吸殻があったりもした。

言わば「昭和の場末な映画館」だった。

僕は映画が好きだけど、オタクでもマニアでもない。
当時は「年間何本観る」みたいな感じだったが、映画を楽しむのにそんなノルマは必要ないと気づいた。

これはそんな、普通に映画が好きな人の、特に発見があるわけでもない、みんな観たことあるであろうが構わずに、好きな映画を書いていく記事だ。

僕が映画にハマったのは16歳ぐらいだったろうか。
当時僕は高校をサボって、家を出ると浅草へ向かい映画館で時間を潰していた。
映画が好きだから映画館にいたのではなく、午前中から学生がうろつける場所がなかったから映画館にいただけだ。

家でボーっとテレビを観てると、浅草で観るような映画とは違ったずいぶんとお洒落な映像が目に飛び込んできた。

それは「恋する惑星」という映画だった。

画像1

ウォンカーウァイ監督、金城武、ブリジットリン、フェイウォン、トニーレオン

画像2

当時は今のようなシネコンは一切なく、単館の映画館が全盛期だった。
僕は恋する惑星がどうしても観たくなり、渋谷のシネマライズに行った。

映画を観てあんなに高揚するのは初めての体験だった。
カッコよくて、ダサいんだけどそれがまたなんかカッコよくて、まるで学生映画のような熱っぽさがあり、それまで香港映画と言えばジャッキーチェンかジョンウーしか知らなかった自分は衝撃を受けた。

映画の楽しみ方の一つに、「枝分かれ方式」がある。その映画の監督、出演者、スタッフの他の作品を観て、また好きな作品があったらその作品の監督、出演者、、と枝分かれに好きな物が増えていくというやつだ。

僕はこの枝分かれが好きで仕方ない。
過去のウォンカーウァイの作品を観て、レスリーチャンを好きになり、そのレスリーチャンの出演作も観てみようと「さらば我が愛、覇王別姫」を観て好きになり、、

好きの連鎖は果てしない。

そして恋する惑星に使われてたママス&パパスの音楽を好きになり、フェイウォンのショートカットを見てこんな子を好きになり、なんなら香港にも旅行しに行った。

とにかくこの世界にどっぷりと浸かりたいと思えるような作品だったし、それは今見ても多分色褪せないだろう。

また近々観よう。

いわゆる映画評みたいな物を僕は書けないし、映画に関しての難しいことはわからないけど、映画館で働いてたので「映画を楽しく観る方法」は知っている。

それは、
・体調の良い時に観る
・心配事がない時に観る
・人と観る映画と、一人で観る映画をきちんと分ける

この三つを肝に命じて観れば、映画は大体楽しめる。

結局映画を面白くもつまらなくするも、最後の決め手は観る側次第なのだ。

サポートありがとうございます。完全にあなたの味方です。