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期待を言語化できているか

“全員に役割がある適材適所を機能させるためには”

人に期待されている役割を伝えられた時と、そうでない時、どちらが力を発揮できるでしょうか。

この記事を書く上で、自分が期待されている役割を人に具体的に伝えられたエピソードは何があったか考えてみました。

真っ先に浮かんだのは、中学時代のバスケットボール部での試合風景。

「相手チームの7番にマンツーマンで張り付いて、パスの出どころを遅らせろ」

その指示を聞いて試合に出た時と、何もミッションがない中で試合に臨んだ時は自分の動きが異なったことを思い出しました。

7番と表現したのは誇張です。あたかもレギュラーでバリバリだったように思えますが、実際はレギュラーではないBチーム同士の練習試合での一幕です。視力が落ちて、敵か味方か分からない自分にはバスケットボールで実績は出せませんでした。こちらは余談です。

次に思い浮かんだのは、高校時代での体操部。体操の競技は床・あん馬・吊り輪・跳馬・平行棒・鉄棒の6種類。バスケットボールで跳躍力を鍛えていたこともあって、自分に期待されていた役割は床と跳馬。

腕が長いという理由で後からあん馬もくっついてきました。

しかし、何か人から具体的に期待されたエピソードを思い起こそうとした際に、そこで途切れました。

つまり、社会人になってからは自分の強みと、チームの状況を踏まえた具体的な役割を明示される機会が少なくなったことを指しています。

“役割は察するものという風土の弊害”

僕が働いている学校法人では、年に1度「自己申告書」を提出する機会があります。

全国規模ということもあって、経営トップの理事長が全国の社員が何を考えていて、どこに課題を感じているのか把握するための制度。

他の企業では人事考課表や自己評価シートと呼ばれているものに近いですが、今回お伝えしている「自己申告書」は数値を元にした自己評価や異動希望先を明示する申告書というよりも、過去の1年間のやりがいや今後携わりたい仕事を明示するもの。

その中で登場する質問の一つに「部門内でのあなたの役割は何ですか?」というものがあります。私はいちメンバーであった若手の頃には、自分に与えられている業務分掌から必死に役割は何だろうと紡ぎ出し、無理やり思いついたことを書きなぐっていました。

あまり疑問も持たずに若手の頃はその質問をやり過ごし、マネジャーとして全員が提出する自己申告書を閲覧できるようになった時に違和感を覚えました。

マネジャーの自分が期待している役割と、メンバーが察している役割に差異があったのです。

先程のバスケットボールの試合で例えるなら、「7番にマンツーマンで張り付く」と期待されているのに「速攻重視で点が取れるポジショニング」をしているようなものです。

なぜ、そのようなギャップが起こるのでしょうか。

マネジャーである僕は業務分掌の配置を決めた段階、または業務分掌の発表を行う段階で、どんな理由でその業務を担ってもらいたいのか説明はしていたつもりでした。

しかし、メンバーからすると口頭で説明を受けただけですし、何より実際に取り組む中で流動的になり、意識が希薄化していくのは当然だと思います。

当時のチームは、それぞれポジションや役割が明確になっていない中で一目散にボールに群がるこどものサッカーと一緒です。これでは成果が上がりません。

そのことに気づいた僕は、事業部の方針を提示するときに以下のような取り組みを一緒に行うようになりました。

“メンバー1人ひとりに期待しているミッションを渡す”

なぜそのチーム編成にしたのか、なぜその業務を任せたのか、年度を終える頃にはどうなっていて欲しいのか、マネジャーからの期待が分かるように全員にそれぞれミッションを渡します。

スパイ映画さながらに、指令がそれぞれに渡されるイメージです。

ミッションの例を以下にご提示します。

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これらはラベルに印刷されており、手帳に貼れるように作成しています。

年上の部下には宜しくお願いしますとつけることも欠かしません。こちらも余談です。

僕の中でミッションを検討する上で決めているポイントは次の通りです。

【ポイント】
①ミッションは3つに絞る
②獲得して欲しい力を明示する
③年間通して貫いて欲しい態度を明示する
④どんな力を発揮して欲しいのか明示する
⑤どんな成果を上げて欲しいのか明示する

①~⑤を相手の課題に応じて、一人ひとりにあわせてミッションを設計しています。

“ミッションを提示するようになって実際にどうなったか”

組織としてどう変わったのかお話する前に、どれだけの人数のマネジメントをしていたのか触れておきます。

ミッションを提示して運用した部門は計3つ。いずれも20人前後の常勤職員に対して提示しました。

提示する前は全体の方針は示されているものの、日常的にその20人がどう行動に反映していったら良いか分からないという状況でした。

やはり事業部全体の方針は、問題の核をおさえるものであるため、どちらかというと全体最適に近い傾向があります。

そのため、個人個人の課題に応じているかというと、自分ごととして捉えられるメンバーばかりではないというのが実情でした。

しかしミッションを提示するようになってからは、僕の知らないところでミッション達成のためにメンバーが主体的に動くようになりました。

ミッションを提示した利点は以下の3つにまとめられます。

①チームが機能するように一役買える
②ミッション達成の為に主体的にメンバーが動く
③成果を出すための継続的な発信がなされる

①から③について順番に補足します。

①チームが機能するように一役買えるとは

新しいチームが機能するには、お互いの関係性が良好になるまで時間を要する場合があります。

そこで3名程度の小単位のチームで進めていく業務のリーダーを任せているAさんには、Bさん、Cさんの意見を吸い上げて参画意識を高めながらプロジェクトを進めて欲しいというミッションを渡したとします。

一方BさんにはAさんに意見を求められた時に、自分の意見を述べられるようトレーニングを積むように提示した上で、最終的にはチームとしてまとまった意見に対しては前向きな空気になるような発言を心がけて欲しいと伝えます。

そうするとAさんの決定した判断に対して、Bさんが自分の意見を述べながらも最終的には協力してくれるようになるので、チームとして良い雰囲気になっていきます。

経験の浅いCさんにはAさん、Bさんが述べる意見に対して分からないところは積極的に聞くように指示をしておきます。

これらを初めに口頭だけで意図を伝えるのではなく、ミッションシールとして渡しておく。このような体制を整えることで、チームの機能に一役買うことができるようになります。

②ミッション達成のために主体的にメンバーが動くとは

マネジャーが指示しなくても、メンバーの強みが発揮されて欲しい、誰もが期待することだと思います。

例えば、ムードメーカーのDさんに事業部として新しい取り組みをすることが決定した時に、メンバー全員がやる気になるような意気込みを述べて欲しいというミッションを渡します。

そうすると、会議で以下のようなやり取りがなされるようになります。

マネジャー「うちの事業部で、この事業を任されることになった」
Dさん「やりましたね!成長するチャンスですね!」

これらの会話は嘘のようなホントの話です。過去3つの事業部で実証済みですので、ぜひ試してみてください。

③成果を出すための継続的な発信がなされるとは

マネジャー1人が事業部の風土を変えたくても、共鳴者がいないと中々改革が進みません。そこで主任のEさんには、時間にルーズな風土を一緒に変えて欲しいというミッションを渡したとします。

すると、会議の場、朝礼の場など折に触れて時間厳守の徹底をEさんが発信していってくれます。

いかがでしたでしょうか。

年の初めや、年度の初め、4半期の変わり目などの節目にこのようにメンバーそれぞれにミッションシールを渡す。

一人ひとりの内容を変えているので考案するのに時間を要しますが、役割が明確でなく後々軌道修正に時間を必要とするぐらいなら、労力を前倒しにするという気持ちが大切です。

ぜひスパイ映画の黒幕になったつもりで、ミッションを渡す側も楽しんで実行してみてください。

続きはまた違う記事で。最後までお読みくださり感謝。

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リーダ―育成・事業再生コンサルタント

本間 正道
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