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あなたはどれだけ「言葉」をもっているか

結果を出している人には共通点があります。それは一つひとつの言葉にその人ならではの「定義」を持っているということです。

例えば、「失敗」の定義。広辞苑では失敗は成功の反対とされています。しかし、今となっては多くの人が失敗は「何もしないこと」と説くようになりました。

そのため失敗の定義を「何もしないこと」とする人は、挑戦の機会を大切にします。このように、定義を持っていると自分が選択する言動に影響を与えます。

人を育てる上で、人に贈る言葉にどんな定義を持たせているのか、リーダーの考察の深さが問われます

あなたは「成長」にどんな定義を持っていますか。僕は若手の頃に、3000人規模の合同行事を成功に収めた後、上司から「成長したな」という言葉をいただきました。

その上司はその年度に異動してきたばかり。成長したという言葉を上司から言われたら、多くは評価をしてもらえたと喜ぶべき場面です。

でも前年度も全く同じ行事を統括していた僕には、元々できることをしただけという認識があり、心には響きませんでした。

お互いが成長の定義をすり合わせておかないと空虚な言葉になってしまう、言葉の定義がいかに大切かという典型的な例を挙げました。

成長について掘り下げていくと次の3つのうちどれを指しているのか、部下に課題を与えるにあたって前提としておさえていますか?かつての僕はおさえていませんでした。

1、できなかったことができるようになる
2、できていたことにかかっていた時間が半分になる
3、同時にできることが複数になる

またはこの3つにすら該当しない内面の成長も存在しますよね。部下に業務を依頼し、成長を期待するときには、何を期待しているのか明確にしましょう。

次に「幸せ」の定義について触れていきます。社会人14年目で大阪から異動してきた男性社員のAさんを例に挙げていきます。

Aさんは役職者になりたいという欲求があるわけでもなく、それまでは自分のできる範囲でチームに貢献してきました。周囲のメンバーからするとベテランらしい落ち着きと、自分の仕事を回す基本はできているので信頼はできるけど、周囲をひっぱるようなリーダーシップを発揮する場面が少ないなという印象です。

Aさんと会食する機会を設け、普段のチームへの貢献を労いながら、僕が抱いている印象を率直に伝えました。すなわち大阪から異動してくる機会をきっかけとして、Aさんの何を変えようとしているのか分からないという印象を共有しました。

Aさんは「このままでいい」という安定思考と、「このままじゃダメだ」という成長意欲のどちらが自分の本音か分からないようでした。

話を聴く中でAさんの本音は「このままでいい」けど、ベテランとして求められる役割を考えると「このままじゃダメだ」と感じているという整理ができました。

このときの会食は結論を出すことが目的ではなかったので、新しい部署で自分がどうありたいのか、どんな人材として仕事をしていきたいのか、自分の「解」を見つけるようにと伝えて会食を終えました。

環境の変化や節目を成長のきっかけにできる人と、以前からの惰性でそのまま目の前の仕事をこなす人。惰性で取り組むとAさんは生徒からの目、後輩からの目を気にして、大阪のときと同じ苦しみを味わうことになる、そう判断して話をしました。

現段階の自分にとっての新天地での「幸せ」の定義を固めることは苦しい工程ですが、必ずAさんにとって大切な指標になる、そう信じて気持ちを共有しました。余談ですが、僕の「幸せ」の定義は、幸せを追い求める過程そのものが幸せだ、という信念を持っています。

最後に、「働くこと」について触れていきます。働くの語源は一説によると「傍(はた)を楽に」ではありますが、次のどちらの考えを持っているかで、日々の仕事への接し方が異なります。

働く=時間をお金に換える
働く=経験を人の喜びに換える

多くの経験を積んで後輩に良い影響を与えられる仕事観を持つ人材は、もちろん後者の定義を持つ人です。

辞書や広辞苑に頼らずに、一般的に語られる言葉に自分なりの定義を持つこと。それをリーダーからの言葉として発信していくと、事業部の風土は変わります。

さらには部下の言語習慣、思考習慣、行動習慣に良い影響を与えます。あなたの経験から得られる、あなただけの言葉を日ごろから定義しておきましょう。

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リーダ―育成・事業再生コンサルタント

本間 正道
Email: playbook.consultant@gmail.com
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amazon.co.jp/dp/B08BDYYN8H/

https://note.com/sanctuary_event/n/nc67ae420937f


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