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組織づくりに信念はあるか

組織は何の為につくるのか

組織編制について引き出しを増やす、そのためにはマネジメントの定義から確認する必要があります。

マネジメントはよく、「経営資源(ヒト・モノ・カネなど)を投じて組織の目的を達成すること」と定義されます。この「マネジメント」をする上で、マネジャーは5つの機能を果たしています。

【5つの機能】
⑴計画  目標を設定し、段取りを組む
⑵組織化 経営資源を効果的に編成する 
⑶指令  メンバーに行動を起こさせる
⑷統制  計画通りでなければ修正行動を取る
⑸調整  関係者に働きかけ、調和と均衡を保つ

年度初め、期の初め、マネジャーの人事異動などの節目では、この5つの機能は以下のような流れを辿り、組織を稼働させていきます。

これはマネジメント・サイクルと呼ばれるものです。結果が出ない事業部はこの5機能の中で、どこかが不具合を起こしていると考えてください。

僕がウェディングプランナーを輩出するブライダル系の専門学校のマネジャーだったときは、売上につながる業務の「組織化」を誤っていました。今だからこそ、そのように原因を振り返ることができます。

しかし、当時は社員の人材定着率も改善され、生き生きと働いており、チームの雰囲気も上向いていたため、誤っていたという結論は出せませんでした。

そんな失敗から、あなたが何となくおこなっていた「組織化」を考察するきっかけや参考になれば幸いです。

まず組織形態の基本をおさえましょう。大きくは以下の2つに分かれます。

【組織形態】
⑴事業部制組織

それぞれ事業ごとに独立したラインを保持している形になります。

⑵マトリックス組織


こちらは⑴に比べて、より効率化を意識した組織編制になります。特徴としては、内容によって事業部の指令ラインで発するのか、業務別部門の指令ラインで発するのかが変わります。

M&Aをしてすぐの企業は⑴で運用されますが、統合が進むと⑵に移行する企業も目立ってきました。⑵で運用する場合、事業部と業務別のトップのパワーバランスが取れている必要があります。

これらは会社全体、あるいは事業部全体を組織化する上では参考になります。ただ事業部内での小単位のチームや、職務(業務)を分掌するときには転用できません。そこで僕は次のように考えます。

事業部内の組織化は、社員の成長を考慮したステージと意思決定の流れを考慮したステージの両面で考える

▶社員の成長を考慮

⑴適材適所型

こちらは文字通り、社員の適性に応じて長所を発揮できる職務を割り当てる組織の作り方です。成果を上げやすいというメリットがある一方で業務が属人化してしまう懸念があります。

つまり組織の中で特定の個人だけができる仕事が生まれてしまうため、万が一その社員が退職したときに現場が混乱する恐れがあります。

⑵意欲重視型

社員たちが携わってみたい仕事を事前に面談などで予め聞いておいて、極力その想いに応える形で職務を割り当てる組織の作り方です。

意欲に燃える仕事なのであれば、マネジャーが管理をしなくても成果を上げてくれるだろうという期待が込められています。

デメリットは叶った人間と叶わなかった人間が生じたらフォローが必要になります。また、やりたくない仕事に対するパフォーマンスが下がり、不満を醸成する風土が生まれる可能性があります。

⑶開発重視型

本人に意欲があるかどうかは問わず、マネジャーが身につけてほしいと期待する力に応じて職務、あるいは役割を与えます。

部下は未経験な業務であるため、壁にあたりながらも新たなスキルを開発できる可能性を秘めています。デメリットは、苦手なことやできないことに対してモチベーションが下がる可能性があります。

▶意思決定の流れを考慮

こちらは文字だけだとイメージがわきづらいので、図でも示します。

⑷参画意識重視型

権限を委譲し、プロジェクトリーダーの経験を積ませる上に、検討段階から数名の部下を参画させます。

⑸スピード重視型

検討する人間は最低限にすることで、あなた自身の意向に沿った決定がなされていきます。

これらの編成は、どれか一つを選択しなくてはいけないわけではありません。あなたが考える業務の優先順位や軸で検討することもできます。

僕は専門学校のマネジメントをする上で、教育は適材適所型を選択しました。僕が着任するまでは、教務力の高い教員ほど上級生の担任として配置されていました。

しかし、僕はその位置づけを変更します。社会人の基礎を担う1年生が最も大切な時期と位置づけ、教務力の高い教員を配置します。

また、入学式、体育祭、卒業式のような行事の運営については開発重視型を選択します。運営能力の高い社員が若手のサポートをおこない、PDCAを回す仕事基礎力を養います。

僕が認識を誤っていたのは、学校の収入の決め手となる生徒募集において、成果が出ていないにもかかわらず広報の仕事を参画意識重視型で編成していたことです。

主担当である人間の負担を減らすために、ブレーンとなるメンバーを配置して補強しました。しかし実際は先に図解した通り、成果を上げる上で一番情報を持つマネジャーの意向とは異なる結論で会議が収束することも目立ちます。

また、検討する人間が多くなるとそれだけ会議に時間を要し、多くの人間を会議に拘束するため、実務が前に進みませんでした。

そのため、ブライダル系の専門学校から保育士を輩出する専門学校のマネジャーに異動したことを契機として、広報についてはスピード重視型を選択します。当時の主担当である主任もスピード重視型で成果を上げられる可能性について言及してくれたことも改革の決め手でした。

結果として、競合校が前年比で入学希望者数が軒並み減少する当該地域において、在学者数が地域ナンバーワン校として維持できただけでなく、3か年連続で増収増益を達成できたのでした。18歳人口が減少傾向にある我が国において、増収増益で発展できたことは組織編制の大切さを確信する出来事でした。

まとめとして、売上につながる営業や広報といった仕事はもし結果が出ていないのであれば、一度決裁者が直接的に関与する形態に組み直してみましょう。参考としてこれまで述べた組織形態を、「能力開発」の軸と「成果」の軸で整理してみます。次の図をご覧ください。

もちろん、業種や業態、社員の特徴によってどこに位置づけられるかは変わるため、このままあなたの会社であてはめて考えるのは危険です。

ただ大切なのは組織づくりにおける編制の仕方が、前年度の踏襲ではなく意図をもって試していくだけの発想が、マネジャーの引き出しにあるかどうかです。

今回の内容を踏まえ、ぜひ一度あなたの事業部の組織づくりについて振り返ってみてください。

最後までお読みくださり感謝。続きはまた違う記事で。

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リーダ―育成コンサルタント

本間 正道
Email: playbook.consultant@gmail.com
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