信念がない人は、判断がブレ、人生がブレる
“会議で人の意見に流される様は、まるで テニスの試合の観戦者”
専門学校の会議では生徒の一生に関わるという点で、よく判断に窮する案件が生じます。
Aさん
「このままこの生徒を実習に送り出したら、他の頑張っていた生徒はどう思うのか」
Bさん
「でも、この生徒も先日の面談の際には、どうしても資格を取りたいから実習に行きたいと言っている。その気持ちを応援するのが教育ではないのか」
Aさん
「言葉は何とでも言える。問題は、ではなぜその気持ちを今の行動に表せないのか」
Bさん
「本人は明日から無遅刻、無欠席で登校すると申してます」
社歴が浅い頃の僕は、このような論戦に突入すると自分の見解を持てず、ただただAさんとBさんのやり取りを右に左にと顔を向けながら、心の中で何度も「なるほど」と唱えていました。
運転席にいる人は、助手席にいる人に比べて道を覚えられるという“ドライバーズ効果”で言うところの助手席に座っている状態でした。
実に無責任です。
Aさんは、公平性や平等性を重んじる価値観の立場から、これまで頑張ってきた他の生徒の気持ちを案じて発言しています。う~ん、確かに、該当生徒はもっと早く気づけても良かったのでは。
Bさんは、自分の過ちに気づくタイミングは人それぞれなので、本人が反省し、せっかく意欲を持ったときに教員が応援しなくてどうするのだという一人の生徒を大事にする価値観。う~ん、確かに、生徒にはチャンスを与えたいです。
こんな議論が年間を通じて数多くなされているのが専門学校現場です。
この例の議論で必要なのは、“「生徒のため」という自分なりの定義”
僕がその議論に参加できなかったのは、自分にとっての「生徒のため」という定義を持っていなかったからです。
自分なりの定義がないため、いわば、信念がないためその議論には参加することすらできません。自分の考えの浅さに愕然としました。
もちろん教育に絶対解はありません。最近では『例解』という言葉まで使われています。
今回の例えの例解を示さないと読んでいる皆さんが気持ち悪いと思うので、こういった議論をまとめる役割を担っている僕なりの定義をご紹介させていただきます。
「周囲の納得感をクリアしながらも、目の前の生徒を最も大事にする」
もし、先程の議論で例解を出すとしたら、以下のような決着とします。
Bさんに対して面談で言っていたときの気持ちが本当かどうか、実習までに評価期間を定め、その期間無遅刻無欠席でいられたら実習に送り出そう。
それまで真面目に取り組んでいた生徒には、その生徒が評価期間中、いかに挽回するために努力するか説明することで納得感を与えましょう。このようなチャンスを与えることに、これまでの反省を生かしつつ前向きな取り組みができるよう、該当生徒と面談で動機付けをしましょう。
この決着のつけ方が、教育業界での正解という話をしたいのではありません。つまり、この例え話のポイントは「生徒のため」を定義づけ、自分の信念を持っていないと、一つ一つの判断で根拠を言語化することができず、周りの人を納得させられないという点です。
そう、なんとここまでは例え話で、本題はここからなのです。
自分なりの定義を持つことが重要なのは前述の通りです。定義を定め、こだわりを持ち、何度も発信していると信念に変わります。では、皆さんに聞いてみます。
皆さんの通勤時間は「何のために」存在するでしょうか。
成長のためと捉える人は、読書や新聞、オーディオブックなど自己研鑽に使う時間にするでしょう。
もし、特にこだわりがないのであれば、多くの人が意識のない時間に使います。
意識の無い時間とは、自分にとって特に意味を為さない時間です。
一般的には「浪費」と称されます。これはとても勿体ないです。スマホゲームにかなり夢中になった経験のある僕が言うのだから間違いありません。
スマホゲームが悪いわけではありません。ゲームは楽しく生きるためにどうしても必要だという価値観を僕は否定しません。ただ、特に「楽しく生きるため」やこだわりがなく「意識のない時間」に費やしているとしたら一度自分を振り返ってほしいです。
ここまでの流れから、こだわりがないと、意識のない時間=浪費に使われることがお分かりいただけたでしょうか。標題の“信念がない人は、人生がブレる”
皆さんは仕事を「何のために」行っているでしょうか。
「お客様のため」は会社にとってどういう状態を指すでしょうか。
皆さんにとっての「家族のため」は「将来の家族のため」か「目の前の家族のため」か、これらの問いに今すぐ答えられなくても良いのです。
かつての僕ももちろん、即答できるような信念は今ほど持ち合わせていませんでしたし、何より、人は問われると、その場は答えられなくても、答えを探し続ける特性を持つからです。焦らなくてもいいので信念を見つけましょう。
続きはまた違う記事で。最後までお読みくださり感謝。
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リーダ―育成コンサルタント
本間 正道
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